母のことを思い浮かべる
母はとても活発で、賢くて、
なんでもきっちりやってきた
国家公務員だった母は
仕事と家庭を見事に両立した
私たち三姉妹を育てながら
子供を保育園に送り届けて
8時半始業に間に合うように出勤するのが
どれだけ大変だったか、
もちろんその頃の(子供だった)私には
わからなかった
子供たちに朝食を食べさせて
出かける準備をさせて、
片付けて、洗濯まで終わらせて出かける
(その頃は二層洗濯機)
私たちの朝食は手抜きなし
ご飯とお味噌汁とおかずまで
毎朝きちんと用意されていた
即席のものは体に良くないと、
一から手作りした
そしてぐずぐずする子供たち3人を
ひとりで世話するのだ
それも時間に追われながら
並大抵ではない
到底私にはできない
そして仕事が終わると即座に役所を出て
子供を保育園へ迎えに行く
夕飯の買い物は昼休みに済ませておき、、、
帰宅するとすぐに夕飯の支度だ
干してあった洗濯物を取り入れて畳むのも
帰宅後の仕事
食事が済むとお風呂
子供たちを寝かせるまで休む暇はない
その頃は週休二日制ではなかったので、
(土曜日は半日)
月曜日から土曜日まで毎日そんな生活だ
日曜日も母は休めない
子供たちの世話に休みなどないから
朝食、昼食、夕食の世話や掃除、洗濯、
時には家族でサイクリング、
また時にはデパートへのお出かけしてお買い物
(子供たちによそ行きを着せて)
デパートへ行くときは
昼食はホテルのレストランで
コース料理を食べて帰った
それがとても楽しみだったことを思い出す
父はというと、ときどき洗濯物を干していたことや
ときどき料理をしていたこと、
一緒にサイクリングをしたり凧揚げをしたこと
などの記憶はあるが、
思い出すのはほとんどがいつも動いていた母のこと
そういえば私が保育園の頃、朝は父が連れて行ってくれてたっけ
私には子供が一人いるが、
母がいつも手伝ってくれたので、楽してこられた
朝食の準備や洗濯、お迎え〜夕食の準備まで、
全て母に任せきり、
母がいてくれたおかげで安心して仕事ができた
子供が生まれて6ヶ月で職場復帰してしばらくは
毎日授乳のために地下鉄で子供を連れて
私の会社に通ってもくれた
(その当時は育休は制度ができて間もない頃で、
期間も1年、給付金も出ない時代)
そんなにお世話になりながら、
なんの労いの気持ちも持たず甘えてきた
その頃母は60歳
今私はその頃の母の年齢に近づいている
今の私が孫のためにそんな労働ができるだろうか
いや、とても真似できない
母ってすごい人
私はそんな母の苦労や、母という存在の大きさに
気づくことなく生きてきた
今、寝たきりになった母にはただ寄り添うこと、一方的に話しかけることしかできない
ママ大好きだよ
ママ苦労をかけてごめんなさい
元気な頃の母を思い浮かべて
自分のことしか考えずに生きてきた自分を悔やむ
今は毎日母のそばで
ずっと一緒だよ
元気になってまたお出かけしようよ〜
と言いながら、
元気な頃の母に戻れる日を夢見ている