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ジェーン・ドウの解剖(アメリカ:2016) #居石信吾の映画実況雑記


 今月はミッド・サマーを観に行く予定なので、ホラー映画耐性をつけるためにこれを選んだ。
 やたらリアルな検死解剖の流れと、不可解な証拠の数々が不穏さを醸し出し、そして巻き起こる怪奇現象……という映画。ミステリーサスペンスめいているが後半はジャンルが変わる。コワイ! 俺は怖い映画は苦手なんだ! シックス・センスすら怖くて見返せないんだぞ。なんで怖い映画を観に行くために怖い映画を観てるんだもういやだ。

注意!

以下の文章にはネタバレしかありません。

なお、これは一人実況していたツイートを見ながら記憶で書いているので不正確なところがあったり時系列が正しくなかったりします。ご了承ください。




 開幕からいきなり一家全滅しており、地下にジェーン・ドゥちゃんが半分露頭した状態で居た。ジェーン・ドゥちゃんは本作のヒロインであり、作品の大半の時間我々は彼女のおっぱいを見ることが可能だ。もちろん死体なので乳首は灰色である。ロシア版ヴォーグのモデルのおっぱいが観られるのはジェーン・ドゥの解剖だけ! いや○Videoとかでも見られるかもしれないが。彼女は身元不明遺体(ジェーン・ドゥ)として一家代々遺体安置所と火葬場を営む、父子と猫一匹が暮らすティルデン家へと運び込まれるのであった。
 ティルデン家地下の手術室では検死医の父と助手の息子がラジオでロックを流しながら焼死体を解剖していた。死体の状況から死因を鮮やかに特定する父のインテリぶりが光る。
 そこにやって来る息子の恋人。息子と視聴者を無駄にびっくりさせて俺の怒りゲージを貯めた。更にワガママブロンドっぷりを発揮し、安置されてる遺体を見せろと言う。ここで俺はこの女は死ぬと確信した。不謹慎なやつは死ぬ。しかし意外にも父が許可を出す。見せられた遺体の脚には鈴。これは昔は仮死状態の人間も早とちりで運び込まれてきたので、動き出したら分かるようにつけているのだ。トラディショナルスタイルを大事にする父の職人的拘りである。遺体の顔の布を取ろうとするブロンドに対して息子が鈴を鳴らしてドッキリ返しをしてワガママはお開きとなった。
 デートに行くだの行けないだの、街と家を捨てビッグサクセスするだのしないだのの後に結局死体解剖続行するからまた後で来てくれと恋人にお引き取りいただき、再び地下に降りたところで保安官がジェーン・ドゥちゃんを連れてやってきた。マスコミ対策で明日の朝までに死体からなんか情報をくれとの無茶振り。引き受ける父。ああブラック労働。
 さてジェーン・ドゥちゃん、早速父の観察眼によりおかしな所が判明する。ヘッダー画像にもあるように灰色の眼をしているのだが、これは死後数日経たないと変色しない。にも関わらず死後硬直も死斑もない。どうでもいいけど俺はいつこの目がギョロッと動くか不安で落ち着かなかった。ちなみにネタバレをしてしまうとジェーン・ドゥちゃんは最後まで動かないのでごあんしんだ。
 その時ごきげんな音楽を流していたラジオに異変が。なんか混線して女の子が歌う童謡が流れてきた。ラジオに異変が起こったらヤバイのが近くにいる証拠だとサイレントヒルで習っただろ! 逃げて! ラジオ先輩による煽り行為はこの後も続き、ノイズ混じりになったりニュースキャスターが「ヤバイ嵐が来る。異常な嵐です。もはや逃げ場は無い」とか歪んだ声で言い出したりと俺を散々ビビらせた。
 色々調べていくとジェーン・ドゥちゃんは手足も砕かれていると分かった。しかし肌に傷はない。単純骨折ならまだしも複雑骨折でこれは無理ゲーである。しかもウエストが異常に細く、これは数百年前に流行ったコルセットをしていたようだ。口の中の舌は切り取られている。やはり中を見てみないと分からんな、開けるぞ! ここからは解剖学的グロ描写が続くが、父が徹底してプロフェッショナルなのでコワイというよりむしろ感心する。
