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野鳥観察をしていて心からよかったと思う12のこと

「趣味はバードウォッチング」と話すと、「どういうところが楽しいのか」とよく聞かれる。どんなに控えめに言っても魅力しかない野鳥観察なのだが、その素晴らしさをいつもとっさに言葉にできず歯がゆい。そこで今回は野鳥観察を通じて私が得られたことや、趣味にしていてよかったと心から思う理由を、思いつく限り挙げてみたい。


1 野鳥が懸命に生きる姿に元気と癒しをもらえる

鳥って本当にかわいい。首をかしげるようなしぐさや、顔を背中の羽にうずめたり、エサである魚を追いかけたりする姿。ボーっとしているように見えて、実は獲物を狙っていたり(本当にただボーっとしている場合もあると思う)、我が子を天敵から守ろうと警戒していたり。鳥は見返りを求めたりしないし、悪意でほかの生き物を陥れることもない。観察していると、彼らはただ懸命に生きようとしていることに気付かされる。そんな姿を見ると、元気をもらえるし心から癒される。

正直、初めて見る野鳥を観察しているときなどは、どんなに暑い真夏の日差しのもとだろうと、雪が降る寒さの中だろうと、全部忘れられるのだ。没頭することで、リフレッシュもさせてもらっている。いつもほんとにありがとう!


2 視覚・聴覚・嗅覚が研ぎ澄まされる

山歩きが好きで、2,3カ月に1回くらいのペースで登山やハイキングに出かけている。

以前は、森の中を歩く非日常感、山頂で得られる達成感を楽しむのが主だった。しかし、野鳥観察を始めてからは、野鳥だけでなく山にいる生き物、植物や石などまで観察するようになった。

視覚は、何かが飛んだり動いたりすると(鳥かと思って)すぐに目を向ける癖がついているので、鳥以外の生き物(例えば、昆虫やカエルなどの両生類など)にも気付けることが増えたと思う。

聴覚は、鳥の鳴き声はもちろん、虫など山に住む生き物の声に耳を澄ますことが多くなった。

野鳥観察に嗅覚はあまり活躍しないが、野鳥が好む樹木にも興味がわくようになり、植物から発せられる香りにも注意を払うようになった。もしかしたら、その樹に野鳥がとまっているかもしれないから。

視覚、聴覚、嗅覚をフル稼働する登山中には、何かにつけて立ち止まってしまう。通常よりも下山するまでに時間を要するため、一緒に行く友達は少々辟易しているようだが…。山に行くと五感が一層研ぎ澄まされ、より充実した時間に感じられる。


3 視力・動体視力がアップした!?

断言はできないのだが、以前よりも目がよくなった気がしている。私はメガネ着用で視力1.2なのだが、先日眼科で視力検査したところ、「1.2~1.5」と判定された!1.5も射程圏内に入ったということは、視力が上がったのでは!?

野鳥観察は、遠くにいる鳥でも、それが何なのか識別するために目を凝らす。もちろん双眼鏡や望遠鏡を使うことも多いが、遠くのある一点を見る機会が増えたことで、視力アップしたのではないかと(強引に)想定している。

また、動体視力については、ビフォーアフターで計測したことがないのでこれまた証拠はないのだが、以前よりも動いているものを目で追えるようになった。

野鳥観察は「動くもの(鳥)を眼で追う」ことを繰り返し行う。とにかく、空中を飛んでいるものに対しては反射神経がはたらく癖がついてしまったので、動体視力そのものというよりも、意識によるところが大きいかもしれない。

(一応、動体視力を計測できるテストがあったので、やってみました。レベル4まではクリアできたましたが、レベル5は2問正解が限界…)


4 ゴミを(以前より)正しく分別するようになった

人間が排出しているゴミや汚染物質などによって、生き物の生活が脅かされているニュースを、毎日のように目にする(特に海外メディアで)。大好きな野鳥たちには、できる限り長生きしてほしい。種が絶滅しないようにしたい。そうした思いからか、ゴミの分別に以前よりも気を遣うようになった。以前からちゃんとやっていたつもりだったが、改めて分別表を確認すると思い込みが発覚!こまめにチェックしてから捨てるようにしている。

野鳥について知っていくと、自分の生活は自然環境の営みの一部であることを痛感する。学校で、食物連鎖や生態系の中で私たちは生きていること、自然を大切にしよう、ということは確かに教わったのだが、この事実を実感を持って受け止めるようになったのは、野鳥観察を始めてからだ。

