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初期研修中断を考えている方へ

1.自己紹介

はじめまして、私はトニックウォーターと申します。初期研修1年目の12月に勤めていた臨床研修病院を退職し、初期研修を中断しました。この記事は初期研修で苦しい思いをしている人、中断を考えている人の参考になればと思います。無料で公開していますので気軽に読んでもらえたらと思います。

2.なぜ初期研修を中断したか

私はとある市中病院で働いていました。ハイポ寄りの環境で、当直は月4〜5回程度。働き始めると、熱心に研修に取り組み、誰よりも勉強し、当直中は「先輩に頼らず自分が診る!」という意気込みで臨んでいました。しかし、1か月ほど経つと、次第に違和感を覚え始めました。
「何かが違う」。
上級医に質問しても答えてもらえず、右も左も分からない状況で相談したいことは山ほどあったのに、「全部自分でやって」と突き放されるばかりでした。医師免許を取得したばかりの私は、この状況で諦めるわけにはいかないと自分を奮い立たせ、「こういう環境でも頑張らなきゃ」と日々奮闘していました。

先輩に相談しても、「この病院はそんな感じだし、やらなくていいならラッキーじゃん」といった調子。確かに、この病院は20年目以上の医師が多く、昭和気質で初期研修医に無関心な傾向がありました。

ここまで読んでいただいた方はお察しの通り、私は真面目で努力家です。学生時代から医学に真摯に向き合い、研修医になってからも「どこで働こうと自分次第だ」と決意して全力で業務に取り組んでいました。コメディカルの方々からも「こんなに頑張る先生は初めて」と声をかけられるほどでした。

研修開始から半年、初めての内科研修が始まりました。それまで全力で取り組んでいた私は、内科研修こそさらに努力が必要だと考えていました。しかし、徐々に体調に変化が現れました。不眠や頭痛に悩まされ、仕事でのミスも増えました。それでも「医師は頑張り続けなければならない」と思い込み、出勤を続けました。

内科研修が始まって4週目の終わり頃、突然、限界が訪れました。燃え尽き症候群に陥ったのです。頭が真っ白になり、カルテを眺めるだけで20分が経過していました。その場に居た看護師さんが異変に気づき、上級医が駆けつけてくれました。そして言われた言葉が、「一旦、休んだ方がいい」。

はじめ、その言葉の意味を理解できませんでした。「休んだら終わりだ、周りに置いていかれる」と思い込んでいたのです。しかし、不眠が続いていた現実を受け入れ、翌日、有給を取って休むことにしました。

突然の休日。しかし、動悸が激しく、眠ることができませんでした。
「あ、自分、壊れちゃったんだな……」
そう気づいた瞬間、悔しさと無力感で涙が溢れました。そして、「もう自分には価値がない」と考えるようになり、精神的に追い詰められていきました。

翌日、近所の精神科を受診し、「重度の適応障害」と診断されました。診断書が作成され、その場で休職が決定しました。「まさか自分が?初期研修を終えられないなんて……」と絶望しました。

休職期間中、抗うつ薬や睡眠薬を服用し、体調回復に努めましたが、心の傷は簡単には癒えません。頑張ることが取り柄だった自分が、頑張れなくなった。「生きている意味がない」とさえ思いました。

やがて少しずつ冷静に考える時間が持てるようになりました。研修病院への違和感、この環境で復帰できるのか、また同じ状況に陥るのではないか……そんな不安が募りました。そして、「一度中断する」という選択肢が頭に浮かびました。

体調を整え、気持ちを立て直して再出発すればいい。休職が終わるタイミングで病院に中断の意向を伝えると、あっさり承諾され、手続きも淡々と進みました。

3.どれくらいの研修医が中断を経験しているのか

厚生労働省の調査によると、平成27年から29年までに1.2%の研修医の先生方が中断を経験されているとの報告があります。(以下画像参照)
皆さんはこのデータを見てどのように感じましたか?私は意外と多いと感じました。少なくとも周りに中断経験がある人やそのような人に出会った事があるという話を聞いた事が無く、中断を視野に入れた際は「自分だけなんじゃないのか?」ととても不安になった事を覚えています。(あの時は視野が狭くなっていたと思います)
だからこそ、自分だけではなく様々な事情があって初期研修を中断された方がいることを知り、安堵しました。従って、現在初期研修を行なっている方で心身共に壊れそうな方は思い切って中断することも選択肢の一つに入れて欲しいと思います。再起不能になる前に勇気を出して考えてみて下さい。

4.これからについて
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