雪の日の思い出
雪が降ると思い出す、あの日の夜の苦い思い出を‥
あれは僕がまだ前のそのまた前のジムにいた頃の話。
当時そこの団体は市営の体育館で練習していたのだが、新しく常設のジムを作ろうという動きがあり工事が始まっていた。
僕はその日雪が降っていたにも関わらずクルマで練習に向かった。
そして体育館に着いて武道場に行くと‥
あれ、誰もいないじゃん‥
なんで‥??
そうか‥
もしかして工事中の常設ジムで練習出来るようになってみんなそっちに行ってるのかな。
あわてて少し離れた常設ジムの方へ行ってみる。
中へ入ると練習はやっていず代表のAさんが若手とペンキ塗りをしていた。
「おー金古、お前何しに来たの?」
悪びれもせず言う代表。
いやいや、練習中止だなんて一言も言ってなかったじゃん。
そして
「せっかく来たんだからお前も手伝っていけ」
とペンキ塗りまでさせられる始末。
僕はというとただただ絶句しながらそれでも少しペンキ塗りを手伝った。
帰りのクルマの中でめずらしく僕は憤りを感じながら車を走らせていた。
しかしイライラしながら帰っていたせいか、帰り道で曲がる信号をうっかり見落としてしまった。
戻っていつもの道から帰ろうかとも考えたが、まあ適当なところで曲がれば大丈夫だろうと思いそのまま走ることに。
これが間違いの始まりだった。
道がどんどんせまくなる。
雪がどんどんひどくなる。
こうして金古一朗29歳(当時)、めでたく迷子です。
当時の車にはナビが付いておらず。
進めば進む程道は狭くなる。
時間がたてばたつほど雪も降り積もる。
僕の不安も降り積もる。
クルマは2駆のノーマルタイヤ。
当然チェーンも巻いていない。
気付けば周りはたんぼ道。
タイヤはツルツル滑りまくる。
一瞬でもハンドルを取られたらたんぼにダイブ。
ものすごい緊張感と戦いながらたんぼ道を抜け、なんとか家に着いたのは
なんとジムを出てから3時間後だった。
そして、それからほどなくして僕はそのジムを辞めた。
今でも雪が降ると思い出す、あの日の夜の苦い思い出を‥
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