【アドカレ1日目】対カビゴンマスターになってドヤ顔しよう
こんばんはいちょーです。今年もアドカレをやります。アドカレの詳細については以下埋め込み先をご覧いただければと思いますが、ざっくばらんに言うとクリスマスまで1人1記事持ち回りで書いてなんか楽しもうっていう企画で、この記事はその1日目のものです。明日以降も多くの人が何かしらを書いてくれますので、ぜひ読んで拡散してあるいは気に入ったら書いてみてくれると嬉しく思います。
昨年は沖縄旅行ブログと成り果ててあまりにもポケカ要素がなかったので、今回はその対極、カビゴンの話をしてみようと思います。では、よろしくお願いします。
カビゴンの話をする上で筆者への信頼感は欠かせません。まずは自己紹介からさせていただければと思いますが、僕はカビゴンを筆頭にコントロールやLOといった類のデッキが大好きです。そんな自分語りや思い出話はいいよという人は次の項から読んでください。
気付いたら僕はカビゴンの震源地にいます。過去の記事を読んでもらうとより早いかもしれませんが、僕のポケカのルーツはくりお宅にあり、くりお宅とはまさにLOやコントロールの歴史です。最近ではノコノコさんと一緒に練習をしたり、大会にも並んで出たりと感無量です。
そしてカビゴンの震源地とはまさにこのことで、シティリーグで優勝して話題になったその人こそノコノコさんです。CL横浜時点ではくりおさんが使われてDay2配信卓にも出るなどそちらも話題にはなりましたが、そういうデッキもあるんだなあというくらいの扱いで、使用者が増えたかと言われるとそうではなかったと考えています。というのも、当時の環境はカビゴンへの風当たりが強すぎたのです。事実横浜時点で僕やノコノコさんもカビゴンを候補にしていましたが、とても使える環境ではないと早々に諦めてギラティナに切り替えました。
が、レイジングサーフ発売後最初の週末は環境の風向きが180°変わるだろうと考えました。CL横浜当時ではギラティナ、白ルギアがカビゴンの苦手デッキツートップで、次いでミュウもシェアこそこれらに劣るものの、これらと同等かそれ以上の不利マッチという状態でした。それらの苦手デッキがミライドンの優勝やジラーチの登場により軒並み数を減らすことが予想され、さらにゴージャスマントというカビゴン強化もあったのでカビゴンを使うなら今しかないとノコノコさんに強く推したところ、あまりに簡単そうに優勝して帰ってきました。流石すぎる。余談ですがあの日のアスナは候補カードで手持ちのSRがあれしかなかったから採用しただけで特段深い意図はないそうです。
というわけで、僕は長らく震源地でカビゴンを練習してきました。シティリーグでは環境が合わないと感じて諦めましたが、シティの候補デッキ筆頭としてずっと練習をしていましたし、実際にカビゴンで大会も複数出ています。あるいはチームでは僕とノコノコさん以外にも2人が実際にシティで使用し、それぞれ4-1で予選を終えています。どちらもオポ落ち、初戦負けとそれ以上の結果とはなりませんでしたが、カビゴンへの理解度はつまりカビゴンの使用度ですから信頼していただいて問題ないかと思います。では、本題です。
対カビゴンの特異性
VSカビゴンとその他のデッキでは、そのゲーム性が大きく異なります。それはつまり”明確なタイムリミットが定義されていない”という点です。これが対カビゴンの正確な理解を難しくしています。普通のデッキであればタイムリミットは明白です。”相手より早くサイドを6枚とる”ことが勝利条件です。最近ではナンジャモ+カウンターキャッチャー+サケブシッポ/ロストマインで無限の勝ち筋を追えることも珍しくありませんが、とは言ってもやはりサイドレースと呼ばれる概念は重要です。そしてその基本の通用しないデッキこそカビゴンです。
制限時間やホシガリスのことは一旦無視するとして(僕自身時間が問題になると思ったことはありませんが)、対カビゴンとはつまり、6枚取りきるか、あるいは負けかのゲームであることを理解する必要があります。ゲームスピードは関係なく、6枚しっかりと取りきってしまえばそれで十分なのです。ここに危険な勘違いの原因があります。
