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「火をつけろ」
昭和の特に高度成長期のカメラマンは、芸能人として見られていた方も多く、わがままなエピソードが多かった。
自分が仕事をいただいていたN副編集長は、
女性誌のファッションページの撮影をある大御所に依頼した。
ロケ先の原野のような場所で、先生、なかなか撮影に乗れない。
そのとき、先生、
そうだ。「野原に火をつけろ!」
とアシスタントにどなった。
N副編、その勢いに抗えなかった。
火は天を焦がすかのごとく燃え上がり、
信じられない写真が撮れたそうだ。
巨匠と呼ばれたF先生、スタジオで、ライティングをいろいろと試し、これじゃない。と延々と悩んだ挙げ句、
「ガスバーナーの光だ!」
と閃き、ガスバーナーをスタジオ内に持ち込み撮影を始めた。
スタジオさん、「あの〜、先生、酸素が足りなくなって息ができないんですけど」
と言われて、撮影は中断したそうだ。
撮影中はカメラマンは絶対にスタジオの扉を開けさせない。
空気感が変わるから。だからスタジオは閉めっぱなしだった。
写真業界にも勝新太郎みたいな方が多くて、面白い時代だった。しかし、周りは大変だった。