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『恋とか愛とかやさしさなら』①
衝撃すぎて言葉が出ないとか、一生忘れないとか。
そんなのは浅い、と思ってしまった。
否定しているわけではなくて。
そんな感想しか述べられない幸せな人生を生きてきたあなたは、幸せだと思う。
だから安易に立ち入らないで欲しい。
※以下、ネタバレではなく書き手の体験ですが、ネタバレ厳禁の方はお控えください
高校生の時、痴漢に遭った。
相手は未成年だった。
相手は、中学校の同級生だった。
秀才で、学級委員長もしていた。
優等生だった。
気持ち悪いLINEもたくさん送られてきた。
気持ち悪かったけど、証拠を残さないとと思って、消さないでいた。
いつかスマホを変えた時に全部消えたけど。
今は、何にも残ってない。
私の記憶だけ。
先生にも親にも言わなかった。
仲のよかった友達3人に話した。
被害に遭った可哀想な子、と気を使われ続けるのは御免だった。
友人からも先生からも信頼されているそいつを犯人と言って、味方になってもらえる自信がなかった。
今、平然と同性の友人らとはしゃぐそいつを見かける。
誰も、彼を犯罪者の目で見てない。
たまに、全部被害妄想で、本当はそんなことなかったんじゃないかと思う日がある。
だって、きっと、私の記憶にしか残ってないから。
逮捕されたわけでもない。
どれだけネットを漁っても出てこない。
私の記憶が無くなれば、なかったことになりうる、罪。
*②へ続く