究極封印神エグゾディオスの憂鬱(前編)
※マインクラフトYoutuberミナミノツドイ様の
動画の2次創作として作成しております。
問題、疑問点があり次第指摘していただけると幸いです。 らぞら
「可愛いラグちゃんかわゆす♡」
「挨拶しないとね各々のペットに。
ぬこちゃんおはよおおおお! って勝手に名前つけられてるぅぅぅ!!!」
Tつぐの驚きの驚異的、破壊的リアクションが朝から木製のミナツドハウスに鳴り響いた。羊は草を噛む口をとめ、ニワトリはその声の大きさあまり卵をお尻から漏らしてしまうほど大きな声であった。
この物語はミナミノツドイのTつぐが究極封印神エグゾディオスとなってしまったぬこを助け出す物語である。
「wwwwwwwwwww」
ミナツドメンバーの笑い声が響いたあの日から二年経ったある日のこと。
それまで窓際で日向ぼっこをしていたり、帰ってきたメンバーがいると毎回じゃれに掛かってて過ごしていたぬこ(究極封印神エグゾディオス)が姿を消した。
「KCぬこ見てない?」
「究極封印神エグゾディオスのこと?」
「うん、まあそうだけど」
「見てないね。どうしたの?」
「いや、数日前から姿を見てなくて」
「そこら辺で昼寝でもしてるんじゃない?」
「かなぁ」
「おい、聞いたか? ここから七百マス離れた森の奥地の洞窟で何やらバケモノが住み着いたらしい」
Mくんがただならぬ顔で言ってきた。
「どうやらその洞窟周辺の村はそのバケモノに荒らされて住める状態にないんだと。さっき通りすがりの行商人が仲間が殺されて帰って来ないって嘆いていたんだ。」
「俺たちがやるしかないっしょ!」
狩から帰宅したズシシΔが拳銃を背負ったまま一言で返す。
「いや〜危険じゃない?」
Tつぐがめんどくさそうに答える。
「え? なに、ビビってんの?」
ズシシが煽ってくる。
「ビビってる訳じゃないけど、危険だと思って。いくなら物資も必要でしょ」
「物資ならここにあるよ」
てんてんがブラウニーを頬張りながら答える。
「なんであんの」
「てんてんハウス第二弾を作ろうと思って、集めてた」
「それじゃあ行きますか」
酒瓶を傍に釣りをしながらそばで聞いていたまっちゃんの言葉で決まった。
森を北方向に七百マス進む。
花畑の森を越え、川を渡り、竹林を横目に通り過ぎ、薄暗いダークオークが所ぜましにそびえ立つ森を抜けた山の麓にただならぬオーラを放つ洞窟があった。
「あった! もしかしてこれダンジョンじゃね?」
てんてんがお決まりの一言をつぶやく。
「っえ? これってもしかしてダンジョンじゃね?」
次々にメンバーが繰り返し言う。
これがミナツドの冒険が始まる合図だ。
いつも通りの掛け声を合図に呑気にミナツド一行は中に入って行った。
洞窟は薄暗くいろんな場所からクモやゾンビ、スケルトンの音がした。
それまでは良かったが奥に進めば進むほど周りに漂う瘴気が強くなる。
ただならないオーラにメンバー達は汗を額に滲ませながら奥へと進むと、松明の灯りが見えた。
扉に近づきメンバー達が扉に触れようとした時だった。
鋼鉄の扉が突如開き、中から黒いムチのような何かに巻かれ全員捕まった。
メンバー達は身動きがとれず、されるがままの状態で持ちあげられた。
ムチがのびてきた方向に目をやると、そこにはあのぬこがいた。
ぬこの尻尾は八つに分かれ、可愛らしかった黄色い虎模様が紫に変色している。ぬこは化け猫になってしまったと、Tつぐをはじめメンバー達全員が思った。
「ぬこ!! 帰っておいで」
Tつぐはビビりながらも声をかける。
「お主、なんと無礼な! このお方は究極封印神エグゾディオス様であらせますぞ! 」
ぬこの両脇にいたウォーデンが低い声で唸りながら言葉を話した。
「よいよい、この者はワシの元使い魔じゃ。しかし無断でこの場所まで追いかけてきたことには感心せんのう。」
玉座の上でゴロゴロと天を仰ぐようにくつろぎながら、ぬこはこちらを見下ろす。
「そうじゃ、良いことを思いついた。お主、優れたエンターティナーであったじゃろ。地下におるのはつまらんのじゃ、お主の楽しかった記憶をもらっても良いか。まあ、嫌だと言われても奪うんじゃがのう」
ぬこはTつぐが口を開く前に玉座から飛び降りたかと思うと、黒い光を放つプニプニの肉球でTつぐのおでこに触れた。
Tつぐは気を失うかのように目を閉じた。
気がつくとメンバー達はいつの間にかいつものミナツドハウスにリスポーンしていた。
「おい! Tつぐ! 大丈夫か!」
ロックの心配する声が聞こえる。
「んぅぅ〜。 頭痛がする」
ぬこが、いや究極封印神エグゾディオスが額に肉球を押し付けてきたこと、洞窟に入ったこと、昨日の夜のワンナイト人狼のことさえ覚えている。