ゴミの分別は小さなことだが、自分にできることをやっていきたいと思う。


5 虫などの生き物に対する苦手意識が薄くなった

虫が大の苦手だったというわけではないのだが、以前ほど虫への苦手意識を感じなくなったし、むやみに殺さなくなった。虫に出会ったらよく観察したり、写真に収めたりしている(虫の種類にもよる)。部屋の中に入ってきてしまったら、そっと取って外に出す。

虫は時に野鳥の食糧になる。あらゆる生き物の生態に関わっていると思うと、虫の命をむげにはできない。それに、よく見るとかわいい目をしていたり、驚くほどきれいな色をしていたりと、いろいろな発見がある。

最近では、カエルやヤモリなどの両生類や、ヘビやトカゲなどの爬虫類の魅力にも気付いてしまった。野鳥を通じて、ほかの生き物への興味関心がどんどん広がっており、それぞれの面白さを日々実感している。


6 季節のうつろいが一層楽しみになった

野鳥は、季節によって見られる種類が異なる。一年中見られる種もいるが、春と秋には渡り鳥がやってくるし、パートナーを求める季節(春~初夏)には、美しいさえずりを聞くこともできる。

また、年によって、渡り鳥が初めて確認される時期は異なる。何千、何万㎞という距離を渡ってくるのだから当然なのだが、渡りのシーズンになると、鳥好きの人たちの間では「今年は少し早く来た」「まだ来てないな(早く来ないかな)」といった会話が交わされる。その時期にしか見られない野鳥の飛来を待ちわびる時間も醍醐味の一つだ。


7 渡り鳥を通じて国境を越えたロマンを感じられる

渡りに関連してもう一つスゴいと思うのが、野鳥には国境がないことだ。

渡りをする身近な鳥にツバメがいる。彼らは春、南の方から日本に渡ってきて、家や駅の軒先に巣を作って子育てをし、ヒナが巣立ったあと、秋にはまた南(フィリピン、インドネシア、マレーシアなどと言われている)に戻っていく。

※渡りについてはまだ勉強中なので、記載に誤りがあったらごめんなさい。

渡り鳥は国境を越えて、海を越えて、命がけで日本にやってくる。長い旅路(渡り)の途中、天敵に襲われそうになったり、荒天に見舞われたり、壮絶な出来事もあったかもしれない。そうした厳しい状況を乗り越えて、私たちの前に姿を見せてくれているのだ。

渡りについて知ると、毎年何気なく見ていたツバメが、実は非常に特別な存在であることを思い知らされる。


8 健康的な趣味である

野鳥観察は野外での活動が主なので、必然的に外に出ることになる。さまざまな種類に出会いたければ、都心ではなく、やはり空気や水がきれいな山や川、海などに行くことになるので、リフレッシュにはもってこいである。

激しい運動をするわけではなく、ゆっくり歩きながら観察するので、ウォーキングとしてもいい。観察をしていると時間はあっという間に過ぎるので、無理してジョギングやランニングなどをするよりも、はるかにお手軽だ。鳥を見ながら体を動かせるので、まさに一石二鳥!


9 経済的な趣味である(賛否あり)

また、野鳥観察は基本的にお金がかからない。究極的には身一つでできる趣味である。

「賛否あり」と記載したのには、観察するためのツールの購入には数万円以上かかることがあるからだ。双眼鏡や望遠鏡、撮影のためのカメラ、録音機材などがあるが、これらは高品質のものを求めれば求めるほど、「経済的な趣味」とは決して言えないだろう。

野鳥観察を趣味にしていると話すと、「望遠鏡持ってるの?」「いいカメラ欲しくならない?」と聞かれることが多いが、野鳥を観察すること自体は、これらのツールがなくても(肉眼でも)十分できる。あると観察がより深まったり、撮影を楽しんだりと幅が広がることは間違いない。しかし、まずは肉眼で始めて、「もっとよく見たい」「もっとくっきり撮りたい」と思ってからでも、ツールの購入は遅くない。