ゲームスピードの決定権はカビゴンにではなく、カビゴンに相対するあなたにあります。そのゲームスピードを正しいところにセット出来ているでしょうか。そしてその根拠を説明できるでしょうか。これがカビゴンを相手する上で絶対に考えなくてはならないことです。
我慢は上手に見えてしまいがち
ゲームスピードは対面が決定できると言いました。それは事実です。そしてその際によくある間違いが、我慢しすぎることです。確かに無闇矢鱈とポケモンを出してしまっては足元を掬われやすくなりますが、かといって何もプレーせずにいるのでは勝ちに近づいていないのも理解しなくてはなりません。カビゴンの見ているゲームターンとその他のデッキが見ているゲームターンはまるで違います。それはサポートの採用枚数から見ても明らかです。スタンダードなデッキはサポートをボス含め10枚前後に留めていますが、カビゴンでは25枚以上採用されていることも珍しくありません。それは何より、根本から想定するゲームターンが違っているからです。
カビゴンのゲームレンジに飛び込むことは危険です。カビゴン側の強力なアクションは当然技ではなくサポートに集約されます。そのサポートを好き放題打つことを許し、逆にこちらはサポートを綺麗に打っていけないとあってはボード差が拡がり続けてしまいます。必要なリソースを残したり隙を見せない立ち回りは重要ですが、そればかりに気を取られて相手のゲームレンジに入ってしまっては勝てるゲームも落としてしまいやすくなります。ミュウを具体例に考えてみましょう。
ミュウはゲノセクトを出さずにカビゴンに勝つことができるでしょうか。基本的にはできません。ゲノセクトなしでデッキを回せるようにはなっていませんし、どこかのタイミングでエリカで引っ張り出されるのが関の山です。そして何より、ミュウだけのボードでは瞬間火力が不十分です。
そしてどうせ1体ゲノセクトを出してしまったのでは、1体も4体もそう変わりません。一応、ゲノセクトがフュージョンエネとダブルターボを揃えて逃げるとフュージョンエネが残ってもう一度エネルギーが入れ替えになるという点で絞るメリットもあるにはあるのですが、ドローが細くなることはつまりゲームターンを長くすることと同義であり、そうしてしまってはカゲツやピーニャ、野盗三姉妹で貴重なリソースを失う隙を見せることになります。
ミュウの正解は、もちろん入れ替え等残すべきリソースもあるものの、通常通りに走ってサイドを進めるというものになります。雪ジャッジで相手の強いアクションを制限し、やまびこを絡めてロトムからサイドを4枚もらうことができれば大抵勝つことができます。次いで考えるべきは、リソースとは具体的に何か、ということです。
何がサイドになるのか
ゲームターンはこちらで設定できることは分かりましたし、カビゴン側の望むレンジに自ら飛び込む必要のないことも明白です。では、どこまで走る必要があって、どこからはゆっくりとボードを作るべきなのでしょうか。それを考えるには、何がサイドになるのかを考える必要があります。
何がサイドになるのかというとそれは当然、相手のポケモンを気絶させた回数で、それに必要なのは打点と攻撃回数です。これらを必要数確保するのが肝要です。そしてこれらは2つの段階に分けることが可能です。
1つは攻撃し続けられる体制を構築することです。つまり、盤面をエネのついたアタッカーだけにし、そして相手のエリカややまびこに引っかからないようにすることです。これが肝となるのがサーナイトです。不要なポケモンを引き込まないようドローには吟味が必要ですし、それのできるデッキです。あるいは引いてしまったポケモンをリファインのコストにしてから釣竿で山札に返したり、ポケモンを1匹加えてしまったのならいっそボールを使ってその他ノイズになるポケモンもまとめて集めてしまい、それらすべてをナンジャモでボトムに送るというのも有効です。
ギラティナも似たような芸当が可能です。アビスシークとアクロマだけで盤面を作り、一見不要なVIPパスよりもボードに出て欲しくないポケモンをロストに送ることを優先する。トップなどで手札にきたポケモンは対処しづらいですが、それでもサーナイトよりは何倍も多い入れ替えリソースでゴリ押していくことができます。攻撃の途切れない盤面構築がまず意識すべきことです。