しかし、何か所々の記憶が抜け落ちているという感覚はあった。
イメージとしては、楽譜の音符の一節の一部の音符がところどころに抜け落ちている、動画のセリフのテロップが一言文字化けして読めなくなっているイメージだ。
ピンポーン
ミナツドハウスのインターホンの音が鳴り響いた。
ケイタが玄関を開ける
そこには白い白衣を着て何も入っていないフラスコを持った男が立っていた。
「こんにちは。私の名前はティー・チャー。究極封印神エグゾディオス様に命じられて、主担当としてTつぐ君の残りの記憶を奪いにきた。会わせもら……」
「いや、主担当って何ですか…? 意味わかんないんですけど……」
後ろから話を遮るようにKCが質問をする。
「あっ、言ってなかったね……。私の話の腰を折ったことはいいとして、これから僕たちが元持ち主であったTつぐ君に会いに来ると思う。トップバッターはこの私、ティー・チャー」
「アポとかとってもらわないとこちらも忙しいんですが」
「私の腰の話を追ったことはいいとして……」
「腰の話!?」
「wwwwwwwwwww」
その場にいた全員思わず吹き出した。
「腰の話してたんですか?」
まっちゃんの鋭いツッコミがティー・チャーのメンタルを貫く。
恥ずかしさのあまり、ティー・チャーは「スイ〜スイ〜水素水〜スイスイスイスイスイ〜」と歌いながら撤退して行った。
ティー・チャーの陽気な歌声が遠ざかっていったと思った時。
ドカン!!!!
「ああああああ!!!」
という叫び声が聞こえた。
声の方に様子を見に行ったズシシΔはティー・チャーと書かれたカードのようなものを見つけた。
「Tちゃん!! Tちゃん!! 今Tつぐが前演じてたティー・チャーが訪ねてきたんだけど!!!」
「Mくん何を言ってるの? Tつぐは俺と一緒に階段下の部屋に居たよ」
ロックが本を片手に答える。
「Tつぐだってここで寝てるし」
「あれぇ? おっかしいな〜! あれ絶対Tつぐだったんだけどな」
「あっズシシΔどうしたんだい? みんなも」
ロックの階段下の部屋にみんな入ってきた。
「これっ」
ズシシΔが見つけたカードを見せた。
「何だこれ、カードゲームのカード……?」
みんなが集まり騒がしくなったことで寝ていたTつぐも目を覚ました。
ズシシΔが例のカードを見せる。
「うっ頭痛がする。イタタタタ……」
Tつぐが頭をおさえている。
「相当ダメージ受けたみたいだな。そうだよなあんなに可愛がってたぬこがあんなになったんだもんな。仕方ない」
ケイタが言葉をかける。
「なんか、デジャブだったよな。前も同じことがあった気がする」
ズシシΔがカードを見ながらつぶやく。
「ところで、このカード封印されしティー・チャーって書いてあるんだけど」
「あっ、あの封印されしモンスター5体!? 」
KCとてんてんが目を輝かせながら同時に反応する。
「どういうこと? KC説明して」
Mくんが説明を求める。
「この現象は遊戯王っていうカードゲームが元になっているようなんだ。そもそも究極封印神がゲームに勝利する条件に必要なカードがこの封印されしモンスター五体になるのだけれど、いわゆる生贄という形で墓地におくると勝利条件が満たされることになるんだ」
「ということは結局、究極封印神エグゾディオスを特殊召喚する際に必要な封印されしモンスター五体の一体がこのティー・チャーだったってこと?」
まっちゃんが聞き返す。
「そういうこと」
「これは仮説になんだけれど、Tつぐの記憶がいわゆるデッキの役割を果たしていて、そのデッキから奪われた記憶を取り戻すことで真の究極封印神エグゾディオスが特殊召喚、力の解放ができるようになると思われる。何が言いたいかというと、今のぬこは本来のぬこではないということだ。ぬこに取り憑いた何かがぬこを操って究極封印神の力を暴走させ使っていると考えられる」
「思い出した……そうだ俺はミナツド高校でティー・チャーとして教鞭をとっていたときKCに話の腰を折られたんだった。それを言い間違えて腰の話を……」
「めっちゃ笑ったやつだ」
まっちゃんがニヤニヤしながらこっちを見てくる。
「まぁそれはともかく、この様子だとまた刺客を偽ぬこは送り込んできそうだね。無理やり究極封印神の力を使っているということはぬこの体がいつまで持つか……」
「俺が助けに行かないと……」
「そうだな。きっとぬこは助けを待ってる」
メンバー達はチェストに入っていたありったけの小麦粉をパンに作り変え、武器にはおまじないを付与し各々準備を整えた。