また、野鳥の中には高山にしかいないもの、海の沖を生活圏にしているものもいる。観察するために遠征する場合には、交通費や宿泊費などがかかってしまう。

とはいえ、都市公園でも野鳥観察は十分にできる。私自身、始めた当初は山の中や大きな川に行かないと野鳥が見られないのではないかと思っていたのだが、実際には都内の公園や河川でも、実にさまざまな種類の野鳥が見られることが分かった。(都内の公園でルリビタキ♂を初めて見たときの興奮は、今でも忘れられない。)

もちろん、都心よりも山深いところの方が種類豊富に観察できるが、まずは近場で目を凝らしてみるだけでも、新しい発見があるはずだ。


10 ソーシャルディスタンスを保ちながら楽しめる

コロナ禍において、多くのイベントやレジャー施設などが中止を余儀なくされる中でも、野鳥観察は「3密」になることもなく、ソーシャルディスタンスを保ちながら楽しめる趣味だ(単独で観察する場合)。

とはいえ、各地で定期的に開催されていた探鳥会(バードウォッチングをするイベント)は軒並み中止になっている。集団での野鳥観察は確かに現状難しくはあるが、一人で散歩がてらする分には問題なさそうだ(外出自粛期間は控えました。野鳥観察するときは、マスクを着用しています)。


野鳥観察を楽しむためには野鳥が警戒しない距離感で観察、ないし撮影する必要があり、野鳥との距離は2m以上離れていることがほとんど。ソーシャルディスタンスについては教わらずとも、その絶妙な感覚を我々バードウォッチャーは持ち合わせていた!?


11 老若男女との交流ができる

公園などの野鳥観察スポットに行くと、カメラや双眼鏡を持った人だかりに遭遇することがある。何か(野鳥が)いるから人がいるはずなので、こういう時は「何がいるのか教えていただけますか」と尋ねることにしている。少し勇気がいるが、大丈夫。経験上、野鳥好きな人たちは温かい人が多く、快く教えてくれる(できるだけ撮影や観察のお邪魔にならないように、様子を見ながら声を抑え気味で尋ねます)。

先日も、とある公園で大砲のようなカメラを構えた男性1人(推定50代)と、双眼鏡を持った女性2人(推定60代)、ベテラン感のにじみ出る中学生くらいの男性が、ひとところに集って樹の上方を眺めていた。臆せず輪に飛び込んでみると、オオルリキビタキが見られると教えてくれた。一瞬でも野鳥の姿(影)が見えると、皆カメラを構え連写。撮影できた鳥を見せ合いながら、野鳥トークに花が咲く。この方たちはどうやら、ご夫婦や家族ではなく、野鳥を通じて偶然ここに居合わせたようだ。

そうこうしているうちに、続々と人が集まってきた。小学1年生の男の子とそのお母さん、大学生くらいの男性、また別の大学生男子2名などなど。最終的には、15人ほどになっていた。

過去に撮影した写真や、拾った羽を見せ合ったり。ベテランバードウォッチャーの方は、その場所で見られる野鳥がどの樹のどの枝によく止まるかや、似ている種類の野鳥をどのように見分けるかなど、いろいろ教えてくれたりする。

こういう、しがらみのない、年齢も性別も関係なく「野鳥」という共通項でコミュニケーションをとれる時間は、ほかに代えがたい楽しさがある。

※野鳥観察中の会話は、観察の妨げにならないようマナーが必要です。


12 英語を読む・聞くのが苦でなくなる

野鳥について知るほど、日本にはいない鳥のことも気になり始める。海外の野鳥図鑑は、当然だが英語っで書かれていることがほとんどだ。イラストや写真を眺めるだけでももちろん楽しいのだが、その鳥の生態をもっと知りたければ、本文を読むしかない。英語を読むことにはハードルがあるものの、鳥のことを知りたい気持ちがそのハードルを軽々と超えてしまうのだ!

野鳥関連の動画も、英語で語られているものも躊躇することなく閲覧している。日本語字幕がないことがほとんどなので、英語字幕をつけて視聴。内容の半分も理解できないこともあるが、それでも海外の野鳥について少しでも知れるのはうれしい。わざわざ英語を勉強する必要性が生じない日常生活において、英単語を調べるのも苦ではないし、鳥について知りながら英語も勉強している(気持ちになれる)充足感がある。これは自分でも思いがけない、よい影響だった。


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野鳥観察2年目の私が実感している、野鳥観察をしていて心からよかったと感じていることを紹介した。現時点では11点に集約されたが、まだまだある気がするがので、思いついたら追加していくことにする。

お読みいただきありがとうございました。

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