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きっとこれからもずっと好きな人の話
初めて会ったのは約一年前。
あなたと出会った季節がまた訪れようとしている。
初デートは、待ち合わせ場所に迎えにきてくれて夜ご飯を食べに行った。第一印象はゆっくり話す人だなと思った。焼肉を食べてファストフード店のソフトクリームを食べた。その後コンビニに行ってアイスを買った。よく食べる人だなと驚いた。
焼肉のお肉を焼いてお皿に乗せてくれる、そんな人だった。
ご飯に行かない?と急に誘われたのが2回目だった気がする。最初は断ったけれどやっぱり行くと行って準備をして夜ご飯を食べに連れて行ってもらった。
その後は、きっとわたしがお出かけした時にお迎えに来てもらうことが何回か続いてそうするうちに気付いたら好きになっていたんだと思う。
ご飯を食べてデパートをぶらぶらしたりするデートを何度もした。
半日以上一緒にいることがあっても話したいことが次から次に出てきてまだ家に辿り着かなくて良いのになと思っていた。
何度2人で会っても告白はしてくれなかった。今思い返せば、電話した時に"月が綺麗だよ"と言われたことがあった。窓から月を見ようと思ったけれど見えなくて"見えない"と言ってしまった。月が綺麗ですねという言葉の意味が告白という事は知っていたけれどそんな、よく言えばロマンティックな、悪く言えば奥手すぎる、平安時代のような告白を現代でする男がいるのかと思って、その時のわたしはただの他愛のない会話の一つだと思ってしまった。こんな結末になるとは知らず、月が綺麗ですねの返答にも色々な意味があるとも知らずに。ずいぶん時間が経って、"見えないよ"の意味を調べたら"気持ちを受け取ることはない"と返事していることと同じことと知った。他の角度の窓から外を見れば、あるいは外に出てでも月を見てちゃんと伝えたら良かった。
それからも変わらず、毎日連絡を取り合い毎週私からデートに誘い週一くらいで電話する日々が続いた。中々、進展しない関係に悩んで、クリスマスの予定を聞かれなかったらもう諦めようと決心した。そして特に予定を聞かれることもなくクリスマスも過ぎ、諦めようもう好きじゃない、このまま関係を続けても進展しないと思っていたところ、
わたしが体調を崩した。伝えたらとてもとても心配してくれた。差し入れを持ってきてくれると言ってくれて本当に次の日差し入れを持ってきてくれた。その時電話がかかってきて40℃の高熱が出ていて電話がかかってきた嬉しさよりもしんどさのほうが勝っていて意識飛びそうになりながら電話続けたのは純愛だった。
結局差し入れを2回も持ってきてくれた。わたしには無い種類の優しさを持っている人だった。もちろん諦めようという気持ちはなくなっていて、もうあとには引き返せないほどにどうしようもなく好きだった。
年越しも一緒に過ごした。初詣も行った。おみくじも引いた。新年早々幸せだった。
送ってくれる帰りの車で次はいつ会える?と聞いてきてくれたのが可愛くて嬉しかったのを鮮明に覚えている。毎回わたしからデートに誘っていてわたしだけが会いたいと思っているのかと思っていたのでとても嬉しかった。
それからも変わらず会い続けていた。でも、付き合ってはいない。そんな関係だった。
彼女にして欲しかったけれど、当時のわたしは自分から告白なんてできなかった。どういうつもりなのか聞こうと思ってご飯に誘ったけれど結局聞けなかった。
2月、友達とデパートのバレンタインコーナーのチョコを買いに行った。デートの終わりに車の中で渡した。とても恥ずかしかった。好きな人にチョコを渡すことがこんなにも恥ずかしいことだと初めて知った。
結局、相手がどんな気持ちで会ってくれていたのか私のことをどう思ってくれていたのかは確認できないまま会うことを辞めた。
本気で好きだったからか、叶わなかったからか、思いを伝えられなかったからか分からないけど随分と長い期間引きずった。友達にたくさん話を聞いてもらった。
芸能人が、"たくさん恋愛しないと一つの恋愛がとても重要なものに思えてしまう"と言っていたらしいので私は次の恋愛をしようと必死だった。友達に何人か紹介してもらったけれど、誰のことも好きになることは出来なかった。かえって、この人のことを好きだった事実の重みを思い知る日々だった。
いつも"うんうん"って話を聞いてくれてありがとう。デートプラン考えてくれていつも私の予定に合わせてくれてありがとう。
たくさん悩んで悲しい思いもしたけれど、それ以上に幸せで大切にしてもらっているんだなと思えて次のデートまでの時間はウキウキして充実した時間だったよ。こんなあっけない結末になってしまったけれど出逢えてよかった。
どうか毎日ぐっすり眠って美味しいご飯を食べて嫌な事よりも楽しくて嬉しい事の方が多い毎日を過ごしてほしい。恋愛としての好きに加えて、人間としての好きがあったので、恋愛としての好きがなくなってしまっても人間としての好きが今でもずっと残っている。きっとこれからもずっと好きな人。