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金星の意外な事実:太陽系第二惑星「ヴィーナス」

最も近く最も地球に似た惑星であり、地球の双子と言われる呪われた星「金星」
生命が存在する可能性もあるこの惑星に、どんな秘密が存在するのか?

まずはスペック

金星は、太陽系の第二惑星、地球の隣に位置する惑星です。
金星は、地球によく似た惑星で、太陽系の中でも、その大きさと、平均密度がもっとも地球に近い惑星であるため、「地球の姉妹惑星」と表現されることもあります。

金星は、明け方と夕方のみに観測できます。
太陽、月に次いで明るく見える星なので、明け方に見えるものを「明けの明星」夕方に見えるものを「宵の明星」と言います。

これは、金星の公転軌道が、地球の公転軌道の内側にあるために、太陽の反対側、すなわち夜側から見えない位置に金星が居るから太陽に対して90度に近い位置でないと見ることが出来ないため起こります。

金星の大きさは、直径12,103kmこれは、地球の95%にあたる大きさになります。

質量は、地球の82%ほどです。
地球と同じ岩石惑星で、その密度はほとんど変わりません。

金星には、地球と同じく豊富な大気が存在します。
二酸化炭素96.5%と窒素3.5%を主成分とした大気です。

ちなみに、地球大気の主成分は、窒素78%、酸素21%です。
二酸化炭素は、0.038%ほどしかありません。

地球と金星、大気成分だけ見ると、全然違う環境だということが分かります。

金星には地球の様な磁場は存在しておらず、ケイ酸塩を成分とする地殻とマントルが、鉄とニッケルで出来た中心核を包んでいます。

私が小学生のころ、教科書に載っていた金星の写真を見て「これ地球やん」と思った記憶があります。

最近の金星写真というと、あの金色の灼熱感のある写真ですよね。
実際、金星を目視で見ると、青くて白い雲があるので、凄く地球に似た感覚を覚えます。

探査機が送り込まれるまで金星は、常夏の楽園なのではないかと考えていたとか。

金星は、非常にミステリアスです。
見た目は地球、中身は地獄。

そして、そのミステリアスに拍車をかけるのが、金星の自転方向です。
太陽系に浮かぶ「天体」のほとんどは、地球の北方向からみて、左回転「反時計回り」をしているのが普通です。

実際に、太陽系の天体のほとんどは、左回転をしています。
(太陽系が出来たときのガスの回転に依存)

とにかく、太陽系の99.9%は、反時計回りです。

しかし、金星は、なんと右回転「時計回り」なんです。
惑星としては、唯一無二です。

小惑星が時計回りであるとかとは、わけが違います。
金星の様な「巨大質量」が逆回転をするには、よほどの奇跡が起こったんでしょうね。

もしくは、いじられてる。

金星には、もう一つのミステリーが存在します。
それは、金星そのものを包む大気です。

まず、驚くのは、その大気圧です。
金星の大気圧は、非常に高く、金星地表では約92気圧もあります。

92気圧ですよ!地球の気圧が1気圧なので、なんと92倍の気圧。

気圧と聞いてもなんだかピンとこないと思いますが、地球上で私たちの体には、空にある空気の重さが圧し掛かっています。

1気圧だと、1平方センチメートルあたり1kgほどです。

これが、金星では92倍なんですね。
同じ気圧を体験しようと思えば、水深920mまで潜らないと無理です。
相当な水圧でしょうね。

それほどに、金星大気は厚いということになります。

おそらく、この厚い二酸化炭素の大気が原因で、金星は灼熱の環境にあります。
地表の気温は、おおよそ460度Cに達しますから、鉛も解けてしまう様な高温環境です。

ちなみにですが、大気圧が地球の92倍もあるとすると、その大気密度も凄い事になります。

大気密度は、地球の100倍になるので、100倍に圧縮された二酸化炭素の空気がどよ~んと流れている感じになりますね。

金星地表の風速は、秒速1~2m(7.2km/h)なので、地球上ではかなりゆるやかな風ですが、すごい衝撃波だと思われます。

地表は、こういう緩やかな風が吹いている程度ですが、金星大気の上層部には、スーパーローテーションという人知を超えた、とんでもなく強烈な風が吹いていることが分かっています。

