CL宮城にて白ルギアを使用し11-3でベスト32を獲得することができました。前回愛知のベスト16に続き2連続で結果を出せたことは非常に嬉しく思います。今回はそんな僕が使用した白ルギアについて話を掘り下げていきます。
ルギアのデッキパワー、安定感
ルギアは前レギュで最強のデッキでした。が、その基盤となっていた各種特殊エネルギーやアタッカーだけでなく、サーチカードも多く失ったことで環境から一旦は姿を消していました。しかし一撃ルギアとして再び爆誕したのが2月の頭、そしてトリプレットビートによって白ルギアと呼ばれるようなものも台頭してきました。以降一撃エネルギーとバンギラスなどの入ったものを一撃ルギア、そして今回使用したもののように、無色タイプが大半を占めるものを白ルギアと呼称することとします。
一撃ルギアは前環境同様にデッキパワーとしては最も高い水準につけています。アタッカーはその大半がEレギュ、つまり環境で最も古くカードパワーの低いはずのカードたちであるにもかかわらずこうなのですから、やはりアーケオスパッケージの出力は異常です。一方で以前から問題だった安定感をさらに落としてしまっています。その原因はサーチカードの不足のみならず、デッキ構造上の基盤にも見つけることが出来ます。つまり、アタッカーは一撃ポケモンなのに、それを動かすのにルギアを4-4で採用しないと殴り出しもままならない、かといってではルギアで殴れるようにすると活力の壺か初動を減らさざるを得ず、デッキパワーや安定感が落ちるということでした。
しかしジェットエネの登場によって実現した白ルギアはその欠点を解消しています。4-4採用されたルギアをほぼフルに使うことが出来る他、ジェットエネによってデメリットの解消が容易となったカビゴンの採用も可能となりました。これにより2ターン目にダブタとエネ1枚で殴り始めることが出来、初速の遅れを取り戻せるようにもなっています。もちろん、バンギラスと一撃エネで320点を狙えたり、120点を出しながら相手のリソースを削ったりといった部分は白ルギアにはない魅力です。
ですから白ルギアを調整する上では相手の攻撃をどういなしてゲームを勝つためのターンを作るかを常に念頭に置いて調整していました。相手を問答無用でワンパンしていくパワーはないし、相手のリソースを理不尽に削り取ることもできない白ルギアの主張点が少しばかりの安定感のみではまだまだ選択するには至りません。
私が目指した白ルギアは、相手に妨害を課しながらこちらは風読みや各種耐久カードでゲームを長くするというものでした。妨害とはつまり、ジャッジマンです。
Eレギュ初期はただひたすらロスト系デッキが勝ち続けていました。以来ロストに勝とうと様々な対策が取られていましたが、それらの多くの試みの中でも有効で汎用性を損なわなかったのがジャッジマンでした。雪ミュウを筆頭に多くのデッキが使っている訳ですが、それらのうち一体どれほどが安定してジャッジマンを打てていたのでしょうか。つまり、有効だと思うタイミングで的確に引けているのかということと、打った先で自分が事故らないようになっているのかという2点を克服できているのかということです。そして、白ルギアはそれらを共に解消しているデッキであると考えました。
これが、ルカメタザシアンのザシアン要素です。当時はマリィでしたが、相手への圧力はやはり高い水準にあります。そしてこちらはふとうのつるぎで手札を増やし、次に備える。エネこそつきませんが、アーケオスをトラッシュする行為は鋼エネルギー1枚とは比べ物にならないほどの価値があります。そして、上振れた際、例えばふとうで3エネとボスが揃って相手のエネつきVを倒せるようなとき、あるいは先2でアッセンブルスターまで言えた時はそのままテンポで押し切れるという元来のカードパワーもやはりザシアンです。ロトムVとは訳が違います。
ではルカメタ要素はというと、現環境でHP220のサイド2枚を前に1ターン出して悠長にドローしていてはそれだけで負けかねません。それを解消するのがVガードエネルギーやかがやくサーナイト、そして崩れたスタジアムやチェレンのきくばりと言ったカードたちです。どこかでサイドが進んでも他でサイドが進むのを止めれば問題ありません。サーナイトとVガードが揃えばあのバンギラスすら耐えることが出来ます。