 予想通り、中も色々不可思議なことになっているジェーン・ドゥちゃん。肺は焼け爛れ内臓には刺し傷が無数にある。もうこの時点で息子はおかしいと思いまくりであり、父にやめようよと進言するのだがプロである父はまだ何も分かってないだろと一蹴。解剖は続くよどこまでも。
 その時である! 手術室の外で異音! 恐る恐る息子が様子を観に行くと、廊下のカーブミラーに人影が……なんだ気のせいか。気のせいな訳あるか。超常現象開始である。異音の原因はダクト詰まりしたネコちゃんだった。瀕死! ネコちゃんが辛い目に遭うのは人が死ぬより辛い。俺の怒りゲージが溜まった。ネコちゃんは妻の形見だったのだが父はカイシャクした後速やかに火葬し、解剖を続行する。その高すぎるプロ意識は尊敬するがもう帰ろうぜ……。
 ここからは更にコワイ展開の連続である。胃袋の中からはチョウセンアサガオと、魔法陣が書かれた布に包まった歯が出てきた。出たよチョウセンアサガオ。チョウセンアサガオが出てくるだけでオカルト度が高まる。更に皮膚の裏側にまで魔法陣の刺青が。皮膚の裏側に魔術的プリントを施して戦闘能力を高めるってのは創作のネタに出来るかもしれないなと思いました(悪い癖)。
 ここで嵐の影響か停電発生! 世界は暗黒に包まれ、コワイから部屋を明るくして観ていた俺は余りの見辛さに照明を消して画面の明度を上げた。流石に解剖は無理だこれとなって手術室から外に出てみるも、上に昇るためのエレベータは動かず電話は通じず、階段で外に出ようにも嵐で木が倒れてい脱出不可能。まるでミステリーでの雪山の山荘じみた孤立具合。
 どうすんべ……と困っていたら、部屋の外から鈴の音が。そう、死体の脚につけていた鈴である。この演出は上手いと思った。めちゃくちゃ怖くなって俺は再び部屋の照明を点けたがやはり見辛いので消した。
 手術室に戻ってくると意外にもジェーン・ドゥちゃんはその場から全く動いていなかった。しかし手術室の外にも蘇ったと思しき死体が! うんざりですわ、明らかにジェーン・ドゥちゃんのせいでしょ。燃やすわ。父は燃料をかけ息子が火を放つ。えっ!? 手術室で燃やすんですかい!? うるせーしらねー火属性付与(エンチャントファイア)! しかしジェーン・ドゥちゃんは火属性無効のOPを取得しており、炎は解剖を記録していたビデオカメラや証拠に撮った写真だけを的確に燃やすのであった。
 なんか電気が急に復活したのでエレベータで脱出するために外に行く……がやはり迫ってくる鈴の音。死体が歩くと鈴の音が鳴るのはどこかジャパニーズワビ・サビを感じさせる。エレベータ先輩はホラーゲーだと大体聖域なのだが本作は特にそういうことはなかった。迫る鈴の音に対して聖なる武器消火斧で迎撃する父。しかし動く死体かと思ったそれはなんと息子の恋人だった。ナンデ? 唐突なゲン・ジツナンデ?
 結局全てはジェーン・ドゥちゃんのせいであり、彼女の謎を暴くことで何か突破口が開けるかもしれないと手術室に再び戻る親子。途中謎の安っぽい霧が発生して死体のアンブッシュを受けたりするのだがなんとか帰ってこれた。酷い無駄足でしたわ。
 ジェーン・ドゥちゃんの頭を切り開いてい脳みそを調べてみる。なんと脳細胞はまだ生きていた。更に胃から布切れの謎の文字列も旧約聖書レビ記の魔女狩りの箇所であったと判明。ジェーン・ドゥちゃんは17世紀のセイラム魔女裁判の被害者だったんだよ! な、なんだってー! しかしセイラム魔女裁判みんなどんだけ好きやねん。俺も好きだけど。
 儀式めいた拷問が本当の魔女を生み出してしまい、今も呪いをばら撒いている――という謎が解明した辺りで、怒りゲージと恐怖ゲージと謎解きゲージが共振を起こし、俺の精神はSCP財団職員のそれとなった。

