高山が作家として更に飛躍することを願い創作活動を支援したい!~エッセイ「ガーターベルトの女」の作品化を目指して【456】
妄想家・夢想家無名居士の夢物語の記録です
無名作家高山のエッセイ「ガーターベルトの女」の映画化芝居化・・・
その他いろいろ作品化できれば
なんて途方もない夢を観ています
📖 高山のエッセイ〜「北野武 雑感」
北野武映画について書きたいのですが、彼の映画が暴力的で嫌いだと言う人や、意味が分かりにくいって人も多いでしょう。
それと北野武、ビートたけしについては、Twitter等でも北野武Botってあるくらい色々物議を醸す事を平気で言うけど、僕から見たら武流のジョークなんですね。
政治的発言等も武流のジョークだと思ってる。
ビート武のTVタックル等は、冗談半分で本人はやってるように思えますね。
その辺りはダウンタウンの松本とは違うように思います。
松本人志批判を最初にしたいのは、彼は一流のお笑い芸人でしたね。
しかし、今はかつての力の十分の一ですね。
それが芸能界にもの申す的にあげられたり、コメンテーター的な影響力が有るのは解せないんですよね。
松本人志は、十年程は非常に切れる芸人でした。
かつて自分達の漫才をこきおしろした横山やすしを批判してたけど、いつの間にか感覚がずれて、今はかつてのこきおしろした横山やすし的になってる。
権威を嫌ってたのが、いつの間に自分自身が権威になってるのに気付いてないのかです。
そういう事って良く有るとは思います。若い頃は権威に反発してたのに、歳をとり自分自身が有名になるといつの間にか、自分自身が嫌ってた権威になってるって事は多いですよ。
そこで、自分自身をいかに客観的に観られるかでわかれるように思います。
武の方が、そういう所は上手くジョークにしてますよ。
松本人志の今は、芸人としては完全に落ちてますね。
武も芸人として落ちるのは早かったです。
漫才ブームの頃に、既に歳を取ってましたからね。
その後のひょうきん族では、完全に明石家さんまに抜かれてますよ。
だけど、ラジオは面白かったけどね。
武は、色々な事件やスキャンダルを乗り越えてますね。
その後、『その男、凶暴につき』で監督として一部で評価されて、映画に転身します。
フライデー襲撃事件やバイクで転けての事故が、彼を変えたと思いますよ。
役者としての武は、上手い下手では無くて存在感ですね。
彼より上手い同年代は居るでしょうが、彼が使われるのは存在感だと思いますよ。
様々な事を乗り越えた男の存在感でしょうね。
彼は、TVは映画の資金を稼ぐ為と前にインタビューで言ってたけど、あながち冗談ではないのかもです。
彼の映画は、なかなか興行的にはヒットしませんからね。
それを自分自身の会社で補ってますからね。
それでも、僕は彼は日本映画の中でも、指折りの映画監督だと思ってますよ。
しかし、全て観てるけどこれは、うーんってのも有りますね。
『HANA-BI』でヴェネチア映画祭の金獅子賞を取るまでは、国内での評価は割れてたように思います。
僕は、『HANA-BI』が特別それまでの武の映画で凄いかと言えば良いけど、まだ良いのが有るのにと思ってました。
『ソナチネ』が、個人的には最高だと思います。
ストーリーは特に動かないけど、映画だから見せられる世界を見事に作り上げてますね。
『ソナチネ』や『キッズ・リターン』、初期の作品が特に良いですね。
最近の作品も『アウトレイジ』は良かったです。そのあとの映画は、うーんでしたね。
『アウトレイジ』には、暴力を撮ってるようで何処かにお笑いが微妙に入るんですよね。
暴力をやりながらも、何処かに微妙な笑いを入れるのが上手いです。
それと、編集とカメラのカットが非常に効果的ですね。
武自身も言ってるけど、編集が一番面白いと言いますね。
そして、初期は今ではすっかり有名になったけど、大杉漣や寺島進を使ってます。
まだ売れてない頃の二人ですが、何故使ったかの質問に、入ってきた時の雰囲気、感じを大事にしたといってたのには、なるほど武らしいなと感心しました。
