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あとがき――若しくはとあるアサイラムにおける或る物書きの面談(2)

註:監視カメラの映像より抜粋。音声は別途編集したものである。

「えー、それでI.Sさん。あなたは#サプライズニンジャコンに参加したと」
 白衣を着た医者、あるいは研究者のような人物は溜息混じりに確認する。コロナウイルス対策のためか、口にはマスクをつけているのでその声は奇妙にくぐもっていた。
「そ、そうです。サプライズニンジャセオリーに従って既存の作品にニンジャを登場させて面白くなるか試した極めて思弁的かつエキサイトな一作です!」
 やや瞳孔が開き気味の物書き──I.Sに対して白衣を着た医者、あるいは研究者のような人物は軽蔑も露わに返答した。
「そんな理由で貴方の作品にしては奇跡的に反応が良かった『最期のクリスマスまで、あと』を汚したんですか?」
「汚すだなんてそんな……あれは私の作品だ。作者が自作をパロるのになんの問題があるんですか」
「作品が純粋に作者の物であるのは執筆の最中のみですよ。書き上げて公開した瞬間から、良きにつれ悪しきにつれそれは独り立ちを始めるのです。第一別の企画に出したものをまた別の企画で流用するその性根が汚い。ハイコンテクストになりすぎて読者を選びすぎている」
 白衣を着た医者、あるいは研究者のような人物はにべもない。
「更に貴方は節操もなく#ヘッズ一次創作SFアンソロジー企画にもタダ乗りしたそうじゃないですか。アンテナ感度が低いどころかそもそもアンテナを立てていなかったので存在を知ったのが募集締め切り後という為体だったというのに」
「あ、あれはエア参加も受け付けていたからで……。さっきからやけに刺々しいじゃないですか。僕が投稿したその二作は言っちゃあなんだが読者受けは良かったんですよ! 特に「円環する円盤の物語」は登場する種族や世界の設定も凝っていて……面白ければ全ては許されるんだ!」
 I.Sが反論したその時である!
「ダマラッシェー!」
 ナムサン! それは古のニンジャスラングだ!
「アイエエエエ!」
 I.Sはしめやかに失禁! いつのまにか目の前の男のマスクはメンポ(註釈:面頬)となり、白衣はジュー・ウェアと化している! そしてその腰には黒帯! 男はニンジャだったのだ!
「貴様如きはいつまで経ってもカスの下っ端。スキが普段よりついた程度でのぼせ上がるなよ。映画感想記事も連載作品も書いていない分際で」
「そ、それは……仕事が忙しく……時間が! コロナが!」
「クチゴタエスルナー!」
 打擲! I.Sは歯を2、3本撒き散らしながら床にもんどり打つ!
「アイエエエエ……暴力はやめてください……」
 I.Sの哀れな懇願はニンジャには届かない。メンポの上からもわかるサディスティックな笑みを浮かべ、ツカツカと歩み寄ってくる。
「暴力? 違うなこれは指導だ。こうでもしないと貴様はいつまで経っても普段仲良くしてくれている神のようなフォロワー様たちに寄りかかり寄生虫めいて企画の甘い汁だけを啜るクズカスに堕するからな。指導!」
 打擲! 吹き飛ぶI.S! 高笑いするニンジャ! だがカメラは捉えていた……部屋の入り口にいつの間にか立つカラスめいて不吉な黒尽くめの男の姿を!

【続かない】

これはなんですか?

ニンジャがいきなり出てくるあとがきです。ただそれです。


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