『花物語』~アネとモネ

花の行商をしていたおかあさんから
お花の話を聞いて育った少女は
大きくなって念願のお花屋さんを開きました
少女のもう一つの夢は子どもにお花のお話をすることでした
おかあさんがしてくれたように・・・

アネモネ・ホルテンシス
画像提供:「花ねこ日記 」 http://hananeko.exblog.jp/

アネとモネ

アネとモネは通学のときに
いつも同じ時間同じ場所ですれちがっていました
お互いを意識するようになっていたのですが
あいさつも出来ません
だから互いの名前も知りませんでした

いつしかアネの姿は消え
モネの姿も見えなくなりました
それから二十年近くの歳月が過ぎました
新学期が始まったある大学への通学路で
男の子と女の子が出会いました

出会った瞬間に二人の心に何かが起こりました
毎朝の通学時に出会うと胸がときめきました
二人は次の新学期にはあいさつをしようと決心しました
そして二年目の新学期が始まった通学路
「おはようございます」と二人は同時にあいさつしたのでした

出会ってから二人はずっと同じ思いだったことがわかりました
それから機会を見つけては二人はデイトを重ねました
女の子はアネといいました
男の子はモネといいました
二人合わせるとアネモネの花になると喜びました

二人の卒業式の日
それぞれシングルとなっていた二人の親が出会いました
「アネの父のモネといいます」「モネの母のアネです」
二人の親はある通学路で思いを寄せながらもすれちがうだけで
名前も知らずあいさつもできなかったアネとモネでした

 まぐまぐ!「花を歌うかな」'09/5/7 No.1318

2009年ごろ
まぐまぐ!から発行していた
「花を歌うかな」で発表していたものです
メルマガはすでに廃刊
ブログに保存していたものを再掲しています

藤川一郎


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