高山が作家として更に飛躍することを願い創作活動を支援したい!~エッセイ「ガーターベルトの女」の作品化を目指して【273】

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【随筆】トイレットペーパーと殺伐とした空気

高山の作品から
随筆「映画『健さん』の私感・雑感」

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2017/05/18 

ドキュメンタリー映画『健さん』を観ました。

高倉健の事を色々な人が、あらゆる角度から証言した映画です。

一度しか観てないし、最低限しか調べないから間違いの記述も有ると思うけど、とても良かったから今のうちにと思い書いてます。

出演者に知らない人も居たから、有名な人でマーティン・スコセッシ、マイケル・ダグラス、ジョン・ウー、ヤン・デボン、ポール・シュレイダー、梅宮辰夫、八名信夫、中野良子、立木義浩、山田洋二、降旗康男、川本三郎、他ですね。


監督は、日比遊一って人です。

これは、様々な角度から高倉健を描いてます。


ある意味、伝説化した人を一人の人間として捉えてる部分もあって興味深いし、とても良かったです。

個人的に女優では吉永小百合が残ってますが、最後の映画スターだと思います。


自分自身が健さんにハマったのは『夜叉』からで、東映時代ではないです。

この時の事は他でも書いてるけど、高校生で田舎に来た映画は全て観てました。

当時は、高倉健かあですよ。

当時、高校生の僕にはオッサンじゃん、ですよ。

それと、既に大スターってのも気に入らない要素でしたね。

しかし、見終わって何てカッコいい男なんだ、でした。


東映時代の映画は、余り観てないです。


なかなか亡くなる前はDVDレンタルに無いのと、僕はある程度歳を重ねた健さんに惹かれたので、積極的に観ようと思わなかったです。

この先は見直したいですね。


海外の監督やプロデューサーは凄く誉めてて、オファーしたけど上手く映画にならなかったって話しが多いです。

まさかマーティン・スコセッシが出てくるとは思いませんでしたが、かなり前から注目しててオファーしてるんですね。

それと、高倉建がスコセッシの『レイジングブル』のファンで、ロバート・デ・ニーロが、その時使ったグローブを健さんにあげたと言う興味深い話しも出ます。

最近の『沈黙』もオファーしたようですが、丁寧に断られたと言ってます。


ジョン・ウー監督も相当入れ込んでたようです。


この人は香港から出てきてハリウッドで成功した監督ですが、トム・クルーズやニコラス・ケイジに演技の指導する時も、高倉建を見本としてたと語ってます。

そう言われたら、あ!そうかもと思えましたよ。


『ブラック・レイン』で撮影監督をやって知り合った『スピード』の監督のヤン・デボンは・アメリカ版の『ゴジラ』に高倉健を誘ってます。

しかし、ヤン・デボンの案が余りに制作費が掛かり、没になってます。

かなり親しかったようですし、ヤン・デボンと高倉健の『ゴジラ』観たかったですね。


『ブラック・レイン』の共演のマイケル・ダグラスも、きちんとインタビューに答えてますね。

俳優目線で答えて面白いですよ。


彼等に取っては、日本人の美徳を全て持った人と映ってるようです。


無口でストイックで謙虚で、ですね。


昔の日本人が持っていた美徳ですね。


確かに高倉建伝説は数々有りますし、映画に出たらピンと背筋を伸ばして、台詞は最小限で、って感じです。


佇まいだけで他を圧倒する物が有りますね。

それと今回、確か誰か言ってたと思いますが、目ですね。

目で演技するって有りますね。

時には鋭く、時には包容力豊かにですね。

どういう映画でも高倉建なんですが、それで良いと思います。


山田洋二が自分自身の時代劇に、木村拓也を出演させた時に健さんに似てると言ったけど、おいおいですよ。

確かに木村拓也も何をやっても木村拓也ですが、スケールが違うし演技が違いすぎでしょ。


まあ、それは置いて当時の役者としては珍しく、かなり身体を鍛えてましたね。


上半身裸のシーンは、歳を取っても鍛えてるなあ、でした。

『幸せの黄色いハンカチ』では一番分かります、お尻がキュッと上がってるですよ。

『ブラック・レイン』でも良く見るとそれが分かります。

鍛えてないと、ああいう感じになりませんね。


このドキュメンタリー映画を観て思ったのが、常に普段も高倉建を演じてたように思えます。


これが凄い親しい人になると違いますし、若い頃のエピソードは興味深いです。


悪役商会の八名さんが話す高倉健は、後年の健さんでは無くて人間味溢れてますし、昔は遅刻癖があったと言うのも意外でした。