自分自身がそういう役者だからと、一種のインスピレーションを大事にしてるのだなと思います。
それと、バイク事故の後の武の顔は異形ですが、僕はあの顔好きなんですよね。
異形ですが、持ってる雰囲気を倍加させたと思います。
役者としての武を最初に良いなと思ったのは、高倉健との共演の『夜叉』です。
漁師町に流れて来た、自分の女の田中裕子を追いかけてくるチンピラです。
そこで漁師の連中に、シャブを教えて行くって役です。
非常に小物のヤクザが似合ってますが、既に存在感って物を醸し出してます。
余談になるけど、この頃の田中裕子って今観ると、何とも言えない良い女ですね。
多分、若い人には分からない色気と佇まいがありますよ。
決して美人でなかったけど、良く使われてたの分かりますね。
高倉健は、その後も武との交流があったようです。
たまに健さんの方から電話してたと聞いた事があって、真意は分からないけど、健さんも認めてたのではと思いますね。
撮影秘話でも本当か分からないけど、田中邦衛と健さんが、漫才師が映画に出るなら俺達も漫才やるかと言ってたらしいです。
僕はこの秘話好きですね。
高倉健のお茶目な一面が出てるようです。
健さんの最後の映画にも出てますね。
健さんの中では、認めてる存在だったのではないでしょうかね。
もう一作は、深作欣二監督の『バトル・ロワイヤル』です。
生徒をサバイバルに送り込む教師を演じてますが、非常に興味深く描かれてます。
武が出る事で、要所要所を上手く締めてますね。
流石、深作監督上手い人選だなと思います。
他にも大島渚監督の最後の映画の『御法度』にも、『戦場のメリークリスマス』からの縁で、坂本龍一と共に協力している。
坂本は音楽で、武は役者でですね。
この映画も良かったです。
松田優作の息子の、龍平のデビュー作でもありますね。
出演者としても良いのに出てるのは、やはり役者としての評価も高いんでしょうね。
上手い下手とかでは無くて、存在感ですね。
今回、武の映画で取り上げるのは、『BROTHER』(ブラザー)です。
日英合作で、アメリカで主に撮られてます。
芸術性をなるべく排除して娯楽にチャレンジしてる感じですが、多少ちぐはぐですし、武のファンの間ではそれほど評価は高くないかもです。
だけど、僕は個人的に好きですね。
山本と言うヤクザが日本を追い出されて、異母兄弟や色々な人間と共にアメリカでのしあがって行くって映画です。
かつての組の組員も来ます。
寺島進がその役をやりますが、非常にしびれるシーンもあります。
現地の日本人マフィア共協力しますが、段々地位が上がるに連れて武扮する山本は、何処かしら憂鬱そうです。
それは、かつての本当の仲間が居なくなったからか、それともどんどんのしあがっても最後は見えてる、かですね。
前半は、のしあがって行くって痛快さが多少有るけど、後半は破滅に向かってるって言う何処か陰鬱さも有るけど、その辺りに上手く笑いをまぶしてますよ。
黒人の若者と仲良くなります。
この二人の交流楽しいですよ。
最終的にイタリアンマフィアに潰されますし、山本も死にます。
それでも娯楽映画にしようとしたのか、一応のハッピーエンドです。
全体にちぐはぐだし、ヨウジヤマモトのデザインしてる衣装は過剰ですが、それを上回るパワーを感じます。
それと、何時もの破滅の美学を感じますね。
これが公開された頃、三十代で女の子と観に行ってますが、女の子と武の映画は行っては行けません。
女の子が嫌う世界ですし、ヤクザ映画と言っても何処かしら武特有の、娯楽姓に徹しきれない所が出ますからね。
当時の武は多分五十代でしょう。
『アウトレイジ』の武も良いけど、やはり四十代から五十代の武はセクシーですよ。
背も高くはないし顔も良くないのに、男が持ってるセクシーさが有りますね。
ヨーロッパでのインタビューではそれを言われるようです。
それとこの当時のインタビュー等覚えてますが、アメリカでは編集は別の人間がするってなって、かなり揉めたようです。
武にとっては、編集を自分自身でやらないと意味がないと言ってましたね。
