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【連載小説】『お喋りな宝石たち』~竹から生まれし王子様~第二部 第十九話「妖精が作る宝飾品」
第十九話「妖精が作る宝飾品」
なんと!
宝石が湧き出る国が宝石王国?
まるで油田じゃないの~
瑠璃が驚いてると、
「宝飾技術はフェアリーストーンしか持ってないから、
私達にしか宝飾品は作れないのよ」
レモンがお菓子の箱を開けると美味しそうに食べた。
「この国は美味しいものが沢山あって楽しい~」
クリソスも嬉しそうにお菓子を選んでいた。
「あなた達さっきからパクパク食べてるけど太るわよ」
「妖精は太らないもん。瑠璃は太るの?
宝石王国のものはその体系で作られてるから、
死ぬまで変わらないよ」
「へっ? 」
お菓子をつまむアレクに瑠璃は驚きの顔を向けた。
「私達の元は宝石だもん。
出来上がったルースは変わらないでしょ」
スミレが不思議そうに瑠璃を見た。
なんと!
この子らは食べても太らないと?
宝石が湧き出て国民は病気にもならずに、
食べてもぽっちゃりしないとな?
何と夢のような国!
瑠璃はぽかんと口を開けた。
ん? そういえば………
私も食べて飲んでるわりに体形が変わらない。
それは宝石王国の血筋だから?
おばさんだけど未来が少し楽しくなってきたぞ。
でも、ちょっと待てよ。
「ねぇ、あなた達怪我したら血は出るよね。
それって何色?
フォスも血で出来てるんでしょ? 」
「血はみんな赤だよ。
赤は炎を現してるから強さの象徴だろ。
王国は強くなければいけないからね」
「ふぅ~ん」
ネルの話に瑠璃は頷いた。
「王国は宝石を狙って他国が攻め入ってくるから、
戦闘力の高い国民が宝石魔女戦士に任命されて、
国を守るんだよ。
王国はダイヤモンドに魔法がかけられた壁で覆われてるから、
他国軍でも破れない」
「凄いのね」
瑠璃は宝石を食べながら思った。
ただし、内通者がいれば分からないけどね………
祖母が私にフォスを守れと言ったのだとしたら、
宝石王国が戦に巻き込まれる可能性を考えての事かもしれない。
だとしたらあの竹林は宝石王国と繋がっているから、
ここにも王子を狙って誰かが来る?
男は不吉………確かにどの国でも、
女より男の方が戦争を好む割合は高いか………?
祖母が父と離れて暮らしていたのは、
子供を守りたかったからだろうか。
とはいえ、死んだと思われてるフォスを殺しに来るとしたら、
既に王国にはスパイがいて、
祖母がこの国で暮らしていたことを知ってる?
そして祖母の死で父と私の存在も敵に知れて、
暗殺者がやってくる?
でも不吉なのは男で私は女だから………
フォスを守る為にこの家を残したって事?
だったらなんで今?
もっと若い時に魔女の訓練させておいてよ。
こんな付け焼刃で王子を守れと?
しかも役に立つのか立たないのか分からない妖精が十四人。
あ~どうすればいいの~
瑠璃は泣きながらパクパクと宝石料理を口に運んだ。
「涙は武器だが、
お前が泣いても役に立たんぞ」
チョコをつまむリチアを睨むとフォスを見た。
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