つまり、白ルギアは上振れたら元来のルギアのデッキパワーで押しつぶすことが出来るし、そうでなくてもジャッジマンでの妨害やかぜよみ、そしてサイドが進むのを阻止するカード群によって逆転することの出来る受け攻め両立のデッキなのです。そう言い切れるリストになったと考えたので、今回使用しました。では細かいリストやプレイングについても見ていきましょう。
リスト解説
不採用カード
基本的な立ち回り
手札と相談し、現実的にニッセンブル(2体でアッセンブル)が決まるハンドならそれを目指してそのまま戦います。そうでない場合は、サイド何枚までリードされて大丈夫なのかを計算しながらジャッジかぜよみからの逆転、あるいは相手を事故らせてのマウントを目指します。序盤の手張りは先2で220を出したり、前にルギアをちゃんと置いてかぜよみをしにいったり、後手1の110を受け流したり、穴抜けされてもちゃんと自分のやりたいことが出来るように準備することさえ忘れなければ序盤で大きくミスることはないかと思います。
中盤は相手の打点を受けながしつつサイドを十分にリードするのを目指します。その際、こちらがワンパンできる相手であればチェレンなりジャッジなりを打っていけば十分ですが、ワンパン出来ない相手、例えば白ルギアなどは相手より先に触ることが大事になります。ボスをしっかり引き込めるような盤面を作る必要があります。
終盤はツツジが関係ない勝ちを目指します。こちらの盤面を維持しサイド差をつけながらゲームが進むというこのデッキの特性上ツツジ耐性はかなり高いですが、カビゴンが前で固まったり、神殿で誰も殴れなくなるのだけはケアすべきです。カビゴンが固まって問題になるのはロストマイン程度なので中盤戦を頑張れば問題ないですが、神殿でエネが続かなかったり、一気に捲られたりするのはプレーでどうにかなることが多いです。ルギアに無理やり4エネつける道を残していれば、1枚の神殿はゴリ押しで貫通し、もう一度の勝負が出来ます。詰めのリソース管理ではダブタを2個分ではなく1枚としてカウントしてゲームを見てみるとそういった負けが減るかもしれません。
具体的なマッチアップ
ロスバレ 有利
ライコウ空でもリザベルトでもなんでも、序盤に大きなサイド差をつけることが可能です。リゲインやチェレンを丁寧に使ってウッウを受け流し、ジャッジで相手に干渉していればほぼ負けません。空がない場合はサイド2のビハインドは許容できます。リザもサイド2に入るまでに動かせるのは精々1度ですし、それもジャッジを掻い潜って揃えるという要求が常にあります。サイド2に入る際にカビゴンやアーケオスでサイドを進めれば、押し込めます。
カイオーガに対してのみ丁寧なベンチ管理が求められますが、こちらもやはり有利です。山掘り切らせないので。
ロスギラ 有利
序盤戦はロスバレと変わりませんが、ギラティナが走ってくる際にちゃんとロストインパクトを耐えられるのかが問題となります。サーナイトとVガードが揃えば神殿と雪道のどちらを貼られても他方が機能するので耐えることが出来ます。予選では2試合とも最速インパクトに神殿が合わさってさらにサナサイド落ちとメチャクチャな目に合いましたが、相手がVを準備するターンの弱さや、カビゴンを相手するのにリソースを使いすぎることも合わせるとやはり有利です。
雪ミュウ 微有利
デッカいルギアをミュウが綺麗に避けながらサイドを進めるスピードと、こちらが準備をするスピードの勝負になります。肝はイッセンブル(1体でアッセンブル)でも勝てるという点にあります。ドラピオンを有効活用しながら、なるべくネオラントには頼らずに逆転を目指すという立ち回りになります。
フュージョンミュウ 微不利