その風速は、なんと、秒速100m(360km/h)に達します。
地球の同じ大きさの金星を、たった4日間で1周するほどの速度です。

まだ触れていませんでしたが、金星の自転は逆回転なうえに、とてもゆっくりです。

金星の自転は、地球の243日に相当する日数がかかります。
もはや、ほぼ回っていないといっていい。

それなのに、このスーパーローテーションは、その60倍のスピードで、金星を回転していることになります。

この現象がなぜ起こるのかは、いまだ解明されていません。
まさに、ヴィーナスミステリーです!(しらんけど)

この大気密度において、この風速は強烈です。
爆風といってもいいほどに、大きな力が働くと思われます。

ちょっと大きい隕石が落ちてきても、バラッバラになるかもですね。

地獄の星

金星は、美しい金星人が住む南国の楽園ではないようです。
その環境が、どれくらい過酷なのかをお話ていきます。

現時点ですでに、めちゃくちゃ過酷な気もしますが。。。

金星が地獄であるという理由は、先ほども説明したように、92倍の気圧、400度を超える気温、風速100mの暴風ですが、これに加えて、厚さ90kmにもおよぶ硫酸の雲から降り注ぐ、硫酸の雨があります。

なんで、よりにもよって硫酸なんだよと。。。
ただし、硫酸の雲が存在することは分かっているものの、実際に、地表にその硫酸が降り注いでいるかどうかは分かりません。

地球の場合、雲は、いわば氷です。
氷の細かな粒が浮遊している状態が、雲ですね。

それらが解けて落ちてくるとき、蒸発せずにのこった液体の水が、結果的に雨になる訳ですから、それと同じメカニズムが、あの気圧や気温、そして硫酸で働くのかどうかは分かりません。

地獄はまだ続きます。
金星には、地球のようなプレートテクトニクスがないと考えられています。

プレートとは、地球内部で起こるマントル対流が、地球表面である地殻を移動させるメカニズムのことです。

これがないとどうなるのかと言いますと、金星内部の温度が発散することなく、溜まっていくと考えられていまして、その溜まった熱が、一気に金星表面へマントルを押し上げるという事態が起こります。
したがって、金星表面は、ときどきマントルに埋め尽くされるとのこと。

地獄度合いでいうと、太陽系で太陽に次いで地獄だと言えます。

先ほどお話した、自転が遅いというのも、金星が地球と違った環境であることに関係が強いようです。

金星の公転は、224.7日です。
自転が、243日なのですが、自転の向きが公転と逆方向なので、金星の1日は、地球の117日に相当することになります。

金星の地磁気は、かなり弱く、その原因は、自転の速度が遅い事に原因があると考えられています。

したがって、地球の様に、太陽から飛んでくる太陽風をまともに受けてしまい、その結果、水素や酸素などの元素が、宇宙空間にどんどん発散されているとのこと。

金星探査

火星探査では、探査機や、探査用ローバーなどを送り込み、結構、しっかりとした探査が進められていますよね。

ところが、火星よりも近い金星については、調査はそれほど進んでいません。
着陸自体が困難なので、後回しになっていたのかも。

といいつつ、近年では、各国の宇宙研究機関が金星への注目度を高めています。

インド宇宙研究機関「ISRO」は、2023年に、金星周回軌道探査船を、アメリカ航空宇宙局「NASA」は、2025年に探査船の打ち上げを計画しています。

欧州宇宙機関「ESA」やロシアの宇宙開発国営企業ロス・コスモスなども、2020年代後半から2030年代前半にかけて金星の探査を予定しているそうです。

それほどに今、金星には注目が集まっていて、金星にとっての新たな10年間になるかもしれないと言われています。

もちろん、技術的なブレイクスルーや、火星探査の進展もあると思いますが、最も地球に近い環境で、生命誕生に繋がる情報と理解を深めたいという思惑が強いものと思われます。

科学者によっては、金星は未来の地球であって、昔の金星は、地球の様に豊富に水を擁する惑星であったと考える人もいるほどです。

したがって、太陽系外惑星に生命が存在する可能性についての評価に、大きな役割を果たすと考えられているのです。

金星探査は、米ソ冷戦下で活発に行われていました。
多くの探査船は、金星の過酷な環境に長時間耐えられなかったわけですが、金星の表面に着陸して最も長く活動した探査船は、ソ連が1981年に打ち上げた、ベネラ13号「不吉ですね」で、その記録は、127分間だそうです。

