6年間の恋

ありきたりだけど今となっては「最悪」の思い出となった私の恋のお話。


私の頭の中がRセンパイでいっぱいになったのは、まだ陸上部に入部して半年も経たない、中学1年生の夏頃であった。

なぜRセンパイのことを好きになったのか、それは今でも全く分からない。しいて言うなら、夏休みの練習中にテントを運んでいたら「持とうか?」と言ってくれたことかもしれないし、雨の日バスから降りて駅に向かう階段で滑って尻もちをついた日に、後から「転んだの大丈夫だった?」とLINEしてくれたことがキッカケだったかもしれない。

以上のエピソードから分かるように、私は完全に<先輩フィルター>というものにだまされてしまっていた。


しかし惚れっぽい私は、色んな男の子の仕草にキュンときてしまうので正直自分の気持ちをそこまで気にかけていなかった。そんなある日、私にとって重大な出来事があった。文化祭の1日目が終わった後に、親同士が同級生である大好きな女子のセンパイと夜ご飯を食べていた。そのセンパイがふと、「Rって茶豆ちゃんのこと好きらしいよ」と言ってきた。私は私のこと好きな人が好き! って感じなので、「ぇー、ウソに決まってますよー」とか言いながら内心鬼喜んだ。

そんなドキドキエピソードが飛び出てきている中文化祭2日目も無事に終え、チキンな私から行動することなんかあるはずもなく、ただただ毎日の部活でキュンキュンしながら過ごすだけで高校2年生の春を迎えた。



ただ見ているだけで、ただ話せるだけで幸せ…と思いながら、遂にセンパイの引退シーズン目前となった。何かできることはないかと考えた私は、枯息な手段でアプローチをかけることにしたのだ。その方法とは、Rセンパイの友達であり、同じ部活のセンパイであるSセンパイを通してなんとなく私からの好意を匂わせてみることである。しかし誤算だったのは、Sセンパイは素直でまっすぐな性格由、「匂わせる」という行為が不可能なため、普通に秒で好きバレしてしまった。4年間ほど隠し通した恋心が突然空の下にさらされてしまい、驚くしかなかった。


最悪の状況になってしまい、萎えるしかない日々だったが、Rセンパイは私のことを高く評価してくれていたようで、私の不安がかき消されるほどよろこんではくれていたみたいだ。そしてRセンパイからのちょっとしたアピール?のようなものがはじまった。当時の私はうれしすぎて涙が出そうな気分で毎日を送ることになるが、これが悲劇のはじまりだとは誰も知らなかったのである…

いいなと思ったら応援しよう!

この記事が参加している募集