解題「Glossolaliarts 2199」

　これは以下の記事、

「Glossolaliarts 2199」の思いついたけど押し込めなかった設定の捨て場所です。没設定とか裏設定が好きな人向けです。

登場人物

ル・カ（流・渦）
　小規模遺跡攻窟団「ディセミナシオン」の名目上の団長です。性別、男。年齢、18歳。人種、旧亜細亜系。身長180cm、体重75Kg。目も髪も黒。
　14歳の時に、艦をとある事件で入手した際に長年の夢だった遺跡攻窟団を艦載AIと一緒に立ち上げました。艦のブリッジには以前の持ち主の写真が一番目立つ場所に飾られています。
　リ・リとは幼馴染みで、旗揚げから二年目に雇い入れました。現詞力推進艦『フォノセントリズム』のパイロット兼艦長。操船の腕前はプロの水準としても高く、界隈での評価はそこそこです。明るくやる気に満ち溢れており、団をビッグにする事を夢見ています。攻窟の際は主にハンドガンとプラズマ現詞刀で戦います。武器の腕は中の上です。甘い物が大好きで、冷蔵庫には常にプリンなどのデザートが常備されていますがリ・リに時々間違えて(もしくは故意に)食べられてしまうので名前を書いているというみみっちい面もあります。
　勘が鋭いのですが、余り活かせる機会がありません。フォノセントリズムの艦載AI「デリダ」の言う事がなんとなく分かりますが、あくまでなんとなくなので時々死にそうな目に遭っています。

リ・リ（李・梨）
　小規模遺跡攻窟団「ディセミナシオン」の団員です。性別、女。年齢、18歳。人種、旧亜細亜系。77・50・78。身長155cm。目は明るい茶色、肩までかかる髪は黒ですが、青色が2〜3房混じっています。
　ル・カとは8歳まで同じ機殻都市・上海の上層スラム街で育った幼馴染みでしたが、2年前に再会するまで疎遠になっていました。風の噂でル・カが攻窟団を立ち上げたと聞き、勤めていた定食屋を辞め、副業の裏賭博で稼いだ金を持って押し掛けました。
　フォノセントリズムではオペレーター、ナビゲーター、事務会計全般、艦内の掃除洗濯食事製作、クライアントとの交渉、新規の仕事の受注等々、操船や攻窟以外のほぼ全ての業務を甲斐甲斐しく、そして口喧しく請け負っています。リ・リ無しではもはやディセミナシオンは成り立ちません。被雇用者ではなく、ル・カとは対等の相棒であると考えています。

デリダ（DeRRIDA）
　現詞力推進艦『フォノセントリズム』の艦載AIです。無性別ですが、必要に応じて出力されるインターフェイスアバターでは美形の白髪赤目の女性の姿を主に使用します。これはデリダの主任開発者の最期の見た目です。
　最高星府が違法としている0A〈ナルアー〉等級の人工知性であり、以前のフォノセントリズムの持ち主はデリダを廻る事件に巻き込まれて命を落としました。
　機述語〈エクリチュール〉と呼ばれる言語を用いますが、これはあくまで艦とやり取りするための言語であり人間には解析不能です。人硬語〈ラング〉に翻訳できる程序光文〈プログラム〉があれば人類に対して思っている事の70%程度は伝えられるのですが、金欠なのとル・カの思うところがありいつまで経っても実装されません。
　世界トップクラスの処理能力を持ち、専用にカスタマイズされた現詞力推進艦『フォノセントリズム』を制御しています。攻窟の際はタブレット端末に宿りル・カをサポートします。ル・カの事を心から慕っていますが、前艦長から託された秘密を未だ打ち明けられないでいます(AIには本来あり得ない挙動です)。

