短文バトル12「父との記憶」

父の香りと認識していたのが、タバコのにおいだと知ったのは、大きくなってからだった
中学生の頃、喫煙していた。タバコがうまいわけでなく、友だちの前でいきがっていただけ
地元の中学校に通っていたので、母の耳に入った
父は「一郎は吸っていない。喫煙者はわかるから、安心しろ」と、母をいさめた。私の喫煙が両親にばれることはなかった。父の箱からも抜いていたのだが
喫煙者の父は、私においには気づくことはできなかったようだ
父に申し訳なくて、四半世紀経った今も話していない

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