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ODAコンサルティングから次のステージへ。会社として大きな躍進に挑む「ビジネス」での参入と展開 <後編>
~トルコでの事業展開に勢いをつけた私たちの知財~
前編ではODA事業とビジネスのつながり、ビジネスの取り組みとしてトルコの現地法人の設立のお話をしました。後編では今の事業内容と未来の事業構想です。前回に引き続き、学研トルコの代表取締役社長、畑中に話を聞きました。
[前編2024.11.20公開の記事はこちら]
畑中 慶
株式会社ミスミにてインド、インドネシア、中国にて新規事業や現地法人立上げ含めた事業責任者を経験した後、アマゾンジャパン合同会社にてデジタルマーケティング分野のコンサルティング部門をリード。2021年 アイ・シー・ネット代表の百田に出会い学研ホールディングスに入社。2021年5月より学研ホールディングス グローバル戦略室 副室長を兼務。2023年4月にアイ・シー・ネットの子会社、学研トルコの代表取締役社長に就任。現職。
学研トルコの現在の事業
2022年4月に学研トルコを立ち上げましたが、実は1年ほど経営としては厳しい状況でした。事業コンセプトの想定とおり、教育ピラミッド(*前編を参照)の入口である若年層へのSTEAM教育から着手し始めました。現地の小学校や中学校へ、学研の科学実験教室のカリキュラム提供や、幼稚園へのコンテンツ販売などを現地のネットワークを活用して進めましたが、思ったように売上が伸びませんでした。若年層へのSTEAM教育は今後10年、20年かけてトルコの産業を担う人材を育てる事業です。そういった意味ではじっくりと時間をかけて取り組む必要があります。STEAM教育を事業として成り立たせるためには時間がかかる状況でした。学研トルコを事業会社として軌道に乗せるためには、今、目の前にある課題を解決するビジネスを同時に走らせる必要があり、教育ピラミッドの出口であるリカレント教育も提供していく方向に舵を切りました。
学研トルコが順次、提供しているサービスは、日本が持つ「ものづくり分野の強み」を活かしたコンテンツです。
◯エンジニアトレーニング
◯5S/カイゼン導入のコンサルティング
◯コーポレート研修 など
例えば、人が行っていた作業をロボットや機械に置き換え自動化していく「産業オートメーション」の需要に合わせて、エンジニアが必要になるため、その育成ニーズがあります。日本の研修コンテンツをトルコのエンジニア向けにローカライズし、トレーニングサービスを提供しています。
他にも、工場の生産性改善のコンサルティング、会社運営に関わる人材向けのビジネス研修ニーズなどもあり、順次、トルコ向けにトレーニング内容をローカライズし、提供しています。
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トルコに進出している日系企業だけではなく、トルコ国内の企業にもサービス提供をしています。224社の製造業企業が進出しているマニサ工業団地と提携し、製造業の従業員を対象とした日本型トレーニングセンター設立の協業を始めました。ここでも、産業オートメーションのエンジニア育成や、5Sやカイゼンのトレーニングなどを提供していきます。
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2024年6月リリース情報>https://www.icnet.co.jp/news/1701/
学研トルコ マニサ工業団地と協業開始のお知らせ
未来のビジネス展開
①トルコを起点に多国展開
中東・中央アジア・アフリカに進出しやすい位置にあるのがトルコです。将来的には、この地理的メリットを活かした多国展開を想定しています。なかでもアフリカは現在、工業的な市場規模は未だ大きくないものの、2050年には人口の1/4がアフリカに集中し、世界のGDPの1/10がアフリカから生まれると言われています。産業人材育成のニーズも急激に拡大すると予測されます。アフリカで人材育成事業を事業化するには時間がかかりますが、ここで、ODA事業で先んじて参入してきたアイ・シー・ネットの知財の価値がでてきます。トルコでの事業実績と、アフリカのODA事業実績をもつアイ・シー・ネットが、アフリカでも産業人材を育成していくことを考えています。
②知日産業人材の環流
日本型のトレーニングを積んだ人材は、ビジネスの基礎がしっかりあり、日本のことを良く理解していて、日本企業にとって重要な存在です。長期的には私たちが育成した知日産業人材のデータベースをつくり、日本企業へ産業人材を紹介することを目指しています。知日産業人材は日本にとって大きな財産なので、育成するだけでなくデータベース化し、グローバルサウスへ進出する日系企業で還流させることで、日本の産業にも役に立てていきたいと思います。
<前編>2024年11月20日公開 こちら
ODA事業とビジネスのつながり、ビジネスの取り組みとしてトルコの現地法人の設立のお話
学研トルコ(Gakken Turkey Innovative Education A.S.)
ウェブサイト https://www.gakkenturkey.com/