最終的に編集も武がやってます。
セクシーな頃の武を観るなら、この映画は良いです。
映画の完成度で言うなら、初期の『ソナチネ』とか、その辺りに傑作が有るとは思いますけどね。
本人が事故をしたりしたせいか、常に危うさを感じますね。
事故前からそれが有ります。
そういう危うさが好きです。
それと、黒澤明も存命中は武を高く評価してたのには驚きましたね。
淀川長治さんも、生前評価してましたね。
あの人、テレビの解説者で良い人ってイメージでしょうが、映画には実は厳しかったですよ。
その後、漫才師やお笑い芸人が沢山映画を取るけど、まあ成功してるのは品川祐でしょう。
彼は、娯楽映画を作るの上手いなと思います。
惨憺たる映画を作って失敗してるのが、松本人志ですね。
武のように上手く行く人は、そうそう出ませんよ。
僕が個人的に思い入れを入れる人って、何処かしら壊れてますし何処かしらいびつでさえ有りますが、そこから立ち上る佇まいとかそういうのに惹かれるんですよ。
もちろん王道を行ってる人も好きですけどね。
歳を重ねる毎にそういうのに惹かれ始めてますね。
狂気の部分と言っても良いかも知れないです。
若い頃はそういうのに惹かれだけど、今ほどではなかったです。
何処かしら生き方や映画に、狂気の部分を探すのが多くはなりました。
普通にヒットしてる映画ももちろん好きなんですけどね。
『ブラザー』、本当はローマ字表記だったと思いますが、今回は全く調べず書いてますから間違いがあったらすいません。
書くのは時間がかかるけど、その時の勢いを失いたくないからほとんど調べないです。
調べる事によって、書こうとしてた勢いが上手く書けなくなるからです。
武のセクシーさは、例えるならレザボアドッグ*『レザボア・ドッグス』(原題:Reservoir Dogs)の頃の、ハーヴェイ・カイテルとかかも知れないですね。
決してそんなにイケメンで無いのに、出してる雰囲気ですね。
それと、フライデー襲撃事件や大きな事故を乗り越えて生き残って、映画監督として高い評価を受けてるって奇跡ですね。
漫才ブームの頃に、武が将来こうなると本人も予測出来なかったでしょうが、色々な偶然が重なるって事はもう偶然ではなくて必然なんだと思います。
DVDで、大抵何処でもレンタルが有るから気が向いたら見て欲しいです。
おわり
注) *は、管理人がWikiより引用
📖無名居士のたわ言・・・音楽でひとあそび〜ショスタコーヴィチ~バイオリン協奏曲第1番
年明け
新しい… いつだって求めていこう
元日のある新聞の対談で
旧ソ連の作曲家ショスタコーヴィチが話題になっていた
クラシック音楽を聴いて「音楽でひとやすみ」の
ページつくりに熱中していた時期でも
まったく聴いたことがない作曲家
スターリン時代・・・作品を批判され
粛清で二度ほど命の危機があったとか
それでも芸術家としての良心を内面では守り通し
スターリンの暴圧を風刺告発する曲を密かに作曲
彼の作品には芸術家の魂を守り抜くという固い信条が貫かれてているという
紹介されていた曲のひとつ・・・バイオリン協奏曲第1番を聴いてみよう
Minami Shion Plays Shostakovich 1/4 : Violin Concerto No.1
*残念ながらここに紹介した動画はリンク切れ
そこで新規に動画を紹介することになるShostakovich - Violin Concerto No 1 Hilary Hahn/Mariss Jansons BPO
年明け・・・はからずも
「音楽でひと遊び」で
私にとって未知の作曲家の未知の音楽
新しい音楽を・・・求めることになった
そのことに感謝しなければ・・・
📖 高山の作品から〜「濡れる穴の中19〜 成長」
僕も今まで作業員を何人も育てて来ましたし、育つのを見て来ましたが、「濡れる女子事務員」シリーズのえり子ちゃんは別格かも知れないです。
作業+社員の仕事ですから大変ですけどね。
このところ、現場ではえり子ちゃんを鍛えてますが、物覚えが早いですね。
