【連載小説】『お喋りな宝石たち』~竹から生まれし王子様~第一部 第十五話「十二ヶ月の守り」
第十五話「十二ヶ月の守り」
はぁ~純金と純銀か。
確かにゴールドとシルバーの髪で輝きも他の者と違う。
瑠璃がそんな事を思っていると、
彼らはそれぞれ自己紹介を始めた。
赤い髪の女の子は一月のガーネットで名前はザクロ。
二月の女の子はアメシストで紫の髪なのかと思ったら、
クリソベリルキャッツアイなんだそう。
そういえば瞳が黄緑色で輝きが違う。
名前はクリソス。
三月もアクアマリンではなくアイオライト。
菫色の髪の女の子で名前はスミレ。
四月もダイヤモンドではなくモルガナイトでピンクの髪の男の子。
名前はモルガ。
五月はエメラルドで緑の髪の男の子。名前はエメ。
六月も白い髪の男の子だが、
真珠でもムーンストーンでもなくアレキサンドライト。
確かに髪や瞳の色が光りの中でカラーチェンジしている。
名前はアレク。
七月もルビーではなくスフェーン。
髪がアップルグリーンの女の子で名前はフェーン。
八月はペリドットではなくスピネル。
ピンクレッドの髪の男の子だ。
名前はネル。
九月はサファイアの青い髪の男の子だが、
クンツァイトで名前はリチア。
十月はオパールの中でもファイアオパール。
オレンジの髪の男の子で名前はフレア。
十一月はシトリンで黄色の髪の女の子で名前はレモン。
そして十二月のラピスは、
ラピスラズリで瑠璃色の髪の女の子だ。
宝石王国も地球の誕生石と変わらないという事が分かった。
妖精たちに名前を聞いていると、
王子のお腹がぐ~と音を立てた。
そういえば私もお腹が空いた。
「ねえ、宝石王国って何食べてるの? 」
「瑠璃と同じでしょ? 肉? 野菜? あと宝石? 」
えっ? 宝石………って食べ物?
瑠璃のびっくりしたような顔に、
妖精たちが不思議そうに見た。
「宝石ってどうやって食するの? 」
「ここでは宝石は食べないのか? 」
リチアが驚くように目を見開いた。
「食べないわよ。だって石だもの」
「魔法を使うのよ。
フォス王子にとっては初めて口にするものだから、
やはり宝石料理でないと」
フェーンが言った。
「お皿ある? 」
「お皿………多分ある」
瑠璃はそういうと王子を膝から降ろし、
キッチンに向かった。
食器も新たに揃えたのか、
この家に合わせたものが並べられていた。
祖母は自分の死が分かっていたのだろうか………
瑠璃は皿を小さなダイニングテーブルに並べると、
「お皿を出したけど」
と妖精軍団に声をかけた。
「可愛いお皿ね~
王子が使うのにもピッタリ」
スミレの顔に笑みが浮かぶ。
「では作ろう」
フレアが魔法の杖を取り出した。
やっぱり魔法と言ったら杖なのね。
アニメみたい。
瑠璃は童心に戻ってワクワクしながら見ていた。
杖を振ると多くの宝石がカランカランと、
皿の上に落ちてきた。
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