⑱既読or未読
彼はとても意志の強い人。
けれど私にはメロメロで弱いはず。
私は彼の愛を信じている。
彼もまた私の愛を信じているはず。
そう思えるのは、2人の過ごした時間の中にある。
凍結している携帯を、開いてみるかどうか。少し冷静になって、もう一度考えてみた。
おそらく、1通や2通のメールではなく大量に未読のままあるはずだ。全て確認するには、開いて既読にしなければいけない。既読にすると言うことは、今更に私が彼に対してのアクションを起こすと言うことになる。それはどうなんだろう。こちらからのアクションを起こすと言うことは、彼に対して私が期待していて、何か答えを求めている、と誤解させてしまう可能性がある。(実は期待はあるのだが、、もう、不倫には戻らない。)そう、私はもう2度と彼の前には姿を見せないと心に決めたのだ。
と言うことは、やはり既読にしてはいけない、するべきでは無いと思う。
彼の今の様子のわずかなSNSを見て、私との決別を感じた。だったら尚更、見る必要が無い。
そもそも、私が一方的な考えを押し付ける為に、凍結しているのだから、彼の言葉を気にする必要は無いはずだ。卑劣なことを私はしてしまったのだから。
だからやっぱり、このまま未読にしておくべきだろう。
彼の愛は私の中にある。
これは迎えに来てくれる期待とは別のものである。
彼の愛は、本物だった。
会いたい。2人の人生を一緒に生きたかった。
これからは余計なものを含めず、私は前を向いて生きるんだ。
突然、愛している人が、目の前から消えた彼は、きっと苦しんでいる。私を恨んでいる。絶望している。ヒカリの無い、ただ暑い夏を過ごしている。それでも、踏ん張って目の前の日々をやりこなしている。
「苦しい思いをさせてごめんなさい」
あの日から、伝えることのない言葉を、私はずっと心の中で繰り返し想い続けている。
彼には、私が未読にしているこの想いに気がついて欲しい。
✳︎最後まで読んでくださりありがとうございます。
続きはまた次回へ。