それは、現場だけで無くて多岐に渡りますし、成長には驚いてますよ。
現場では、ダンプだけで無くてパワーショベル等のホースを作らせたり、溶接をもっと上手くなるようにやらせてますが、なかなか上手くなるのが早くて驚いてます。
特にホースは、壊れる所は決まっててそれを締めて作るんですが、わりと坑夫でも今は作れないってのが居ますが、彼女は覚えるのが早くて何々のホースを何本作ってと言うと、僕が目を離してる間に作ってますね。
夜勤に出てるから外回りは、トンネルから出る土や土砂これをズリと言いますが、その処理をさせますが、パワーショベルでやるのも早くて丁寧になりましたね。
このズリ処理も下手がやるとぐちゃぐちゃになるんですが、そういう事もないですね。
それと、彼女が素晴らしいのは、愛嬌と人に気を使う事でしょうね。
夜勤に出てても、坑夫達が時間がずれたらそれに合わせて夜の弁当を一緒に食べてますし、そういう時の坑夫達のくだらない話しにも合わせてますね。
そういう時の話しなんてのは、嫁さんの事とか近くのコンビニに可愛い女の子が居たとかそういうのです。
下ネタも結構出ますよ。
前に風俗に行ったらこんな事があってとか、昔の彼女が恐ろしくあそこが臭かったとかです。
まあ、下ネタは具体的に皆が知ってる誰かの事を言わない限りは、一種の潤滑油なんですが、えり子ちゃんはまだ二十代の女の子ですからね。
聞いてて、あー!お前たちそりゃ言い過ぎとか思いますが、えり子ちゃんは嫌な顔をせずに時には合わせてますね。
これが、出来るか出来ないかでは大きいと思います。
なんだかんだ言っても、男の職場ですからね。
しかし、具体的にえり子ちゃんをそういう下ネタのネタには使わないですから、その辺り坑夫達も心得てるのと、彼女を傷つけたくないんでしょうね。
例えば、えり子ちゃんのおっぱいはどう、のとかは言わないですね。
僕が、余りに皆がそういう事を言わないから、一度わざとイタズラ心を出して彼女は細いですから、沢山食べておっぱいも大きくしないとなとと言うと、皆が少し驚いた位ですからね。
そして、バレンタインデーが来ましたが、えり子ちゃんには、お前皆に義理チョコやってたらキリが無いから、チョコは無しですと言っておけと一応注意してました。
しかし、彼女は安いチョコを沢山買ってて休憩所に置きましたね。
皆で、つまめるような小さいのです。
僕は、ここでそういうのすると他でもしないといけなくなるなあと思ったから、参ったなでしたが、他の現場用も買ってるようでした。
僕には、車に乗った時に大きいチョコをくれたから、甘いの好きだけどキリが無いぞと言うと、自分自身があげたいんですし、一番お世話になってるんですからと言われて反論しませんでした。
えり子ちゃんのもう一つの特徴が、やると言ったらやると言う強さと、一種の柔らかさですね。
肝も座ってますよ。
ある時、業者に二人で行ってて、業者と僕が出した金額が合わなくて物別れになりそうになりました。
僕が出した金額で他の業者がやるだろうけど、そこの業者の方が物が沢山有るんですよね。
難しいなあと思いながらも、合わないなら仕方ないかでした。
僕の出した金額の方が低かったんですが、相手も喧嘩腰とかでなくて高山さん、それはちょっとと言う感じでしたね。
そこに、えり子ちゃんが割り込んで来て幾らまでなら下げられます、と交渉を始めました。
僕が、そこを切りたくないけどどうするかなと、多少悩んでたのが分かったんですね。
相手も最初は、えり子ちゃんが交渉に出てきたのに驚いてて僕の顔を見ましたが、僕はここはお前に任せようと言いました。
幾らかでも下げられたら立派かなで、任せてみようと思いましたね。
僕も今は、辞めた常務に付いてた時にこういう場面が有りましたが、常務は我の強い人でお前に任せると言いながらも完全に任せるようになるまでには、かなりの時間がかかりましたよ。
僕は、お前に任せると言いながらも、最後には自分自身の好きなようにしてしまってた当時の常務が嫌でしたね。
後年は、力関係が変わって任せて貰えましたけど、既に四十代になってる僕に任せると言いながらも、任せる切れないのは嫌でしたね。