ミナツドハウスを出発し、花畑の森を抜けたところに道の先を遮るように何やら建物が建っていた。迂回する順路もなかったためミナツド一行はその建物の中を突っ切ろうと考え中に入った。
建物の中に入ると様々な動物達が飼育されていた。ライオンやゾウ、クマやフラミンゴなどの動物がいる部屋を抜けると、なにやら実験施設のような部屋へと繋がった。
カプセル中に羽の生えたカエルや、下半身が鳥のサルなど魔改造された動物達が眠っていた。そのままミナツド一行が次の部屋へと行こうとしたときだった。
「君たちそこで何してる?」
やばいと思ったのも束の間、ミナツドメンバーは電流光線を当てられその建物の飼育員に捕まってしまい檻に閉じ込められてしまう。
捕まってしまい途方に暮れているとてんてんの向かいの部屋にいた耳はウサギで体は馬の人の言葉を話す生物が話しかけてきた。
「君たちここにいてはいけないよ。私のようされてしまう。ここの飼育員は日頃のストレスを動物と動物を掛け合わせて改造し合体させることで発散している変態だ。彼にとっては人も動物も一緒も同然なのさ。私も元人間だが、今となっては馬ウサギ人間としてこの場所で過ごしている。足元の地下水路からであればこの隣の部屋に行くことができる。きっとその部屋から外へ逃げることができるだろう。」
「どうして馬ちゃんは逃げないの?」
てんてんは疑問に思った。
「馬ちゃん!? まぁそうか、呼び方は何でもいいか。こんな形になったら外に出たほうが危険ってこともあるんだよ。いいから早く先に行ったほうがいい」
馬ウサギ人間の助言を元に水路に潜り、隣の部屋にミナツド一行は移動をした。
隣の部屋には沢山の犬が元気よく走り回っていた。
「オッオッオッオッオッ!!! 君たちのその姿に笑ってしまったよ、ごめん、ごめん。私の名はオシャレ犬鳥。君たちには美しい羽もフサフサな耳もないんだな」
一番大きな檻の中から蝶ネクタイを身につけた犬のような何かが話しかけてきた。
「お前ら隣の部屋から来たのか。君たちもしかしてここに来たということは、飼育員から逃げたいとあの秘密を知ってしまったということだな」
「そー秘密は知った。でも飼育員から逃げてるわけじゃない。行かなくちゃならない場所があるんだ」
KCが答える。
「まあ、そんなこと言わずに助けてくれ。この場所では犬達がたくさん走っているんだけども、ここは園長のお気に入りの……」
「オッオッオッオッオッ!! 待て待て! 天使の輪っかを付けたやつはどこに行った? ちょっと待て!?」
「飼育員でもやりに行ったか?」
てんてんならありえるとメンバー全員が思った。
「騒がしい奴らだったな……」
馬ウサギ人間が呟いていると、先に行ったはずの天使の輪っかを付けた人間が水路からひょっこりと顔を出した。
「おいw 馬ちゃんwww なんか居たぞあっちにw」
「てんてんくんw てんてんくん!ww 馬ちゃんと話をしてもいいんだけど、違う今は、オシャレ犬鳥と話したほうがwww」
馬ちゃんは何か焦りながら大笑いして話していた。
「俺ら馬ちゃんと話してるから、てんてんはオシャレ犬鳥と話してきて」
KCとまっちゃんが後からてんてんを追いかけてきて言った。
てんてんは颯爽とオシャレ犬鳥のいる部屋へとかけていき話しかけた。
「おいどうしたあの二人はおいおいおい」
オシャレ犬鳥も先ほどよりテンションが高い。
一方その頃馬ちゃんは涙目になりながら「ダメだよ二人ともオシャレ犬鳥さんのところに行かないと」と言っていたらしい。
てんてん達がオシャレ犬鳥と馬ちゃんに話しかける様子をTつぐは見てなぜかオシャレ犬鳥と馬ちゃんの気持ちがわかる様子であった。
笑いに笑ったオシャレ犬鳥は光り始め、プリキュアの変身時のようなポージングを決めながらカードに変化した。
カードにはポージングを決め、お気に入りの赤い蝶ネクタイ姿のオシャレ犬鳥と、対になるように描かれたウサ耳の馬ちゃんが人参を片手に幸せそうに笑っていた。
檻の中にオシャレ犬鳥が書いていた日記があり、そこに脱出口の扉の場所が記されてあった。
また、オシャレ犬鳥と馬ちゃんは改造される前は人間の兄弟であり、脱出日直前に馬ちゃんが改造されてしまったことによって逃げ出せず、弟を待つ兄は弟がドッグランに現れることをずっと待っていたようだった。馬の下半身にされた馬ちゃんは水路を通ることができなかったのだ。
無事建物を出ることができたミナツド一行はTつぐの欠けた記憶とティー・チャー、おしゃれ犬鳥&馬ウサギ人間の封印されしカード二枚を手に入れることができた。
疲れ果てたミナツド一行は近くの村で休むことにした。
Tつぐは手に入れたカードを見ながら仰向けに寝転がった。