―ジェーン・ドゥは生きている―
『オブジェクトクラス:Euclid。SCP-XXXは、白人の20代女性の遺体です。死後間もないように見えますが様々な解剖学的証拠から彼女は17世紀のセイラム魔女裁判で死亡したものと断定されています。焼却に対して耐性を持ち、後述する現実改変を行うという異常性を有しています』。

 この映画は財団収容前に起こったインシデントレポートなんだよきっと。
 父はジェーン・ドゥちゃんにお願いして息子だけは助けてくれ、なんでもいうこと聞きますから! と頼み込む。ん? 今なんでもって言ったよね? そんじゃ、ダメージ転嫁させて貰いますわ。急速に傷が回復して目の色も戻り復活しかかる魔女。綺麗な目をしていたんだね、気付かなかったよ。ちなみにジェーン・ドゥちゃんはここで起き上がったりはしない。最初から最後まで堂に入った死体っぷりである。父は手足が砕け解剖でつけた傷のダメージまで喰らい息子に殺してくれと懇願する。葛藤しながらもカイシャクすると、魔女の復活も止まった……全ては終わったのだ……。
 外からは保安官の声。ようやく助けが来た。階段を昇ってドアを押すが、やはり木が引っかかっているのか動かない。あとちょっとで開くよ! と励ます保安官がいきなり童謡を歌い出す――ラジオから流れてきたあの歌を。後ずさる息子。どういうことだ……背後。殺したはずの父が――驚きで階段から落ちて息子も死亡。ゲームオーバー。ティロン♪ トロフィー:魔女のまやかしを取得しました。
 一夜明け、本物の保安官達がティルデン家を捜査している。カーラジオはここ四日間続く快晴を伝える。木も倒れてなどいない。仲のよかった一家に何が起こったのか。カメラは燃えていて真相は不明。無能すぎる保安官は明らかに怪しい死体を郡外の大学に委託し、それで事件の幕を引くことを選んだ。
 車で運びだされるジェーン・ドゥちゃん。運転手は気さくに同乗者に語りかけている。「約束は守るよ」と。カーラジオからは音楽が流れている――あの童謡が。運転手が話しかけている相手は……。

 こうやって書いているとなんか茶化しながら観てんなこいつって感じですが、実際は怯えながら一人で観ていました。記事書くために一人でTwitterのサブ垢で呟いていたのですがそれがより孤独感を深めてきつかったです。
 内臓グロとかも確かにあるのですが、そこは登場人物がプロなのでそこまで怖く感じませんでした。モツ苦手な人にはきついかもしれませんが、雰囲気で怖くなる映画です。でも少しは解剖学的勝利も見たかったな。真相解き明かしても詰みとか酷い。
 しかし丸々話を要約して語ってしまった。感想ではなく実況よこれじゃ! 感想記事は俺には書けない! 毎週一本はこういう記事を上げていこうと思うのでそのうち洗練されて感想記事になっていくかもしれない!

 ちなみにジェーン・ドゥの解剖は記事執筆時点ではAmazon Primeで観れますよ!
 ジェーン・ドゥちゃんのおっぱいを観よう!

https://www.amazon.co.jp/gp/video/detail/B075QT6FZB/ref=atv_dp_share_cu_r

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居石信吾
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