[#4:フィールドワーク基礎] メッシュワークゼミ記録
各自の研究活動を前に、基礎を学ぶ機会として実際に集まって1日フィールドワークを行う回だった。
9/24(土)当日から、丸1週間空けてしまったのですでに回顧的ではあるけれど現時点で頭に浮かぶこと、やったことを記録する。
約5時間、あらかじめなんとなく書き出した各々の観点・関心で観察してくるという以外には、比嘉さんからはとくに観察すべきポイントやまとめかたなど事前のガイドなく出かけていったのだけど、それが故にみんなそれぞれのものの見方、記録の仕方で体験を持ち帰ってきていてそれを聞くのがとても楽しかった。
自分はというと、事前のメモにはこんな程度しか書き出しておらず、なにを見てこようかなという状態からはじめた。
なんのこっちゃわからない。たぶん、人間の内側で起こっていることと、それが外側にどのように表現されるのかに関心があるのだと思う。
見つけたことの断片メモ
立ち寄り先は、病院→カフェ→家具屋2件→古着屋→裏道巡り。
もしこの続きをやるなら、という観点で今回気になったポイントを太字で残す。
上のメモにあるふんわりレベルで、気づかいを観察してみたいような気がしていたので(実際そこまでではなかったのだけど単に他が思いつかなかった…)最初にとある病院を目指した。併設の喫茶店や、待合を観察してみようと思っていたけど、行ってみたら休日だった。シンプルな事前調査不足。
その病院の裏手には、タクシーや運送トラックなどの車両がずらり縦列駐車されていて、運転手はほとんど車内でシートを倒して寝ているかコンビニ弁当などを広げて食事中だった。移動を生業にしている方々は休憩場所を見つけるのが大変だと聞く。
通行車両の邪魔にならず、駐車禁止でなく、地元住民に通報されず、次の移動に不便でないスポットはそう多くないだろう。どうやって休憩場所を見つけるのだろうか?自分で見つける?ネットワークで?どのような?
今回はとくにカフェ滞在中につぶさに記録を残した。店内の雰囲気、来店者の様子、店内のスタッフの方々の様子。
当日の悪天候も相まって来店客が計4組だったけれど、記録するうちにふと浮かんだのは、人は何を見てその場の「暗黙のルール」を読み取るのだろうか?という問い。
飲食店で言えば…
席は自分で座るのか、声をかけられるまで入り口で待つのか。カウンターで注文するのかテーブルにお店の方を呼ぶのか。話し声の大きさとか、注文のあとに立ち歩いていいとかよくないとか。
裏道を充てもなく歩きまわる時間が一番楽しく、自分の関心を引くものが多かった。住宅地も含むのでここに写真を貼るのは控えるけれど、以下、撮ったものたちのメモ。
ちいさな祠の前に敷かれたグリーンの滑り止めマット。たしかにちょうどお参りで立つところの足元は、雨の日に滑りやすそうなツヤツヤの石が埋め込まれたしつらえになっていて、これは晴れた日にもあるのか雨の日だけに出されるものなのか気になった。誰かによる、誰かへの気づかい。
個人営業のクリーニング屋の裏口で、スツールを半分だけ外に出して腰掛け、本を読む店主(と思われる)女性と、その足元に寝そべるへちゃむくれわんこ。このふたりはいつもこうしてお客を待つのだろうか。
「所属不明の野良植木鉢」と、個人宅玄関前で繰り広げられる、植木鉢だけで構成された「庭」。ここにある植木鉢たちは、どんな役割を与えられているのだろう。
肉まん屋さん裏口の、つぎはぎ二重扉。肉まん屋で二重扉が必要になる事情とは。あと付けなのか、劣化の修繕なのか、ぐるりと釘が打ち付けられた上下のドア枠はもしかして取り外しできるものなのか。外扉のドアノブが当たらないようにその部分だけくり抜かれた枠ももはや愛らしい。
対象を見ることで、自分自身を見出す
今回の滞在では、このフィールドワーク以外にも感性を使うインプットが多かった。リヒター展にはじまり、山口幸士展・武田鉄平展と巡ったので、なんか、普段にも増してぼんやり、ふわふわしたモードでいたような気がする。目で見つつ、身体全体でもその場所に浸かる、くらいの感じ。
言葉に落ちない、沈殿しきらないような気分で未だにいる。そういう、自分のコンディションみたいなのは前提としてどうやったって無関係にはならない。
観察は自分との相互行為なのだなと、あらためて思う。見て、見たものを知ることで、自分が見ていることを知るというか。そしてそこから、そういうものを見ている自分に気がつく、みたいな。
今回終えてみて、たとえばその人がなにを思って、その結果その行為が表出したのか、という問いに向き合うにはまだまだ材料が足りないなと感じた。足りない、と思えたら次の道筋が決められるということ。
こうして、フィールドに出てみてはじめて自分の問いが浮き上がってくる感じは楽しい。
本題の研究テーマとは関係なく今回のフィールドワークをやっているつもりでいたけれど、結果的にはこうして、人間の内側が気になっている自分に行き着くのだな。
いただいたサポートは、制作活動や参考書籍購入に使いたいと思います。