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【エッセイ】”Hello World”

遠くで子供の走り回る声が聞こえ、ドバトの声に囲まれる。
時折車の低いくぐもったエンジン音や、高い音のバイク。
そんな11月の木曜日の昼過ぎ。

最近気候が良い。
朝晩は冷え込むものの、昼間は風が少なく陽が刺すと気持ちが良い。
今日の都内は曇りの予報だったが、実際は薄い雲がかかるくらいの快晴。
こういった天気予報のハズレはありがたい。
こういった日は外にでかけたくなる。

玄関を開け商店街まで出るとお店がちらほら開き始めている。
人通りも少しずつ増え、活気が出だした。

11月半ばに入り人々は心なしか足早に見える。
どこからきてどこに行くのだろうか。
都会に来てからこういうことを考えるなとふと思った。


実家がある田舎は人が少ない。
外を歩いている人なんかは更に限られてくる。
犬の散歩や畑作業、回覧板を回しに行く。
何をしているのかすぐに分かるくらい。

田舎はすぐに噂が回るというが、人が少ないので当たり前だ。
多数の中での異物は気にならないが、少数の中での異物はすぐに見つかる。

別にどちらが良いというわけではない。
田舎の何をしているかわかるというものも、誰かがいる安心感みたいなものもある。
都会の誰が何をしていようが分からないといった、良い意味での距離感もまた心地よい。

目の前を通る散歩している人も数秒後には顔を思い出せない。

少し前まではそういった考えも出なかった。
自分が地に足をつけれてるなと感じ微笑んだ。

今日もまた狭まっていた自分の世界が少し開いた。


14:00追記

予報通り一面曇り空ですね。
陽が無い分少し肌寒い。
それも良い。

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