【連載小説】『お喋りな宝石たち』~竹から生まれし王子様~第四話 第五十九話「新しいアクセサリー」
第五十九話「新しいアクセサリー」
家に戻り、
新たなデザインのリクエストがあったと話すと、
妖精たちは嬉しそうに、
「また新しいデザインを考えてもいいの? 」
と各々がアイデアを話し出した。
「だったら試作品を作ってみてくれる?
それを会社に持っていって、
会議にかけてみるから」
「わかった」
瑠璃の話に嬉しそうな笑顔になった。
「でね、このデザインのハートバージョンが、
お客様は欲しいんですって」
そういって春木が描いた画像を見せた。
「可愛いな」
リチアが笑顔で瑠璃を見た。
「でしょう? だからレジンでオーロラのハートを、
サイズを変えて作ってほしいの。できる? 」
「この前のラウンドと同じくらいの大きさ? 」
「そう。ハートになっただけで、
デザインは一緒だから」
「これでお星様とか三日月も可愛いけど、
ここではそういう石は難しいんだろう? 」
エメが瑠璃を見た。
「難しいというよりコストがかかるの。
でもそのアイデアもいいよね。
ついでにレジンと水晶、アメジスト………
あとはオニキスで作ってみてくれる?
聞いてみるから」
「分かった~」
彼らは嬉しそうに春木のデザインを見て言った。
数日後。
妖精たちが試作品を作り、
瑠璃はその中から自分のイベント用に幾つか残し、
残りを数点会社に持っていった。
太一たちがそれを見て、
「いいね~瑠璃ちゃん、デザイナーに向いてるよ。
うちは宝石店じゃないから、
こういうデザインの方がアクセサリーとしては、
需要が高いんだよ」
楽しそうに試作品を手に取った。
まぁ、考えて作ってるのは、
本物の宝石王国の妖精さん達ですからね。
瑠璃はふふふと笑った。
「イベントにはこの前の勾玉のお豆さんの他に、
何か出すの? 」
春木が聞いた。
「夏だからね。シェルアクセサリーと、
水紋のレジンアクセサリーをね。
さざれを閉じ込めて作ったのよ」
瑠璃がその試作品の画像を見せた。
「あ~確かに涼し気」
翠も横から画面をのぞき笑顔になった。
「私これ欲しい。先に一つ販売して。
友達にも宣伝するから」
翠の瞳が輝き、そのまま顔をあげて瑠璃を見た。
「いいけど、何がいいの?
ピアス? リング? イヤーカフ? 」
「ん~どれも欲しいけど…イヤーフックも、
サイズグラデーションになってるんだ。
ネックレスとセットでも使えるね」
画面に釘付けの翠が気になったのか、
美津子もやってきた。
「どれどれ~おっ、これはシニアにもいいわね」
笑顔になると、
「私リングが欲しいんだけど」
と瑠璃を見た。
「年取ると指が太くなるでしょう。
若い頃は九号だった薬指が、今は十一号なのよ。
レジンだと一回り上のサイズの方がいいわよね」
「そうですね。十三号でもインデックスで使えるし、
あっそうだ。これ私がいつも使ってるレジンリングなんだけど」
そういって鞄の中からミニポーチを出し、
リングを見せた。
「お花のリング。瑠璃さんよく付けてるものね」
美津子が言った。
「これ、中のプリザーブドフラワーを変えるだけで、
一年中印象を変えられるから、
イベントの時とかにつけてるのよ。
ほら、今度もお祭りがあるでしょう。
こういうのも作れますよって。
宣伝にもなるし、ワークショップでも人気なの」
瑠璃はリングを美津子に渡した。
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