だから、えり子ちゃんの場合は任せると言ったら結果が悪くてもそれは、任せたんだから仕方ないで受け入れますね。
その時の金額のやり取りは、えり子ちゃんが優しく柔らかい感じでこれとこれは、ここまで金額落とせないですか?と聞いてました。
すると、業者がそのくらいなら何とかなるかなあと言うんですね。
そしたら、えり子ちゃんは、あ!それに、これも少しだけ下げて貰えないですかと言います。
業者は、虚をつかれたように、まあ良いかと答えるんですね。
そして、それで行きますかとなってて、相手が出してくれたコーヒーを飲みながら相手も煙草を一服して、仕方ないなと言う感じになってます。
少しだけ時間を置くんですよ。
僕も途中からえり子ちゃんの駆け引きが面白くて一服しながらも、まだ行くなと思ってました。
そしたら、コーヒーを飲んで少し雑談をしながら思い出したように、こちらもこれだけ下げられないですかねえ、と聞くんですね。
相手は、商談が終わってると油断してるのとえり子ちゃんの柔らかい言い方に思わず、良いよそれでと答えましたね。
最終的に僕が望んだ金額にかなり近くまで落とすのに成功したんですが、相手は後から、あれはえり子ちゃんにやられましたねえと言います。
全体を見るのをついつい忘れてしまってて、下げてしまってたんですね。
しかし、契約は成立してますし、相手も決してクレームじゃなくて笑いながら、やられましたねと言いますね。
その時、車に乗って良く下げたなと言うと、うーん、もう少し押しても良かったんですが、相手が嫌な気分を残すのは不味いですからねと言いました。
これは、僕も良い関係の業者とはそれを心がけますが、それでも多少の遺恨では無いけど、高山さんはキツイからと言うのか残るんですよね。
彼女の場合は、それがほとんど残らずえり子ちゃんにやられたなあと、笑いで済むんですよね。
これは、一つは彼女が若い女性で有ると言うことですね。
ついつい、舐めてたらって事です。
それと、もう一つが大事ですが、柔らかい物言いと駆け引きです。
それも、ズルい駆け引きしてると相手に思わせない愛嬌ですね。
彼女が若くて綺麗だと言うのも武器ですが、天性の愛嬌は、若くて綺麗でも無い人は無いですからね。
僕もフリーでやってる時には、色々な人に憎まれもしましたが、腕の良い坑夫とはなるべく良く話しましたよ。
この人とは、付き合ってて損は無いって計算でなくて、一つの勘で分かるんですよ。
変におべっか使うのでは無くて、部屋に遊びに行ったり夜とか宿舎の廊下で会うと一言声を掛けたりしましたね。
それは、計算と言うより本能的ですね。
計算でやるとイヤらしさ出ますが、本能的だと出ませんからね。
長い付き合いの坑夫は、高山ちゃんは、気が短かったけど良い坑夫には、可愛がられたと言いますね。
そういう風にしておけば、現場で何かしら起こっても助けてくれますし、仕事の世話もしてくれるんですよね。
えり子ちゃんにもそういう所が有りますが、多分僕よりその辺りが上ですね。
僕は、時にはダメなのはダメってなるんですが、最近は、彼女に二人で車に乗ってると、気持ちは分かるんですが、ここをこうすれば多少譲れないですかね?と言われますよ。
彼女は、もう僕の性格は分かってるからカチンと来てる時は、非常に柔らかく言いますね。
そうしてたら、まあそうかもなと言うのが、このところ多いですよ。
それでも、この子の凄いのは柔らかいばかりで無くて、自分自身がこうだと思ったら譲らない所かもですね。
男より強烈にそれが、有りますね。
それに、やはり男社会で野蛮ですから先頭に立つのには、これが必要なんですよね。
かつてのうちの常務にもこれが有りましたし、うちの会長にも有りますね。
古い因習かも知れないですが、これが無いとリーダーになれないですね。
つい最近の事です。
有る元請けと話してて、次の仕事の話しで理不尽な条件を付けられたとします。
僕は、この野郎と思いながらも、それでは今回は無かった事にしましょう、と去ろうとします。
