【連載小説】『お喋りな宝石たち』~竹から生まれし王子様~第一部 第十一話「可愛い王子様」
第十一話「可愛い王子様」
竹取物語って、
もしかしたら月からじゃなくて、
異世界から来た………?
そういえば、
かぐや姫の成長も早かった気が………
抑々竹は成長と再生が早い植物だ。
その性質を持っているとしたら、
王子の成長の仕方にも納得がいく。
思い返してみると、
私も子供の頃から怪我をしても、
あっという間に治っていた。
それは宝石王国の血筋だからという事?
漫画じゃあるまいし、そんな異世界なんてあるわけが………
そう思いながら笑顔の王子を見た。
でも………ちょっと待ってよ。
祖母は父を連れて、
終戦から数年後に飛ばされてるとしたら、
えっ? 十七、八歳ってこと?
瑠璃がその事を言うと、
「宝石王国で初めて子供の儀式を受けるのは、
王女が十六歳~十八歳のお誕生日の時です」
ラピスが説明した。
「子供の儀式って何? ちょっと怖いんだけど」
瑠璃が顔を顰める。
「怖くないわよ。宝石王国には子をなすジオードがあるの。
そこに選ばれし王女が一滴血を垂らすの。
それでジオードから子供が誕生するわけ。
平民も十六歳~十八歳になると選ばれし女性だけ、
鍾乳洞に入って光る石筍に血を垂らし、
子供を連れて帰るのよ」
「怖い………」
「怖くないわよ」
紫の子が言った。
「ただ、許せないのが、
生まれたのが王子や男子だと殺されてしまうこと」
「えっ? なんで? 」
「宝石王国は女性だけの国だから男性は不吉なの。
でも、過去に男性が生まれたのは王家だけ。
だからなおさら女王は不吉だって騒ぐのよ」
赤の子が納得できないという顔で話した。
「今から七十年以上前よ。
エリス様が十八歳になった年に行われた儀式で、
王子が生まれて………
女王が首をはねようとして、
エリス様がその子を連れて逃げ出したの」
「私達妖精は宝石王国の属領、
フェアリーストーンと呼ばれる小さな石の島に住んでるの。
私達の作る宝石で近隣国を操ってるのに、
女王の手ごまにされるなんて本当に腹が立つ」
紫の子が面白くなさそうに話した。
「エリス様は王子を助けたくて、
時空の穴に自ら一緒に飛び込んで、
俺達ももう死んだと思ってたんだ。
国ではそこに飛び込むと魔力も消え、
亡くなると言われてたから」
青の子が腕組をし説明した。
彼らの話を黙って聞いていた瑠璃は、
「死ぬと言われてる時空間に、
子供と一緒にあなた達も放り込まれたってことは、
死んでもいいって事?
あっ、そうか。あなた達も王女の手ごま? なのね。
上に立つものってどこも同じね」
「………」
十四人がその話に顔を見合わせ驚く。
「えっ? 気が付かなかったの?
そりゃ死んでないからよかったけど、
一歩間違えてたら死んでたよね。ねぇ? 」
「うっ、リ、リノン様はとても美しくお優しい方です。
王子を守れるのは私達しかいないと、
そう思われたんですよ」
銀髪の女の子が言った。
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