ロトムレスカビゴン
さっきの日記を読み直していると、もう少し内容のあるものを提供せねばならないという自戒の念に駆られた。そうして筆を執っている。とは言っても語るものなどなく、強いて言えばで数日TLを賑わせているロトムレスカビゴンを触ってみた使用感についてまとめてたいと思う。
12th Lille regional. Rotomless Snorlax.
— SanderWojcik (@SanderWojcik) October 20, 2024
Prizemap gets much more difficult for oppo without Rotom + going 6 Snorlax allows you to beat decks with ~4 switching outs.
Engine becomes contentious without Instant Charge, think this is the best way.
But it's just a Lax deck in the end. pic.twitter.com/DOD1LzAzUF
話題の震源地はなんと言ってもSanderまさにその人。ノコノコさんと2人でコントロール狂人の名を欲しいままにしている彼が久しぶりに大会に出てきたと思えば、少し斬新なカビゴンでいきなり結果を残した。特筆すべきはやはりロトムの不採用と、それに伴ってのサポ、ドロー構成の変化であろう。
旧来のカビゴンの急所はやはりなんと言ってもロトムを簡単に取られてしまう展開であった。早いターンにロトムが取られてしまうと、相手のリソースにアタックする前に自分自身の手札との勝負が始まってしまう。ドローの鈍化は相手への妨害の手を緩めることとなり、それがどんどん相手を有利にさせてしまう。ボスファントムダイブでロトムが簡単に倒されるというのがカビゴンを使う上でどうにかせねばならない難点だった。
このデッキはロトム不採用と、それを前提としたドロー構成を採用している。ロトムがいないことで最大6枚分のカビゴンを相手に押し付けることができる。逆に、単純なドローのみに貢献するサポートの比率が上がったことにより、これまでサポが担っていたカウキャプラスアルファの妨害の手数が減ってしまっている。具体的には、ビワ、野盗等を打ちにくくなってしまっている。
このデッキを回しての僕の第一観は、懐かしいというものだった。かつてのカビゴンを触ったことのある人がどれだけいるのかわからないが、カビゴンには存外に長い歴史がある。昨年のCL愛知の時点からコントロール狂人が水面下で研究し、隙を見てはたまにCLのサブ配信卓に混乱をもたらしていた。今の形が定まるにはカウンターキャッチャーの再録を待つ必要があったが、それ以前にも別のカビゴンが存在したのだ。中でも比較的有名なのはシティ優勝第一号のこれだろう。昨年もこれを取り上げたが今見返すとこのデッキはあまりに弱そうに見える。
シティ優勝
— ノコノコ (@noko1118) October 1, 2023
ゴージャスなカビゴン!!! pic.twitter.com/sDqhKbxA2K
この当時は妨害のほぼすべてが裏呼びに集約されていた。不安定な裏呼びグッズだけで8枠、さらにボスもフルで採用するほど極端だ。逆に、この当時は裏呼びさえ成立させてしまえばどうにかなる環境でもあった。いや、勝てるデッキにはこれだけで十分で、逆に一定数逆立ちしても勝てないデッキがありそれを諦めていたといった方が正確ではあるのだが、それは本筋ではない。このデッキもサポでの妨害は野盗が精々で、あとは裏呼びに終始する構成となっている。ここに僕は懐かしさを見出した。
カウンターキャッチャーの再録以降、デッキの大部分を占めていた裏呼び札、そしてそれらを集めるためのドローを純粋な妨害サポートに回すことができるようになった。ビワやクセロシキの登場も相まって、今のカビゴンはこれらを撃つデッキだと思っている人も多いだろう。
これら2つは、どちらが秀でているというようなものだとは思わない。単に環境の違いに合わせるべきである。去年のカビゴン対策記事ではカビゴンがどのリソースを狙っているのかを考えようと説いた。逆にいまはカビゴンがどのリソースこそ狙いやすいのかを考えるときだ。
つまり、カビゴン6体をゆったりと押し付けているのと、ロトムを1体取られ、その後手札が細くなっていくのを了解しながら強力なサポートを打つのとの違いである。前者は、たとえば入れ替えリソースが有限で、そもそも6体のカビゴンを相手できないのであればその方が適している。逆に入れ替え札やそれに相当するカードが豊富にある場合、野盗やビワを連打する方が適している。あるいはそもそもロトムが倒されにくい環境なら何も気にすることはない。いまはロトムが簡単に倒されやすく、さらにそこから押し込まれる対面が多く感じる。レジドラゴなどが最も顕著であろう。簡単にロトムを取れる上に、レガシースターによって入れ替え札が実質的に5枚あると言えるデッキである。
Sanderのデッキを触って、懐かしいと思うなど考えてもいなかった。しかし、その根底には彼の研究と理屈があり、WCS以来支配的であり続けているレジドラゴに対しては確かにこの形が優れているように感じる。温故知新。