しかし、元請けってのは基本は、下請けを馬鹿にしてる所が多いんですよ。
帰り際に僕は、事故で軽く脚を引きずるので、高山そのビッコで仕事が出来るのかと言われました。
僕は、叉かよ!?とうんざりしながらも嫌味で、長年ビッコでやってますからねと返しました。
相手が攻撃的な場合は、これを何度も言われてますからね。
僕にしてみたら二度とお前の所と仕事をしてやらないぞ、と思いながらも言われなれてて、かっとはならないんですよね。
そしたら、更に良くまあその脚で現場のトップを張ってきたなあ、と笑いながら言われました。、
完全に相手は、馬鹿にしてるんですよね。
僕は、切羽に来ますか?来たら分かりますよと返します。
切羽とはトンネルの先端の事で、最も危険な所です。
キリハと読みます。
僕は、その切羽で長年やって来てる自負が有りますからね。
そしたら、えり子ちゃんが僕の目を見て何かしら訴えてるから、好きにしろと目で合図をしました。
すると、えり子ちゃんは元請け元請けと言っても、所詮心が田舎元請けですね。
立派な元請けなら、そんな人を侮辱するような事は言わないですよ。
何なら高山さんと私と切羽に行って、発破掛けるのを手伝いますか?それとも発破は怖いんでしょう、と言いました。
発破とはダイナマイトですね。
口だけ達者で、いざとなったら男じゃないような腐った事を言うタイプでしょう。
いざとなったら、腰を抜かして逃げるのが貴方のような人ですよ、とまで言いました。
相手は、小さいとは言え元請けの役員ですから、僕も後ろからもう良いよと言って帰ろうと言うんですが、今度は、元請けの男の役員が引き下がれなくなって、舐めやがってと怒って立ち上がって、側にあった鉛筆立てを投げつけて来ました。
僕は、いざと言う時の為に臨戦体制になりましたが、その前にえり子ちゃんその中からボールペンを拾うと、相手の前に立ちました。
落ち着いて堂々としてましたね。
そして、ボールペンを相手の喉に向けながら、舐めてるんじゃねえよと凄みました。
僕も驚くような凄味でしたね。
ヒヤッとした空気が、周りに流れましたね。
相手の元請けの役員は、へたへたと椅子に座り込みましたね。
完全にヒビってましたよ。
えり子ちゃんは、それを見ながら言った通りですね。
いざとなったら腰を抜かしてって、まさに本当ですねと笑いながら言うと、僕に出ましょうと言うので出ました。
車に乗ると、少しだけ震えてるようなので車を路肩に停めさせて、良くやったと言い深呼吸しろと言いました。
本当は怖いんですよ。だけど、引かない時は引かないぞと言うのを見せるんですね。
それは、暴力的な場面になると誰でも本当は怖いんですね。
僕もですが、後は場数を踏む事で馴れるんですけどね。
僕がそういうと、高山さんはうちの父と同じで怖いとか無いですよと笑いましたが、帰ってお父さんに聞いてみろよと言いましたね。
本当は怖いけど、慣れるんだと言うのと、怖いと言うのは当たり前で、それが無いなら異常だと聞けと言いました。
そういうと落ち着いたようで、帰ったら聞いて見ますと言うと車を出しました。
既に落ち着きが戻ったようで、大した物だなと思わず笑いましたね。
するとおかしいですかね?と聞くので、お前と居ると面白いと笑うと、それは馬鹿にしてるでしょうと笑ってましたね。
男でも立ち直るのに時間がかかりますが、彼女は立ち直りも早いですからね。
彼女が、そういう感情の起伏を出すのは父親と僕だけですね。
他の人の前では、無理をしてでも平然としてますよ。
それは、僕が一度だけ注意したらそれからですね。
彼女にとっては僕は、師匠でしょうしガス抜きでも有るんですね。
まあ、この先何かしら色々とぶつかるでしょうが、こういう性格なら伸びるのが早いと思いますね。
この子を鍛えるのは、ある意味自分自身を鍛えてるようにも思う今日この頃ですね。
彼女はまだまだですが、それでも周りに与える影響の早さは驚異的ですね。
後日にお父さんに、えり子ちゃんは喧嘩とかそういうのは怖いかと、僕の事は言わずに聞いたようです。
お父さんの答えは全く同じで、怖くない人間は異常だし、怖くて当たり前との事らしいです。
