【連載小説】『お喋りな宝石たち』~竹から生まれし王子様~第一部 第十四話「かぐや王子は丈夫?」
第十四話「かぐや王子は丈夫?」
「それに王子を守る為にここにいるんだものね」
その問いにも頷く。
「だったら、あなた達が育てて」
「お、王子を育てるなんて。
ここはやはり王子と同じ血統の瑠璃が育てるのが、
道理というものだろう」
「………」
結局、こいつらも王子を持て余しているという事か。
王女は何でこんなのをお守りに付けたんだ?
瑠璃は唇を噛んで考え込むと、
「あなた達の魔法って何が出来るの? 」
「何でもできるぞ。掃除も食事も。
王子を守る事なら魔法を使うのもやぶさかでない」
緑の子が言う。
「私は仕事もあるし、
王子をずっと見てることもできないわけ。
だから、普段はあなた達が身の回りのお世話をして」
「お前は何をするんだ? 」
「だから会社に行くの。夜にはここに戻ってくるけど、
それまでは面倒見てよ」
「朝から夜まで、俺達が王子を見るのか? 」
「そりゃそうでしょう。そのために一緒に来たんでしょ? 」
「………」
瑠璃の話に妖精たちは黙った。
「それとこの子の姿を周りに見せるわけにもいかないし、
魔法で見えないようにすることって出来る? 」
「出来る。
王子はここに飛ばされてきたばかりだから、
今は瑠璃にしか見えてないよ。
俺達の姿もね」
「なら大丈夫。
ある程度育ったら幾らでも誤魔化せるから。
そういえば、この子は病気になる?
宇宙人? 異世界人? て丈夫なんだよね」
「王子は宇宙人ではない。由緒正しき宝石王国の………」
菫色の女の子の言葉を遮り、
「フォス王子でしょ。分かってますよ」
漫画にしたらウケそう~
瑠璃は笑った。
「宝石王国に病気なるものはないわ。
怪我はあるけど、それもすぐに治癒する。
大怪我だけ医術の大魔法使いが見てくれるの」
アップルグリーンの髪の女の子が言った。
「それに宝石王国にも竹があるわ。
竹の毒を取り込んで生まれてくるから、
毒にも耐性があるの」
「病気にもならず毒にも強い。
万能ね。医療費もかからないし羨ましい」
瑠璃はため息をつくと、
「それよりあなた達って、
ずっとそんな小人サイズなの?
それで王子の面倒を見るつもり? 」
と聞いた。
「魔法が使えるから大丈夫。
体を大きくすると魔力を消耗するから、
このサイズが一番動きやすいだけ」
ピンクの子が説明した。
「じゃあ仕方がないわね。
小人のままでいいから魔法で王子を守って」
「言われなくても守るわよ。
その為に来たんだから」
黄色の子が言った。
「そういえば私、あなた達の名前を知らないわ。
ラピスは分かったけど」
「俺達は十二ヶ月を守るものだ」
青の子の話に瑠璃は頷いた。
「あぁ、誕生石なのね。
でも、十四人いるじゃない」
「私達は特別なの。
私はピュアシルバーでこの子はピュアゴールド。
ブロンとピュアよ」
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