2005年、欧州宇宙機関は、ビーナスエクスプレスを打ち上げました。

ビーナスエクスプレスは、5カ月かけて、金星の250kmまで接近しています。

この探査機は、赤外線にて地表を探査し、金星からヘリウム、水素、酸素が放出されているのを観測しています。

日本の宇宙航空研究開発機構「JAXA」も、2010年、探査機「あかつき」を打ち上げて、金星探査を行っています。

実は「あかつき」は、金星軌道投入に失敗しています。
しかし、その5年後の2015年に、奇跡的なリベンジを果たし、試験観測を開始しました。(がんばれ!あかつき)

あかつきの観測によって、(気象を調べるプロジェクト PLANTE-C)

可視光線が通らないので、調査できなかった様々な波長にて調査を行う金星の気象衛星があかつき。
高温に強い、平面型のアンテナを地球に向けて電波を照射して、地球で観測もしています。
あかつきによって、地球の気象とまったく違う、予想外の現象が多数観測されました。
次に期待されているのは、火山活動と、雷の観測です。

観測によると、金星の地表面は比較的新しいことが分かりました。
数億年前に全とっかえされた形跡があるとのこと。

この火山活動と、雷の発生については、生命発生の可能性を大きく高めることになるとともに、地球と金星の違いが何なのか?地球は将来、金星のようになるのか?逆に、金星は、昔、地球のような星だったのか?こういった疑問に一定の答えが出せるようになるかもしれません。

金星生命体

研究者らは、現状の少ない探査情報や手がかりから、「金星の表面ではかつてプレートが動いていたかもしれない」と推測しています。

実は、プレートが適切に動くことによって大気と地中の二酸化炭素濃度が適切に保たれ、サーモスタットのように温度が一定に保たれることから、プレートが動いていたことが判明すれば、かつて金星は今よりも生命が住みやすい環境であった可能性が高まるそうです。

また、金星の表面を覆う岩の種類についても研究者らは注目しています。
玄武岩も花こう岩はマグマが冷え固まってできる岩石ですが、玄武岩と違って花こう岩は大量の水がないと作られません。

そのため、研究者らは金星の表面に花こう岩を発見できれば、かつて金星に大量の水があった証拠となると期待を寄せています。

生命が存在するか否か2つの可能性があります。

まずは、金星が以前、地球のような惑星であったという可能性。
これが現実であった場合、生命体が存在した可能性は、各段に高まります。

もう一つは、現状の金星環境から、生命が発生した可能性です。
どのレベルの生命がいるかは分かりませんが、少なくとも、地球上で発見されている微生物の中には、沸騰する温度で生命活動を行う生物や、高い酸性を帯びた場所で生命活動を行うものまでいます。

深海数千メートルの世界で生命活動を行う生物においては、太陽の光や、酸素まで必要としない生物まで存在します。

生命誕生に必要だったとされる、落雷や、火山活動が発見されれば、生命存在の可能性は、大きくなると考えられます。

まあ、その場合、原生生物である微生物程度かもしれません。

ただ、期待するのは、私たちが知らない、驚くべきメカニズムによって、生命活動を行う生物がいる可能性でしょうかね。

先ほど説明した、深海の生物は、火山活動のエネルギーで生きていますし、我々が、過酷だと思う様な環境でも、生命が存在していることを考えれば、多細胞生物の様な高度な生命がいるかもしれません。
深海には、鉄の甲羅をもった生物なんかも居ますからねw

金星は、7億年前まで、地球と似た環境であったという説があります。
7億年前というと、地球は全球凍結の真っ最中ですねw

この頃、地球では、大型の軟体生物が発生したころだと思われます。
金星でも似た生命進化が行われたと仮定すると、脊椎動物程度は居たかもしれません。
いや、なんだかんだで、人類も居たかもしれません。

なんだかんだが、かなりいい加減ですがw

なんらかの気候変動で、今の常態になったとしたら、ある程度成熟した生命が、順応し、知的生命へ進化しているかもしれません。
(希望的観測ですが)

地球においても、すでに人類や他の高等生物が、既に地球外へ移住している可能性は残っていますから、金星には、期待しかありませんね。

月とされるものが存在しない場合の生命とか、月という盾がなかったら、どうなるのかなど、地球の双子である金星には、様々な答えが用意されていると思われます。

金星の雲の中に生命体という話もありますし。

宇宙探査は、人類の想像をはるかに超えた世界が広がっていました。
宇宙膨張、宇宙線、クエーサー、ダークマター、ブラックホール。

今まで言われてきたハビタブルゾーン、すなわち、生命誕生の条件に合う領域というのは、案外、もっと広いものなのかもしれませんね。

というか、今の人類は、宇宙を探索するというミッションから、他の天体への移住を強く意識しています。

月や火星への移住、そして金星への移住です。

月や水星は、比較的移住しやすいと考えられています。
火星も遠からずですが、気候変動の起こる火星は、少し難易度が高いかもしれません。

ただ、このどれも、宇宙空間に浮かぶ宇宙ステーションの延長のような計画がほとんどです。

というのも、月、水星、火星のうち最も大きな火星においても、重力は、地球の1/3しかありませんし、大気圧は、地球の1%にも満たないほどです。
では、地獄と称される金星に、どうやって移住するのか?についてお話していきたいと思います。