おわり
📖「ガーターベルトの女」の映画化のためにエッセイをお読み下さい・・・「ガーターベルトの女 外伝」(フィクション編)
それは夏の事だった。
その日は特に暑かった。
Mこと、美樹との再会は偶然だった。
美樹と最後に会ったのが、彼女が確か二十八歳で僕が三十歳だったから、約二十年振りの再会だった。
僕の街のコンビニでコーヒーと煙草を買って出ようとしていると、女性に声を掛けられた。
僕は、その瞬間に美樹だと思った。
声で分かったからだ。
あの特徴のある、美しく可愛い声でだ。
振り返ると美樹が立っていた。
OL風の紺のスーツにスカートだった。
僕は四十九才、美樹は四十七才になってるはずだと思ったが。見た目は確かに若い頃と少し変わっていたが、円熟した中に昔の彼女が居るように見えた。
三十代半ばと言っても充分通用する美貌とスタイルを保っているのに驚きを覚え、見直した位だった。
美樹は笑いながら近付くと軽く蹴ってきて、変わらないね相変わらず前から見ると変な顔だねと、クスクス笑いながら今度は、パンチを思い切り僕のお腹に入れてくる。
あー!やっぱり少し緩んでるなあと笑った。
僕は、今何処に居るのかと聞くと生命保険会社と短く答えた。
気になっていた、結婚して子供が出来たと聞いたけどおめでとうねと言うと、彼女は笑った。
結婚はしたけど、子供は居ないし三年で別れたよと言いながら、またパンチを思い切り入れて来たので、避けながらわざと近づいて持ち上げた。
そして僕は、昔はありがとうと言った。
その瞬間、頭がぐるぐる回るような感じになった。
気がつくとかつての美樹の店だった。
美樹はOLスーツのまま歳を重ねていたが、昔より美しく見えた。
カウンターの中に入ってたが、軽く飛んでカウンターから出てきた。
ガーターベルトをしてたが、チラっとしか見えなかった。
前より上手くなったでしょうと笑うと、冷蔵庫からビールを三本出して栓を開けた。
僕にそれを渡すと、僕の横の席にそれを置いて言った。
生きてるよ。あの人は私達の中でね、と言うとクスクス笑った。
僕はおかしいかと聞くと、そうじゃなくて貴方や私が笑ってないとねとだけ言って、乾杯と言うとビールをラッパ飲みした。
そして半分ほど飲むとへへへと笑って、かなり飲めるようになったよといたずらっぽい顔で言う。
僕は煙草に火をつけ、もう一本出すとそっちにもつけてビールの前の灰皿に置きながら、ラッキーストライクだけど悪いなと言った。
美樹は僕から煙草を取ると吸ったが、やっぱり不味いねと笑った。
しばらく沈黙が続いたと思ったら、美樹が僕の腕を触っていた。
四十九にしては相変わらず凄いね、と言うと抱きついて来た。
そして、上に乗るとキスをして腰を動かし始めた。
昔に比べて更に技巧的で上手かった。
愛情も感じたが、奴が見てると言うと見てるからするんでしょう、と言われた。
あの人は喜ぶよ、歳を取っても相変わらずだと思うよ。
僕はあっという間に射精した。
その瞬間、コンビニの前に戻っていた。
美樹が僕を蹴ると、今の夢だと思うと笑った。
綺麗な歯が見えた。
美樹は僕のライトバンに勝手に乗ると、私の車はここに置いておくと言って早く出せ!!と笑った。
夕暮れが近づいていて道は混んでいたが、ラジオを付けると懐かしの九十年代ポップスと言うのをやっていた。
美樹は懐かしとかやだねと言うと、窓を開けてラジオをボリュームを最大にした。
高速ではないが三車線の広い長い道を走った。
昔に戻ったと言うより、今の美樹も昔の美樹も同じだなと思わず笑いが漏れそうになる。
そう思ってると、強引な形で黒のセダンが僕のライトバンを抜いた。
見ると若いカップルのようだったが、男はあばたが目立ち女は金髪で太っていた。
美樹は僕に向かって、抜き返しなさいよと怒ったように言った。
僕の中で何かに火がついた。
カチッと音が聞こえたような気がした。
僕はミッションのライトバンを加速させて黒のセダンを抜いた。
相手は驚いた顔をしたようだが、再び強引な形で抜こうとしてきた。
(そんなものか!!)
