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STAND BY MEドラえもん2(2020:日本) #居石信吾の映画実況雑記

 巷で噂のSTAND BY MEドラえもん2を観てきたので感想を書きます。
 これは「ドラ泣き等と言って感動ポルノで消費するのは許せん!」「前作がアレだったので(観る気は)ないです」といった方にこそ観に行って欲しい映画です。


注意!

以下の文章にはネタバレがあります!

注意!


ストーリーは一本筋が通っている

 僕は前作を観てないのですが、一番良く聞いた意見は「感動エピソードだけをストーリー無視して切り貼りしただけ」というものでした。
 今作も「おばあちゃんのおもいで」や「ぼくの生まれた日」等屈指の感動エピソードと言われている原作を下敷きにしているのですが、切り貼りではなくきちんと一本のラインにまとめてあります。
 おばあちゃを懐かしがったのび太が、過去でおばあちゃんに会って「学校に行く姿が見たい」というおばあちゃんの夢を叶える……が欲が出ちゃったおばあちゃん、今度は「のび太のお嫁さんも見たい」と言いだしちゃう。お安い御用とタイムテレビで結婚式当日を覗いてみると、なんと時間になっても式場に現れず途方に暮れるしずかちゃんとジャイアンスネ夫の姿が!
 なにやってんだよ未来の僕! なんとかせねば! から始まるコメディ調のお話です。
 割と頻繁にタイムマシンで過去と未来を行き来して、それが結構良質な「時間モノ」としての面白さまで生んでいる。画面に良く分からない物体や現象が映って後でそういうことだったのか! と回収されるやつ、好きですか? 好きでしょう。
 あと無理に「泣き」を取りにくるような構成でも無いんですよ。「ここが泣きポイントですよ!」と「哀」ボタンを手元で押させるディストピア映画ではない。のび太の意識改善がメインで、大長編みたいな大冒険はないですけど。
 といってもストーリーに難がない訳でもないです。特に「のび太の結婚前夜」から続く話なのでこのお話大好きで神聖視しています! という人は拒否反応示す可能性があります。かくいう僕がちょっと示しました。前日あんだけ覚悟決めてたのにお前はよお!

フルCGとSFとしてのドラえもんとの相性の良さ

 本作に拒否反応を示す方の中には「CGがちょっと……」という人もいるでしょう。というか僕がそうでした。予告編とかでも「なんかのび太キモいな……」と思ってました。今でものび太はちょっとキモいですが、それを差し引いてもありあまる魅力があります。
 それが未来都市の街並みと、ドラえもんの道具です。冒頭から出てくる重力ペンキからして中々良い。
 白眉はなんといってもタイムマシンの通り道である時空間の描写ですね。これまでのドラえもんの中でもトップクラスにかっこいいです。タケコプターから俯瞰するCGの街並みも素晴らしい。

かつてのび太であり、現在のび太になれなかった僕たちへ

 今作ののび太くん、劇場版なのに性格が原作寄りなのでオイオイオイとなる箇所は幾つかあるのですが、基本的にモヤモヤは全て解消されるのでご安心ください。
 それより僕が(勝手に)一番ダメージ受けたのは、大人のび太くんが結婚式で行うスピーチの立派さでした。
 めちゃくちゃ大人のスピーチで、本当に立派で各家の両親への感謝、しずかちゃんと温かい家庭を作っていくという覚悟、全てが完璧なんですよ。俺は絶対ドラ泣きしてやらねえと思ってましたが、ここで少しドラ泣きしました。
 何より大人のび太君の結婚式、友達や恩師が来てて本当にあったけえんだ(出木杉くんはなんか月面から中継してましたけど前日一緒に呑んでたよな……?)
 元々大長編ののび太君は立派なやつではありましたが、それは特別な舞台だから……と思っていました。が、あのスピーチ聞くと「のび太は15年でこんだけ立派に成長したのに翻って俺は一体何を……」となります。
 ちくしょう、俺にもドラえもんと将来結婚する予定の幼馴染の女の子がいれば……。
 とまあこういう意味でこれは子供向けではなく、かつてののび太君を観ながら育った大人が観るべき映画ですよ。
 あとエンドロールで回収されるネタもあるので最後まで席はたたないでね!

以上です

 冒頭でも述べましたが、今作を完全に舐めきっている人ほど観て欲しい映画です。一緒に掌返そうぜ!

 あ、「ドラ泣きマックスIMAX」というキャッチコピー考えたやつは担当者が苦と惨と悲を絡めて地獄に落としておきましたのでご安心ください。

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居石信吾
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