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お城、城下町の復元について
こんばんは。ヒデりんこと白岩秀彦です。
寒い日が続きますね。
休みの日にはお城や城下町巡りをしたいのですが、ついこの時期は家にこもりがちになり、外に出るのが億劫になりがちです。
そんなわけで家で本を読んだりする機会が多くなったのですが、最近お城に関する新書を読み、考えさせられることがありましたので、ご紹介します。
香原斗志著「お城の値打ち」
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著者の香原氏(以下「著者」)は、歴史評論家としてお城に関する研究をされている方です。
本の要旨はざっと下記の通りです。
・現在、各地で観光客呼び込みの手段として空前と呼べるほどの「お城ブーム」が起こっているが、著者からいえば、それでも日本の城は世界と比べてかなり破壊されているのが現状。
・お城が破壊されたのは明治初期と太平洋戦争時。明治初期はお城が旧体制の悪しき象徴として扱われ、文化的価値を考えずに破却された。かろうじて破却を免れたお城も、多くが太平洋戦争時の空襲で焼失してしまった。
・今も残るお城は、数々の破却の危機を乗り越えた大変貴重な文化遺産。しかし問題は、お城という「点」は残っても、本丸御殿や城下町、堀を含めた「面」として残っているものは皆無。
・一旦破却されたお城で戦後復元されたものもあるが、創建時の絵図や設計記録を検証ぜず再建されたケースもある。
それは歴史の文化遺産を復元することを意味していない。
・日本には過去を検証せず、利便性という価値基準で対応しがち。その犠牲となったのが、無惨に破壊されたお城。
・価値ある復元とは、史実(創建時の絵図や設計図、あるいは幕末写された写真)に基づき、忠実に再建すること。時間と費用はかかるが、そこに日本の歴史や文化、伝統の値打ちが反映されることになる。オリジナルな姿を損なわないことが後世に伝えるべき価値となる。
・ヨーロッパのお城は、城郭(天守や御殿)と城下町を一体として保存し、国の文化遺産として継承している。金沢城(石川県金沢市)や熊本城(熊本県熊本市)のように、櫓や門などを「点」として復元するだけでなく、城郭という「面」として復元すべき。
・お城の値打ちを考えるとは、日本人のあり方を考えること。
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本書の中で私が特に感銘したのは、
お城を、天守や櫓など「点」として復元するのではなく、城郭という「面」として復元すべき、という点です。
私も多くはないものの全国各地のお城や城下町を巡っていますが、やはり天守や櫓だけの「点」だけでは感動が薄れてしまう感じがします。
お城の価値は天守だけでなく城郭があってこそ高まるはずです。
(私が城下町のジオラマが好きな理由もそこにあります!)
私的には、城下町の復元もあればなと思います。ヨーロッパのお城は構造上城下町を含めて高い壁で覆われた「城塞(じょうさい)都市」なので、往時の町の息遣いも伝わってくるのですが、日本は城郭と城下町が分かれて存在しているため、多くの城下町が都市開発で往時の面影を失っています。
人が住むので100%往時の環境を残すのは難しいものの、通りや建物の一部を復元するなどの環境整備はできると思います。
来訪者にとっても、天守や櫓だけでなく堀や城下町など周囲の環境も見たいはず。城郭と町の全体を把握することが、その地域の価値を高めると感じました。
私も微力ながら、お城と城下町の魅力発信を続けていきたいと思います。