雪ミュウは190が素点で、裏呼びをボスなどでなんとか避けてさえしまえば結構耐えて受け流すことも可能なのですが、対してフュージョンミュウは210や280からでさらにメロエッタにはVガードやサーナイトが反応しないといった具合に、耐えたり受け流したりが難しくなっています。メロエッタをカビゴンで返す必要があったり、そもそも相手の初速がかなり速いことなど、越えるべきハードルが多くなっています。逆に、メロエッタをカビで返してVMAXをドラピで返してとしていけば一応勝ち筋が残っています。こちらもカビゴンにエネさえつければイッセンブルで問題ありません。
白ルギア
頑張って相手より先に動くか、先にルギア倒すか、ジャッジ打ちながらアヤシシでゴリ押して4枚取りましょう。
一撃ルギア 有利
フルパワーバンギラスをルギアが耐えることが出来、リソース勝負と安定感の双方で有利がついています。バンギラスをツーパンしつつジャッジを打つ以外にも、アーケオスを2体取ってからアヤシシでバンギラスを返してそのまま4枚抜きを目指すなど、様々なプランが現実的に狙えます。最悪チェレンしながらボス4回でなんか縛ってLO出来ます。
ミライドン 五分
ジェネレーターのヒット数に依存しますが、前に出たエネ付きのアタッカーを即座に返すのを2回やってどちらかにジャッジマンが合わさればなんとか勝てます。Day2の3回戦では後手1でエネが5枚つきましたが、ギリギリ勝てました。
サーナイト 不利
耐久がコンセプトなので、非エクの青天井、さらに空石にジャッジ耐性まであるとかなり厳しいです。エネがついたサーナイトを場に残しながら崩れたを出し、裏のキルリアを倒すなどすると他のポケモンにエネがつききらないので、ザシアンに3枚取りされるような展開を阻止することが出来ます。が、相手の初動をジャッジで咎められない場合は大抵そのまま押し切られます。
アルギラ 有利
アルセウスに対して有利に打ち合えるし、ギラティナの攻撃も受けられます。ヤミラミがない分計算が立ちやすい他、ギラティナVを狙えるターンが多いのもかなり有利な要素になります。
一撃ルギアと白ルギアの差
改めてこれらふたつの差をまとめると、一撃は最大出力が高く安定感が乏しいのに対し、白は最大出力こそ劣るものの安定感と相手への妨害性能が秀でています。白ルギアのデッキパワーで現在の環境的には十分勝てると考え、白を選択しました。ロストが大量にいるだろうと考えてのものでしたが、実際に対戦したのはギラティナを含めたロスト系列に9回、雪ミュウに2回、アルギラ、サーナイト、ミライドンに1回ずつでした。そのうちギラティナに2敗してしまったのとルギアに全然当たらなかったのこそ想定外でしたが、概ねいいデッキ選択をしたと思っています。一撃ルギアであればや空入りロスト、リザロストに落とす試合が増えていたでしょう。ベスト16に残っていた母数や全体からの抜け率でも勝ち組のデッキ選択だったようで、正解のデッキ選択を続けられているのはいい傾向です。
新環境でのルギア
新環境では強力なカードが多数追加されます。練習であまり新カードを追えていませんが、中でもナンジャモやリバーサルエネルギーは魅力的に映っています。そんな中で、ルギアは依然いい立ち位置をキープすると考えます。サーチが増えて安定感が増すのはどのデッキも共通ですが、サーチへの依存度の高さとリターンの大きさの双方でルギアはいちばんです。さらに、アーケオスが立てば終盤の手札干渉はおよそ問題ではないだけでなく、アーケオスやその他のサブアタッカーがうまいこと使いこなせそうなエネルギーまで来ているので、今後も使えるデッキタイプであるはずです。種のVを簡単に倒しにくくなるのだけは気になりますが、裏呼びの多さで頑張ってください。
以上で一旦この文章を終えようと思います。以降は対戦レポートや調整記録、その他いつも通りほんのちょっとだけウィットのある与太話をするので、是非興味があったり新潟も頑張れという方は購入して応援していただけると嬉しく思います。ではひとまず、ここまでお付き合いくださり、ありがとうございました。新潟でお会いしましょう。
4/21追記 有料部分に新弾でのルギアの立ち位置や一般のタッチカードの採用理由などを追加しました。
5/2 追記その4 以下にて新潟環境でのルギアについて、より詳細に解説した記事を上げました。もし興味ございましたら、ぜひこちらも読んでいただけますと嬉しく思います。