タンクスレイヤー: スチールハント(2)

*このきみょうな文章は、World of Tanksという戦車戦ゲームのバトルロワイヤルモード、Steel Hunterを遊んだニンジャ過剰摂取者の見た白昼夢を書き起こしたものです。第一話はありません。

これまでのあらすじ

暗黒メガコーポ、センソウアソビ社主催のタンク同士によるバトルロワイヤル、「テッカリ」に集ったタンクたち。そこに現れたドイツタンク・クランのタンク、フラメンシュヴェルトは、タンク野伏力と手数に優れるニンジャ、ラトルスネークを完膚なきまでに叩き潰した。しかしその直後、ソビエトタンク・クランのタンク、レッド・ドーンからアンブッシュの一撃を浴びせられたのだ!

タンクスレイヤー: スチールハント(2)

「グワーッ!」側面装甲を鋭く貫く一撃!だがかろうじてエンジンは外れ、炎上は免れた。フラメンシュヴェルトはその砲弾が放たれた先を素早く確認!「ハハッ!のろまのドイツタンク・クランじゃないか!経験値をアリガト!」アンブッシュしておきながらアイサツ一つない!なんたるシツレイか!

しかしこのテッカリはバトルロワイヤル、ここでは古事記ですら単なる歴史書に過ぎない。彼らは無礼講なのだ。フラメンシュヴェルトはチャドー呼吸で気を静めつつ、目の前の敵の亡骸から溢れるカラテオーラを吸収して回復した。

束の間の休憩の後、万全の状態に戻ったフラメンシュヴェルトは……「ティコーン」体から探知電波を放った、そして彼はレッド・ドーンが逃げ去った逆の方角に全速で走り出す。つまらぬアヤを捨て置き、物資の回収に勤しむという状況判断だろうか?

全速で黄色のカラテ補給オーラを取得……しない!補給オーラを素通り!カラテ・ニトロ炎を吹き上げると大通りに飛び出した!操縦ミスか?否!!目の前には先程のレッド・ドーン!!何たる偶然か!

実のところこれは偶然ではない、フラメンシュヴェルトの卓越したニンジャ野伏力により、制限ゾーンと物資の分布、敵の位置から進行先を割り出した、まさに油断ならぬタンクカラテの結実である!!

「アイエッ!」レッド・ドーンは突如衝突コースにエントリーした巨体に動揺を隠せぬ!しかし懸命に舵を切り回避……ならず!!「アイエエエエエッ!!」ガシャン!!衝突!!重量差で無視出来ぬ痛手を負う!しかも壁に押し付けられ、退路は絶たれた!!

一方、かすり傷程度のタンクは……「ドーモ、フラメンシュヴェルトです」地獄の底から響くようなゆっくりとした調子でアイサツをした。「ド、ドーモ、フラメンシュヴェルト=サン。レッド・ドーンです」レッド・ドーンは機動力に秀でたニンジャであり、ガブリヨツになっては勝ち目はない。

自慢の貫通力も、肉薄された事によりフラメンシュヴェルトの部分ムテキ・アティチュード部分に弾かれ役に立たない。しかも衝突による痛手だ、このまま撃ち合えばまず無残に負ける。無論、レッド・ドーンにもその程度の状況判断能力はあった。

見苦しくもじもじと旋回、前後を繰り返しつつレッド・ドーンが口を開いた。「さっ、さっきのはアクシデント!事故だったんです!!アクシデントはタンクに付き物でしょう!」「ほう」「そ、そう!暴発!暴発ですよ!あくまでアクシデント!ほら、こんな所でやりあってたら!ほかのタンクが来て実際共倒れだ!ここは穏便に……」ティコーン!無線探知!

「辺りには誰もおらぬようだな」「アイエエエエッ!ナニトゾ!ナニトゾ!事故ですから!!事故!」レッド・ドーンはしめやかにオイル失禁!!しかし!「うむ」「エッ」「私も弱者をいたぶるのは趣味ではない」寛容!

「私が好むのは強者との死合いだ、よかろう、見逃してやる」「アリガトゴザイマス!アリガトゴザイマス!」レッド・ドーンは安堵より更に失禁!希望の光!「このご恩は一生」「イヤーッ!」「グワーッ!?」フラメンシュヴェルトの高威力砲が火を吹いた!腹部へのゼロ距離射撃!!何故!?

「アバ……ナンデ……ナンデ……」「すまんな、暴発だ。いやはや、アクシデントは付き物だな。すまんすまん」欺瞞!!しかし繰り返そう、彼らは無礼講だ!!「クソ……クソッ……」悲惨な状況の内臓と装甲のカラテ補修を試みるレッド・ドーン、しかしその腹に立て続けの高火力砲撃!!「イヤーッ!」「グワーッ!」「すまんすまん、また暴発した」

「アクシデントとは怖いものだな!」砲撃!「グワーッ!」「また暴発だ」砲撃!「グワーッ!」「また暴発」砲撃!「グワーッ!」「また暴発」砲撃!「グワーッ!」「ムハハハハ暴発!」砲撃!「アバッ……アババ……」

虫の息のレッド・ドーン、後一撃で確実な死!「どうする、ハイクでも詠むか?レッド・ドーン=サン」「アバッ……祖国のため/赤い」「おっと暴発!」砲撃!「アバーッ!サヨナラ!!」レッド・ドーンはハイクを詠み切らず爆発四散!何たる残虐!何たるマッポーの顕現か!!しかし繰り返そう、彼らは無礼講なのだ!!!

レッド・ドーンの亡骸からカラテオーラを吸収し終えたフラメンシュヴェルト。しかし見よ、何かがおかしい。一瞬にして名状しがたき形状となった車体と砲塔!そう、今の戦闘によりカラテ経験値が貯まり、血中に滾ったそれを発露させ己の肉体を改造したのだ。センソウアソビ社の先進テックによる禍々しき変貌である。

異形のタンクはチャドー呼吸をしつつ首を軽く左右に旋回させると、充実した装甲を試すべくカラテ・ニトロ炎をあげて走り出した。行く先は戦闘区域中心の激戦区、空を見上げれば今まさに、貴重な戦闘物資を吊るしたパラシュートが続々と……。(完)

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