金星移住には、2つの選択肢が検討されています。

一つは、フローティングシティ
二つ目は、テラフォーミング

テラフォーミングに関しては、火星でも同じような構想がありますね。
テラフォーミングとは、地球外の惑星の気候や環境を、地球に近づけて、居住可能な状態にする計画の事です。

しかし、火星は、地球とサイズが大きく違うため、そううまく行かないという試算が大勢を占めています。

では、金星のテラフォーミングは、どうでしょうか?

1960年代、天文学者カール・セーガンは、金星に大量に存在する二酸化炭素を、酸素に変換するため、その大気に藻類の種を撒くという案を提唱しました。

しかし、その後の観測によって、金星では水がほとんど存在しない事が分かったため、現実的でなくなりました。

航空宇宙技術者で作家のロバート・ズブリンは、著書で、巨大なソーラーシールドによって、太陽から金星を保護し、大気の二酸化炭素をドライアイスに凝固させ、雪として地表に降らせるのに十分なほど冷やし、最終的には埋めるという方法を提唱しています。

居住自体に、根本的な問題を抱える火星よりは、先々の可能性はあるとしても、とてつもないコストを要するプロジェクトになってしまいますね。

テラフォーミングについては、先々の技術革新にゆだねるとして、現実的な移住には、もう一つの「フローティングシティ」が、最も現実的であると思われます。

金星の地表は、非常に過酷な環境であり、地獄であると言いました。

したがって、NASAでは、この環境を克服するために、金星の上空50kmに有人の飛行船を飛ばそうという構想を練っています。

金星の上空50kmにある大気は、ほぼ、地球と同じ気圧で、重力も僅かに小さい程度。

気温も、75度C前後です。
環境としては、うってつけであると考えられます。

さらに、この高度であれば、太陽光発電が利用できると同時に、太陽の放射線からも身を守ることができるとのことです。

月も、水星も、火星も、宇宙ステーションも、この宇宙放射線に頭を抱えています。

したがって、このプロジェクトは、ほぼすべての条件をクリアする可能性を秘めています。

それだけでなく、地球から最も近い金星は、地球との往来が容易であるというメリットもあります。
往来にかかる時間が、650日~900日必要な火星と比べても、440日で済むため、利用価値が高いと考えられています。

このプロジェクトに使われる飛行船の大きさは、全長130mで、ボディはソーラーパネルでおおわれており、下部に、居住用のゴンドラを備えています。

ここまでは、おお、行けそうじゃないかと思うかもしれませんが、問題は、金星への突入方法です。

高度50kmの上空に飛行船を設置するという、今までの宇宙探査には無かったタイプのミッションです。

当然、空には、着陸する地表がないため、通常の、大気圏突入から、降下し、着陸というプロセスではありません。

着陸は、ミッションの失敗を意味します。

金星のミッションでは、大気圏突入から、下降し、飛行船への、ガス充填という流れになります。

飛行船は秒速7,200m「マッハ25」の速度で金星の大気圏に突入します。
7分かけてエアロシェルが秒速450mまで減速した後(エアロシェル:突入用バッグ)パラシュートを展開しさらに減速します。
秒速100mで大気圏を降下しながら飛行船は風船を膨張させます。

パラシュートが必要なくなるまで充分に膨張した飛行船は、金星表面50kmの上空で穏やかに浮かび上がります。

計画を聞く限り、今の所、地球に戻る術は、考えられていなさそうです。

もちろん、大量の飛行船を組み合わせ、金星上空に、都市建造を行えば、そこからロケットを発射することは、可能になるかもしれません。

この都市建設構想の名は、クラウドシティ!
(なんでもかんでもクラウドですよ)

今までの移住計画の中で、最も現実味のある移住計画だと思います。
にわかに活気を帯びてきた宇宙開発。

近い未来には、また私たちの想像を超えた宇宙の姿を、目にすることが出来るかもしれませんね。

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