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【連載小説】『お喋りな宝石たち』~竹から生まれし王子様~第二部 第二十六話「フェアリーストーンの歴史」


第二十六話「フェアリーストーンの歴史」

瑠璃が務める会社はハンドメイダーの間では人気のショップだ。

春木が会社の宣伝用に作った動画で作り方など発信したり、
石の買い付けや太一と美津子の愛犬も登場するなどして、
フォロワーも多い。

瑠璃のアクセサリー講座やライブ販売したりと、
瑠璃も意外と人気作家の一人なのだ。

直近のハンドメイドイベントは………

瑠璃がサイトを調べていると、
ラピスが幾つか魔法でアクセサリーを作っていた。

「あら~素敵」

これはロイヤルブルーの高品質のラピスラズリだ。

さすが宝石王国。

瑠璃は手に取ると、試しにリングを指にはめ眺めた。

「これなら瑠璃が言う所のチープ………じゃない、
リーズナブルな宝石のアクセサリーでしょう」

「うんうん。私が作ったと言っても大丈夫な作品ね。
あなた達はさすがだわ。
この国だったら宝飾職人として引く手あまたよ。
ただ、魔法というのがネックだけど」

瑠璃は笑顔でラピスを見た。

とに角お金は必要。

この十四人の食費もあるし、
フォスのこれからも考えなければいけない。

宝石王国から刺客が来るのか、
あるいはこの国に闇の組織があってそこから狙われるのか。

妖精たちが言うには政府が関係しているらしいし。

確かにその関係者に祖母は占いをしていたというのだから、
間違いはないのだろう。

彼らがこの家を監視し三種の神器を探しているとなれば、
それは権力者がどんなことをしても手に入れたいものなのだろう。

でも魔法が関わっているとしたら、
その事情も知っているとしたら、
私もフォスも命を狙われるかもしれない。

まずは魔法の鏡を探し出し、
私の魔法を強化すること。

大魔法使いのおばあさんにならないと、
どこから来るか分からない敵と闘えない。

この先体は老化していく一方なのに、

王子を守って………
ん? そのあとは?
国と調停でも結ぶという事? 
でも何の調停?
それともここを宝石王国の刺客が攻めてきて、
私が闘って国を守るって事?
そこからしてよくわかんない。
お祖母さんの手紙も何が書いてあるのか読めないし、
どうしたらいいのよ。

瑠璃は楽しそうに、
宝石アクセサリーを作っては並べている妖精たちを見た。

「ねえ、宝石王国で、
なんか不審な動きをしていた人物っていなかった? 」

「不審て? 」

「だから謀反を企てている人とか」

怪訝そうな顔をするスミレに瑠璃が言った。

「宝石王国は国の面積が近隣諸国に比べて小さいの。
だから人口密度も調節されてるし、
謀反を起こすほど問題抱えてないと思うけど」

「そう………でもさ、
あなた達も女王に不満はあるみたいじゃない」

瑠璃がレモンを見た。

「そりゃ、フェアリーストーンは属国だからね。
まぁ正確には宝石王国の施政国だったの。
今から百年以上も前よ。
あの辺りは国が多くて年中戦争してたの。
どの国の王も全てを統治したくて、
毎日のように殺し合いをしてた。
フェアリーストーンは小さな島で、
その戦争に巻き込まれたのよ」

ピュアがため息をついた。



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