「米光講座」で得られるものを再確認した話

 うまい文は書けていない。望んだ結果は残せていない。でも、やる気がみなぎるのを感じていた。

 大好きなスポーツや選手の魅力を、的確に伝えられるライターになりたい。実現するために、宣伝会議の編集ライター養成講座即戦力コース=通称「米光講座」に通っている。「ぷよぷよ」や「バロック」の生みの親・米光一成氏が講師を務める実践的な講座だ。

 全10回の講座の8回目は「エキレビオーディション」。受講生が提出した課題に対し、エキレビ編集長・アライユキコ氏らプロの編集者やライターが講評・アドバイスを行った。課題は、エキレビ向けのドラマレビューが主で、各自の得意分野で挑戦した者もいた。

 「『発見』を書け」、「『広い言葉』を使うな」。米光氏が常に強調する点だ。
 「発見」とは、観察した上で見つけた洞察や切り口。読者が気づかなかったことや、言葉にできなかったことを言語化すること。ドラマレビューならば、出演者の過去の作品を根拠とした切り口から見る、など。
 「広い言葉」とは、一見もっともらしいが具体性に欠け、広く当てはまってしまうこと。「素晴らしい」や「今後に期待が高まる」といった、ありきたりな表現。ドラマレビューで言えば、「豪華なキャスト」や「必見の一作」などが該当する。

 「エキレビオーディション」では、ゲストから異口同音に、同様の指摘が出た。高評価を受けた作品は、おおむね被っていた。ゲストの書くジャンルは、さまざま。文のスタイルも違う。それでも、一致していた。

 私は、今クールのドラマを十数本確認。最もおもしろいと感じた「10の秘密」のレビューに挑んだ。タイトルは、「『10の秘密』から浮かんだ10の疑問」。受けた評価は「内容がふつう過ぎる」。
 おもしろくするためのアドバイスとして「書く前に他人に話すこと」を提示された。「ただ、気持ちを伝えても、相手には伝わらない。相手によって伝え方を変える」と。
 現時点で、私は講座で苦戦が続いている。「発見」になかなかたどり着けていない。それでも。

 受講生は、同期生の様子が明確に見える。毎回提出する文章は、全員分を確認することができる。課題を十分こなしている受講生は、取り組んだ分成長していく。継続は力。言葉にすると当たり前のことを、実感することができる。実際、「エキレビオーディション」で〝開花〟した者もいた。
 米光氏は講座の際に「言い訳するな」「諦めるな」と呼び掛けている。受け取る側の実感を伴えば、言葉は精神論ではなくなる。

  講座後の飲み会で、あるOBからこんな言葉を聞けた。「講座を受けて、『自分にはこのスタイルしかない』と思った」。確固たる軸を持つ者の文章への姿勢に触れることができた。
 おれも、そんなことを言えるようになりたい。講座はあと2回、挑戦あるのみ。

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