そしてもう1つは打点と攻撃回数です。裏にアタッカーにならないポケモンが出てしまうのは多くのデッキで避けられません。そういった状況で重要なのがこの2要素です。打点とはつまり、何回の攻撃でサイドを1枚取れるのかということです。現在のカビゴンデッキでは200を超える打点があれば攻撃1回がサイド1枚になりますし、200未満だと複数回の攻撃が必要ということになります。攻撃回数とはつまり、入れ替えリソースと言い換えられます。これらを合わせてサイドを6枚取りきることができるのかと、どれだけの余剰があるのかを考える必要があります。今回はエンテイブジンを例に取ろうと思います。
エンテイブジンは通常、エンテイがアタッカーでその打点をブジンが補うという構成になっています。エンテイは120+相手のベンチポケモンの数*20が基本の打点で、これが200を超えることは慣れたカビゴンではあり得ません。では、どういうゲームが正しいのでしょうか。ブジンで不足分を補うのか、あるいは他の選択肢があるでしょうか。
打点が常に160点と仮定すると、サイド1枚を得るのにブジン2回の加点がいるということになります。基本的に逃げることはできずそれぞれに入れ替えが必要になり、さらにその上でエンテイを前に出すカードまで求められます。これでカビゴンからサイドを4枚取ろうとすると、カビゴン1体に入れ替えを3枚使うわけですからこれだけで12枚必要で、お互いこう綺麗に回ることはないにしても、野盗やサイド落ち、博士での巻き込み等で簡単にプランが崩壊してしまうことがわかります。
もちろんスイーパーがあったり毎回毎回お守りがつくわけでなかったりエンテイ2回でカビゴンを取ったりもできるというのはそうなのですが、入れ替え総数が非常に多いということはそれだけ野盗でヒットしやすいということですし、サイドを取るのに時間がかかるということはボタン等で回復されるターンが多いということにもなります。
では何が正しいのかというと、かがやくリザードンを作るのが正解です。リザードンの打点250は攻撃1回がそのままサイド1枚に変換できます。つまり必要な入れ替え総数はたったの6枚です。エンテイプランの半分の要求で済むということになります。リザードンに5エネを集める時間がかかるのはそうですが、それでも入れ替え札6枚を守り抜くのはエンテイプランよりよっぽど現実的です。
つまり考えるべきなのは、攻撃何回がサイドになるのか、そしてサイド6には入れ替えが何枚必要なのかです。CL横浜当時のルギアが不利だったのはジェットエネルギー1枚がサイド1以上に変換され、さらにカードプールの影響で特殊エネルギーメタも十分に張れる状態ではなかったからです。ネオラントをキャッチしても崩れたで消えてボードが再び打点の出るポケモンだけにされてしまいやすいというのもその不利に拍車をかけていました。
リソースと相手に渡すゲームターン
考えるべきリソースが具体的にわかりました。先ほどの例で言えば、攻撃1回がサイド1枚になるリザードンプランならば入れ替え6枚で十分ですしそうでないなら倍以上必要ということになります。次に考えるべきは、そのプランの中でのバランス感覚です。
打点の不足するエンテイよりリザードンの方が優れていることは確認しました。では、その不足した打点を無理やり前のめりに補っていくことは正解なのでしょうか。今回はサーナイトについて考えていきましょう。
サーナイトはex印の有無に関わらず、3エネではお守りカビゴンを倒すことができません。では、アルカナシャインを育てて5エネつけるべきなのでしょうか。これは難しい問題です。サーナイトは通例入れ替えリソースが入っていません。マナフィキャッチ等を解除する手段は、ボスでロトムを呼んでから逃げて崩れたスタジアムでトラッシュするか、フトゥーが入っているかどうか程度です。ここを攻められては勝てる訳もないので、基本的にサーナイトの勝負はベンチをどれだけ綺麗に作れるかに終始します。ナンジャモや釣竿を引き込め、さらに不要なポケモンをトラッシュできるボードこそ目指すべきものです。
つまりリファインが幾らかボードに必要です。キルリアのビンタは攻撃回数7回でサイド1とあまりに冗長で、負けん気チョッキも考えると縛られすぎた際にはサーナイトに進化するルートも残さなくてはなりません。つまりボード1体につき3エネが予め縛られている状態です。その状況でアタッカーと決めたサーナイトに5エネを投資できるでしょうか。基本的にはできません。相手にゲームターンを渡してしまいますが、それが問題になるのはエリカと野盗での釣竿および手帳ヒットが精々です。相手にゲームターンを渡すよりボードの強さが優先される対面といえます。