梅宮辰夫が話す健さんも面白いです。


酒を飲まないので有名でしたが、飲めないので無くて、飲まなくなったらしいです。


飲んで喧嘩で相手をぼこぼこにしてしまったらしく、それから飲まないようになったらしいです。


そういう場所が嫌いで飲まないかと思ってました。


確かにそういう場所は嫌いなようでしたが、それは若い頃では無くてある程度歳を重ねてなのでは、と勝手に思いました。

福岡のけっこう荒い所の出身ですし、若い頃はヤクザ映画に出てて当然ヤクザの大物との付き合いもあったと思うから、実は相当気の強い人だったのだろうと思いますよ。

それと、梅宮さんの娘の結婚式におめでとうの手紙が来てて、宛先を梅宮さんの本名にしてるんです。

この辺りの気配りが、スターだなと梅宮さん言ってて、なるほどと思います。

八名さんが話す健さんは、コーヒー好きで皆に自分自身が作ったコーヒーを配るけど、それが不味くてだけど断れ無くて、とか言ってます。

若い頃は、コーヒー好きで煙草好きだったと言われてます。

煙草は後年止めたのでは無いかと思いますが、コーヒー好きは有名ですね。


あー!人間味あるエピソードだなですが、八名さんが売れて来た時には釘を刺されてますね。


昔のようなギラギラした部分が無くなったぞ、とね。


評論家や周りの人で誰だったか忘れたけど、クリント・イーストウッドと似てると言ったけど、確かにそうなんですね。


健さんのやる役はアウトローなんですよね。

アウトローだけどそこには、それなりの筋が通っててって感じですね。イーストウッドも役者としてマカロニ・ウェスタンから『ダーティハリー』や他の作品もそういう感じですね。 


イーストウッドを単純には言えないけど、似てる部分が役者としては多いですし、役者としてのクリントイーストウッドも器用ではないし、大抵何時もクリント・イーストウッド自身なんですね。

監督としての評価は高いけど、役者としては確か賞を取ってないのではです。

健さんとの共通項が意外に多いですね。

この映画は、僕が健さんの映画を観ててもこの人誰って人がけっこう出ます。


『単騎千里を走る』の共演者が健さんの事を訪ねる所から始まるけど、この映画を観てるけど共演者は覚えてないです。


『友へチング』のユ・オソン出てますが、『友へチング』は観てるけど、そんなに覚えてないんですよね。


この人が松田優作に似てると健さんが思って、映画のロケで韓国に行った時に会いたいとオファーして会ってます。


健さんは、松田優作の事をやはり気にしてたんだなと思われるエピソードです。


『ブラック・レイン』で共演して、その後亡くなった松田優作を気にしてたんだと思うと嬉しいですね。

二人はタイプは違うけど、良い意味で役者馬鹿ですね。

松田優作はそれでトラブルも起こしてるけど・・・。


確かに健さんの綺麗な部分ばかりをクローズアップしてるけど、本質をかなり突いてると思いますよ。 


常に、高倉建を自分自身で演じてた部分が有るようですが、後年に度々タッグを組んでる降旗監督と一部には、本名の小田剛一として接した部分が有るように思います。


特に他人では、僕の勉強不足で知らない人なんですが、京都のガソリンスタンドの社長が出ます。

京都では有名な人らしいですが、僕は知らなかったです。


健さんと何度か共演してるようです。

名前は覚えてないからガソリンスタンドの人としますね。


この人とは非常に親交が深かったんだなと思わせるエピソードが、沢山出ます。


ガソリンスタンドの人の息子さんの結婚式に出てる映像も観られますし、健さんのお母さんが亡くなった後の墓の掃除を、この人がまめに隠れてやってて健さんには、バレててありがとうと言われます。


公の場に出るのを嫌がった人が、息子さんの結婚式に出てるって相当親しかっただと思いますよ。

このガソリンスタンドの人の話し方は我の強そうな話し方をしますが、周りが知らないようなエピソードが出てきます。

京都で時々滝修行してたのも出ます。

何故滝修行を始めたかは、色々不幸が続いて偉い人に相談したら貴方は映画の中とはいえ何人も殺してるんですよ、と言われて始めてるようです。


相当興味深いし、なるほどと思わせますよ。


健さんは日本の男を演じたいと言ってますが、単純に男を演じてきたと僕は思います。


いつも健さんであり続けた為に、映画の賞は意外に取ってないです。

数々出てる割には少ないですよ。


一時期流行った言葉で、不器用ですからって感じで、役者として器用ではないですし映画も凄く高いレベルまで行ってるの少ないですが、それでも健さんが出てれば良いって人は多かったと思います。