頭の中で、死んだあいつの声がはっきり聞こえた。
僕は、抜きかえそうとする車に軽くライトバンを当てた。
美樹はクスクス笑いながら、もっとやれ!!と叫ぶ。
相変わらずクレージーだな、と笑いが出た。
相手の黒のセダンはまさか当てられるとは思ってなかったようで、後ろに下がってピタリと付けてきた。
美樹は、今あの人の声が聞こえたよね。それなら徹底的にだね、と楽しそうに言う。
美樹にもあいつの声が聞こえたようだった。
僕たちは三人だと思うと嬉しくなってきた。
僕は大きな駐車場のあるコンビニに、相手の黒のセダンを誘導するように入った。
美樹が先に降りて、若い男が降りようとしてる所を思い切り蹴った。
若い男はまさか女から蹴られると思ってなかったようで、車の中に座り込むように戻った。
僕は煙草に火をつけながら、にやけながら近づいた。
金髪の太った女は完全に驚いたようで、車から出ようともしない。
若い男は女が見てるせいか再び車から出ると美樹に向かって行こうとしたが、僕がその腕を捕まえて車に押し付けた。
そのまま腕をアームロックの形で極めた。
最初は抵抗したが、ギリギリと片腕を締めながら何発か腹に膝を入れると大人しくなった。
腕を折るのは難しいが関節を外すことは出来たから、このまま腕を壊すぞと脅すと若い男は泣きながら謝ってきた。
美樹がおじさんと、おばさん舐めるなよとおどけて言って、更に舐めるならその不細工な彼女のでも舐めてなさいと付け加えた。
僕は思わず笑いながらコンビニに行こうと言うと、自然に軽く手を繋いで二人でコンビニに入った。
かつてはこういう風に、自然に手を繋ぐって事はなかった気がする。
美樹はコンビニでオレンジジュースを買った。
僕は缶コーヒー二つとマルボロを買うと、二人で手を繋ないで車まで歩いた。
車に乗ると、マルボロの封を開けて火をつけて、ゆっくり吸った。
ラッキーストライクに比べたら雑味がある独特な感じを、久しぶりに味わう。
僕は、死んだあいつに心の中で久しぶりに吸うと苦味が有るなと話しかけたが、もう声は聞こえなかった。
車をゆっくり出すと美樹がホテルに向かってと言うので、戸惑いながらもラブホテルに向かった。
美樹はラブホテルに入ると、昔のような身体じゃないよと言いながらも堂々と僕の前で脱いだ。
確かに昔のような身体では無かったがそこには、成熟した物と努力のあとがあるように思えた。
ガーターベルトをつけたまま僕の服を脱がせると、うーん中年になってるとクスクス笑った。
美樹は僕のものを咥えた。
僕はシャワーも浴びてないからと、美樹から逃れようとしたが離さない。
笑いながら気にしないのと言う。
しばらくすると美樹の口の中で出してしまった。
僕の方も火がついて、美樹をベッドに倒すと舐めた。
懐かしい匂いのように感じた。
結局二度セックスをした。
美樹は、あの時してなかった分を取り戻した?と聞いてきた。
別れた後に、美樹の部屋に泊めて貰って誘われながらもしなかった時の事だった。
僕は、取り戻したってよりこれからじゃない、と答えると美樹は笑った。
広くない街だけど見つけられるかな。携帯の番号とか教えないからねと美樹は笑うと軽く腹を殴ってきた。
僕は見つけられるよ。
俺にはあいつも付いてるからと言い返した。
美樹はにやりと笑う。
目尻にかつてはなかった皺があったがそれも魅力になっていた。
僕は美樹と会ったコンビニ周辺をなるべく通るようにしたがなかなか会えなかった。
夏が過ぎて秋になっても美樹を常に何処かで探していたが会えなかった。
ある時レンタルビデオ店に寄ると心の中で声がした。
(アルバチーノの映画)
それだけだったが僕はアルバチーノの映画の『カリートの道』のある場所に行った。
しばらくしてると行きなり肩に思い切りパンチが入った。
美樹が笑いながら立っていた。
ジーンズに上着を羽織っていたが、相変わらずお洒落だった。
『カリートの道』好きなの覚えてたと言うと軽くキスをして来る。
僕は勿論と言うと美樹を抱き締めた。
美樹の髪の匂いに混じって、あいつの煙草の匂いがしたように思えた。
美樹はこれを三人で観ようと言った。
美樹もあいつを感じたようだった。
僕は、三人でなと笑うと美樹も笑った。
だけど、電話番号はまだ教えないからね。また彼が導いてくれるよといたずらっぽく笑う。
そして僕のお腹に何発もパンチを入れた。
その目に涙が光っていた。
その顔はとても美しく見えた。
おわり
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