その逆がパオジアンです。パオジアンデッキのその他のアタッカーは複数の攻撃でようやくサイド1にしかなりません。基本的にパオジアンで勝負をするということになります。そしてそのためにはエネルギーの総数が必要です。これらを引き込むのを我慢していると、野盗三姉妹を打たれて釣竿やスーエネ、クロススイッチャーを失ってしまい、いよいよリソースがなくなってしまいます。多少無理をしてでも走る必要のある対面です。
そのデッキの弱点がどこにあるのかとそれをカビゴン側はどうやって突いてくるのかを理解することで、そのデッキは待つべきなのか走るべきなのかを大別することができます。カビゴンの狙ってくる箇所がサポートで対応可能なカードな場合、そのチャンスを与えすぎると自ずと不利になります。逆に弱点がサポートでの対処が困難であったり、ケアが可能な場合、相手にターンを渡すことがさほど問題となりません。
サーナイトは一旦ボードさえ作ってしまえば対処が容易ですので序盤の綺麗なドロー盤面までは走りつつ、以降は受け気味に立ち回ることができます。逆にパオジアンのリソースはグッズに集中しておりターンを渡せば渡すだけ野盗で失うリスクが高くなってしまいます。ミュウはどうせボードをゲノセクトで埋める必要がある以上無理に相手のレンジに付き合わず、逆に雪ジャッジで自分の土俵に引きずりこむくらいの方が正解です。
まとめると
まずはどうやったらサイドを6枚取り切れるのか考えるべきでしょう。そのために必要なリソースが何で、どれほど潤沢にあるのかも重要です。入れ替えリソースが十分にある場合は縛られることも許容したうえで走っていくプランが肯定されますし、入れ替えリソースがまるでないようなサーナイトやゾロバレのようなデッキであれば完璧なボード作りの方がプライオリティは高くなります。ブレーキとアクセル、ボードやトラッシュの綺麗さとドローの進め方のバランス感覚を身につけ、是非ともカビゴンを駆逐してやってください。僕は他のデッキ使います。
というわけで、アドカレ初日でした。いきなり競技の奥の方で少しチャレンジングな内容でしたが楽しんで読んでいただけたら嬉しく思います。明日以降も色々続いていきますので、ぜひ読んで拡散して書いてみてください。ここまでお付き合いいただきありがとうございました。最後はもうちょっと普遍的な話をおまけにしておきます。
おまけ
実はこっちの方がよっぽど重要で活かしやすいかもしれません。それは情報アドバンテージの話です。より正確にはディスアドバンテージです。つまり相手に手札を予測させない行動が重要です。それはプレーの面でもそうですが、むしろそれ以外のところで情報を失っている人が多いと感じます。表情や思考速度等で相手の手札が透けて、エリカを打てる、カゲツを打てるなとバラしてしまっている人が多いですよということです。
とある大会のサナ対面、後手1エリカでゲッコウガを釣っただけで投了を貰えたことがありました。運だけと言ってしまえば運だけなのはそうなのですが、なるべくポーカーフェイスに努め、手札にあったナンジャモからゲームをスタートすればわからなかったはずです。相手の嫌そうな表情がそれはカビゴンを相手する嫌さのみから来るものなのか、手札の爆弾から来るのかを僕は目線などから推測し、余裕があることも加味してドローではなくエリカを優先しました。
今は僕たちチーム内でも練習はLばかりで、カビゴンに当たった経験のある人もそのほとんどがPTCGLでのものでしょう。現在のLは環境が国内とほぼ変わらず、バグやVPNに目を瞑ればかなり練習しやすいツールですが、相手が目の前に座っていないという点が大きく異なります。あまりフィーチャーされることがありませんが、プレー順序や速度、表情は存外に大きな情報を持っています。これらについても気を配れると相手に情報を与えずに済みますし、逆に相手から大きな情報を得ることができます。これはカビゴンに限らず意識して損はないと思います。ではおまけもここら辺にしまして、ありがとうございました。