そういう役者は稀有な存在ですね。


東映時代のヤクザ映画では、当時の人達が見たあとに健さんになりきってしまって出てくる、って聞いた事が有ります。


今回のインタビューでは出ませんが、薬師丸ひろ子は『野生の証明』で共演した健さんを相当慕ってて、何かある度に相談してたって有名ですね。


もう一人、どうしても出て欲しかったのは田中邦衛ですね。


数々共演してるし、健さんを相当慕ってましたからね。


田中邦衛が多分、体調的な物で出ないのでは無いかと勝手に思います。

健さんが亡くなって色々なテレビ放映があったけど、僕の知る限り田中邦衛が出てるの見てないのは田中邦衛の体調問題ではと思います。


数々の海外のオファーが上手く行かずに頓挫したのも残念ですが、映画ってそういう物ですね。


最後に健さんの妹さんが出ます。


これが一番、この映画の見所かも知れないです。


健さんと健さんのお母さんの交流を話します。


健さんの妹だからけっこう高齢だと思いますが、きちんとした気品のある人です。


健さんのお母さんが亡くなった時に、映画の撮影で戻れずにやっと戻ったら、お母さんのお骨のある部屋に入って絶対に入って来るなと言います。


長く部屋に閉じこもり、出てきたらしいです。  

後から聞くと、お母さんのお骨を少し食べたようです。


健さんのお母さんは九十歳くらいで亡くなってるから、ある意味良く生きた方ですが、健さんに取っては非常に特別な存在だったようです。


男は皆そうなのでは、とも思いますけどね。

自分自身現在四十九歳ですが、四十代に入ってやっと母親の有りがたさが分かります。

高倉健のエッセイ『あなたに誉められたくて』も昔読みましたが、母親の愛情を書いてたのを思い出しました。


こういうリアルな一人の男、って所まで見せたのは良かったですよ。


別れた奥さんの江利チエミが亡くなった時も、隠れて来てたようですね。

蛇足ですが、昔芸能人スキャンダルで健さんの行方が掴めず、エイズでは無いかと憶測が流れました。

また、亡くなってからも女性の問題が軽く出てたようですが、あれだけのスターですから男も女もやってておかしくないですよ。

僕は、個人的にあるスターのそういうのを知ってしまった事が有るけど、昭和のスターなんてそういう事は多かったのではと思いますよ。

特に、それで健さんの名誉が壊れるとは思いませんね。


健さんは、高倉建と本名の小田剛一を無意識に使い分けてたのでは、と思いますね。


今後こういうスターは出ないでしょう。


時代的な物、こういうスターを出そうとしないでしょうね。 


一つ不満が有るのが、映画の映像で出るのは『ブラック・レイン』と、『ザ・ヤクザ』だけです。


後はスチール写真や写真だけです。


『ブラック・レイン』も、『ザ・ヤクザ』もハリウッド映画です。


この辺りの日本の映画の著作権の問題が多分有ったのだろうと思いますが、そのくらい出してくれても良かったのではと思いますよ。

未だに日本映画は、小さな所で縄張り争いかよ、と思いました。


高倉建と言う稀有なスターが亡くなったんだから、その辺りも考えて欲しかったです。


個人的に晩年の作品は、三作は一度しか観てないです。


何故かは、流石の高倉健も老けたなと少し悲しくなったからですが、また観てみようかと思います。

こういう言い方は失礼ですが、あの年齢で丁度亡くなって、スター高倉健としては良かったのではとも思います。


それと北野武が何かのインタビューで、健さんに自分自身の映画に出て欲しかった、と言ってたのを思い出します。


見たかったですね。


北野映画の健さんをね。


スターを亡くしたんだなとつくづく思いますよ。


最後のシーンで、映画館の中で観客が健さん!!健さん!!、と声を掛ける所が有りますが、ここで僕は抑えていた物が崩れて涙が出ましたね。
 
このドキュメンタリー映画は、綺麗な部分ばかりをとか不満も有るかも知れないけど、良くあちこちインタビューしたなあと思うし、秀作です。


また、若い時のも含めて見られる物は見直してみたいな、と思いますよ。

亡くなったけど、今は便利な世の中でDVDで、観られますからね。


男の佇まいや、ある種のかっこ良さを教えてくれてありがとうございます、と伝えたいです。


健さんの映画を観てない人も、観たくなると思いますよ。

おわり

高山の作品紹介
次回は随筆「
潜伏期間あちこちの思い出

「ガーターベルトの女」~映画化のために​

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