社会課題解決に根差した企業の海外展開支援とは
最近、途上国市場が拡大しており、これにより日本企業のビジネス機会が増えています。このような途上国でのビジネスチャンスを捉え、かつODA事業だけでは解決できない現地の社会課題を民間のアプローチによって解決しようとして立ち上げたのが、ビジネスコンサルティング事業部です。現在ODA事業に次ぐ第二の柱に成長しつつある「民間企業海外展開支援」を実施しています。2期連続で売上が前年比45%増となるなど、ODA事業を超える成長率を誇り、今後もさらなる発展が見込まれている本事業について、少し掘り下げてみたいと思います。
日本企業の海外進出支援と社会課題解決
民間企業海外展開支援の仕事内容を一言で言うと、新興国や途上国でビジネスを展開する日本企業に対するコンサルティング業務です。受注の形式は、クライアントである企業との直接契約によるものと、省庁などから受注し、補助金や公的資金を活用して企業を支援するものがあります。事業部には約25人が所属し、他部署と兼務しているスタッフも加わると40名ほどが関わっています。案件は1社あたり4~5人のチームでそれぞれの得意分野を活かして協力しながら事業を推進しています。
途上国や新興国において社会課題を解決できるサービスや商品には大きな需要があります。例えば、道が悪かったり病院が遠い地域で、妊婦が定期健診を受けることが難しい場合、医師と患者をつなぐアプリや、医師が訪問して健診できるようサポートする医療機器は、多くの国でニーズが大きいですし、対価を支払ってでも受けたいと思う人もいるでしょう。妊婦が定期健診を受けられないという社会課題をビジネスニーズととらえることで、訪問健診をサポートできる商品やサービスを持つ日本企業のビジネスチャンスになり、社会課題解決にも繋がるのです。
また日本企業の進出による社会課題解決のひとつとして、途上国における雇用創出があります。現地で事業展開する場合、必ず現地で人を雇う必要がありますし、事業が展開すればするほど雇用の需要も増えていきます。貧困層の人々にとって現金収入を得られることはインパクトが大きく、そのお金で子どもを学校に行かせたり、作物を育てるための肥料を購入することができます。現地でビジネスを展開し雇用を創出することは、その地域の発展に大きく寄与します。
途上国ビジネス支援における当社の特徴
海外進出支援を行うにあたり、国の選定から事業の実施までを一貫して伴走支援できることが当社の特徴のひとつです。現地のコンサルンタントを活用して海外進出支援をしているコンサルティング会社は他にもあるでしょうが、当社は長年のODA事業によって現地事情に精通し、現地政府との人脈も備えているため、自分たちで動くことができます。現地のコンサルタントなどの下請けに全てを任せるのではなく、自分たちの耳目で見聴きすることで、地に足の着いた提案や支援をすることができるのでクライアントからも高い評価をいただいています。
例えば、農薬が乱用されて健康被害が多く出ていたベトナムにおいて、安全な農業資材を販売している企業の支援を行いました。ここでもまず現地に赴き、現地大学の農業学部の教授や生徒と協力しての潜在顧客へのヒアリングや、それをもとにした販売戦略の考案などを行いました。ほかにも現地の政府系の農業研究機関と栽培実験をしたり、販売代理店との交渉に同行したり、現地のマーケティング資材や広報マテリアルの制作においても、クライアントと現地企業の間に入って推進するなど、あらゆる場面でクライアント側に立って支援を行いました。
また対応できる国の多さも当社の特徴です。最近、大手商社から現地市場調査の依頼をいただくことも多いですが、世界150ヵ国以上で事業実施経験を有する強みがあるので、アフリカの小さな国や、日本では聞きなじみのない国などでの調査も任せていただいています。
これまでODA事業で培ってきた人脈やノウハウ、そして当社の強みである現地のモノやヒトを動かす現場力が、日本企業進出支援においても大きな力を発揮しています。
自分たちの仕事が社会課題のソリューション提供になっていることのやりがい
当事業を通じて、私たちは様々な製品やサービスに出合い、それらを現地へ届けることで社会課題解決に寄与することができます。しかも、製品を使う人に直接会い、生活がどう変わっていくかを直接見ることができます。日本で仕事をしていると製品・サービスをいかに売るかに固執しがちですが、自分たちの仕事が現地の社会課題のソリューション提供に繋がっていることを現場で見届けられることは、この仕事の一番の面白さではないでしょうか。
当社の事業領域
海外進出支援といってもその領域は広いです。現在、「フードバリューチェーン」、「ヘルスケア&エデュケーション」、「サステナブル事業」の3つの分野に注力していますが、最近ご相談が多いのはヘルスケアです。多くの途上国では先進国と同様に健康意識が高まっていますし、市場が大きく現地のニーズも高いので企業側もコンサルタントに依頼してでも進出したいと考えるほど利益率の高い分野でもあります。ヘルスケアは今後も注力していきたい分野のひとつです。
取引先については、スタートアップから大手企業まで、幅広く支援させていただいています。業種については情報サービス、食品製造、日用品メーカー、電機メーカー、出版業、医療サービスなど多岐に渡ります。
国については、特定の国で事業をしたいというニーズもあるのですが、最近は、当社が事業性のある国や地域を探して提案する機会も多くなってきました。途上国もどんどん発展し市場も変動しています。そうした世界の動向を踏まえた提案が求められています。
国や事業領域を広げて社会課題解決に挑み続ける
社会課題解決を切り口としている当事業は今後さらに拡大の余地があり、国や分野、事業領域もどんどん広げていきます。多様な分野や国に対応していく力が今後ますます求められるようになっていくでしょう。
当事業では、様々な変化に対しての柔軟性を持ち一緒に社会課題解決に挑み続ける仲間を募集しています。そうした仲間と一緒に、これからも日本企業の成長と現地のソリューション提供に寄与していきます。