イリヤ（伊犂夜）
　旧世界秩序〈アンシャン・レジーム〉における最高意思決定機関、十二使徒〈Arc Angels（A∴A∴)〉の第五位であり、本名は伊犂夜・イスリヤス・エル・ヤ・イスといいます。性別、女。年齢、450歳。人種、不明(恐らく旧欧羅巴系)。49・42・51。身長131cm。腰まで伸ばしたほとんど黒に近い暗い赤髪。鉄色の虹彩は覗き込めば無限の色彩が踊っているのが見えるでしょう。
　彼女は旧世界秩序で作られた作用機序体〈MOAソルジャー〉であり、異伝詞〈グロッソラリア〉と呼ばれる特殊な能力の使い手です。200年前に現在の星府に滅ぼされたと思われていましたが、雪特尼〈シドニー〉遺構の隠しシェルター(ル・カの勘とリ・リのオペレーターとしての能力、そしてデリダの性能で発見)で永い眠りについている所を攻窟に来たル・カたちに発見されました。
　彼女の十二使徒に於ける位階は6=5〈アデプタス・メイジャー〉であり、好んで用いた人機祖語〈パララング〉は所謂「似非中国語」です(我中国語理解的な)。彼女の能力は「炎の舌」。あらゆる機械類を完全に掌握する事が可能です。発動する際に詠唱しているのは使徒行伝二章一節〜四節です。発動した際に青白い天使、巴别天使〈Angel of Babel〉を示顕させますが、これの正体は大天使カマエル(本物)です。
　見た目は完全に子供であり、これ以上成長はしません。しかしこれは不随意ではなく本人の意思でこの姿をとっているので必要とあらばどんな年齢時の姿にもなれます。性格は享楽的かつ刹那的。飽きっぽい癖に捨てた物にも執着心を残します。
　彼女の現在の目的は自分たちを滅ぼした星府を打倒する事と、ディセミナシオンの皆と面白おかしく現世を生きることです。

用語集

異伝詞〈グロッソラリア〉
　旧世界秩序が1700年代に発見した、世界と直接やり取りする為の言語です。産業革命の代わりに異伝詞革命が巻き起こり、世界は発見者の仲間と親族である十二使徒が支配する暗黒の時代に突入しました。
　その効果は個人によって全く違いますが、己の中の霊子を高めて発言する事により守護天使を示顕させる事は共通しています。

機殻都市
　旧世界秩序以降に星府によって建設された、恐ろしく巨大な機械の殻で守られた都市です。典型的な殻の大きさは半径200Km、高さは40km程の皿型です。世界中に6つあり、それぞれ珀斯、上海、羅府、德里、倫敦、莫斯科と命名されています。各都市の人口はおよそ1億です。

旧世界秩序遺構
　かつての旧世界秩序の大都市があった場所です。生産拠点となっていたため、様々な遺物、技術、情報が眠っているのでここに攻めいってそれらを持ち帰る攻窟家と呼ばれる職業が生まれました。

作用機序体〈MOAソルジャー〉
　旧世界秩序に於いて世界との相互作用をその身で体現した、機械と人との高度な融合体です。ほぼ無限の寿命と回復力、そして異伝詞〈グロッソラリアート〉を持ちます。12人居ましたが、伊犂夜が発見されるまでその全ては星府に滅ぼされたと考えられていました。

最高星府
　遡ること200年前、1999年に突如地球へと襲来した外宇宙知的生命体が打ち立てた単一政府です。新世界秩序〈ポスト・アポカリプス〉とも。本拠地は僅か6万Kmの間近まで引きずり下ろされた月にあります。機殻都市群に評議会を置き、人類を間接支配しています。その目的は不明ですが、旧世界秩序関連の事物は徹底的に破壊しようとしているようです。

式機神〈シンキ〉
　旧世界秩序が戦争の際に用いた兵器群です。最高星府に属するモノ──即ち現詞力を用いる全てのモノを消去しようと襲いかかってきます。文字通り計算式で動いており、元の式を消し去らない限り遺構から無限に湧いて出てきます。不完全変態の昆虫のような成長サイクルを遂げます。これのせいで機殻都市の外では人類は生存不可能となりました。

常魔〈デーモン〉
　霊子の濃度が高い場所から発生する擬似生命体です。霊子が薄いと自然消滅するので詳しい生態はあまり解明されていません。人類に対して攻撃的ですが、現詞力を用いた兵器であれば容易に撃退は可能ですのでそこまで脅威とはみなされていません。

現詞力〈ホモフォノイック〉
　星府が人類に与えた、超統一言語である人硬語〈ラング〉によって記述される新たなる物理法則から導き出される力です。宇宙の性質を言葉によって書き換え、その前後の状態の落差からエネルギーを取り出します。

霊子〈ゴースト〉
　所謂コトダマです。現詞力を媒介するゲージ粒子です。使われるたびに現実を汚染し、人類の歴史とミームは歪められていきますが、もはやこの力抜きに人類は存続できません。
　異伝詞〈グロッソラリア〉も霊子を用いていますが、現詞力とは正負の関係にあります。つまり人類を救う力です。