花物語~キャットテール“メメ”

花の行商をしていたおかあさんから
お花の話を聞いて育った少女は
大きくなって念願のお花屋さんを開きました
少女のもう一つの夢は子どもにお花のお話をすることでした
おかあさんがしてくれたように・・・

画像提供:「花ねこ日記」

シッポのないネコ

2008/11/4(火) 午後 7:14

いろんな種類のネコがいますが
ときどきシッポの無いネコがいます
シッポはどうしたのでしょう
はじめから無かったのでしょうか
それとも・・・

メメというオスネコがいました
いつもイタズラをしては
メッメッとしかられていたからとか
ヤギさんの鳴き声に似ていたからとか
いろいろと言われていたようです

花壇は荒らすしどこの家にも上がり込んで
爪で傷つけたり盗み食いをする
メメは人にもネコにも嫌われ者だったのです
人が嫌いなメメにとってはそれは勲章でした
捨て子だったメメはみんなを恨んでいたのです

信じる者は自分だけ
誰の世話にもならず強くなって一人で生きていく
メメはそう思って必死に生きてきたのでした
メメは怖いものはありませんでした
死ぬことも怖くはありませんでした

ある夜メメはいつものように
縄張りの見回りに出かけました
メメは好きな匂いのする家の庭に入り込みました
バシッという音がしてメメは飛び上がりました
メメの長いシッポが罠にはさまれたのです

その家の人は庭でオシッコやフンネコが大嫌いでした
ガビョウや割れたガラスの破片をまいたりしていました
メメはそんなことは知っていたのですが
トラバサミのような罠は初めてでした
メメは必死でその罠から逃れました

でもメメのシッポはもう切れそうになっていました
そして流れ出た血で尻尾は真っ赤に染まっていました
メメはこんなことで負けるもんかと歯をくいしばりました
メメは人に見つからないように棲みかに戻っていました
すると子ネコたちの泣き叫ぶ声が聞こえてきました

可愛い子ネコなのに人間は簡単に捨ててしまう
自分も捨て子だったメメは人間が許せませんでした
捨てられた子たちを助けてやらなければとメメは思いました
メメは自分が大けがをしていることも忘れていました
深い穴の中で五匹か六匹の子ネコたちが泣いていました

メメは子ネコたちに言いました
大丈夫だよ助けてあげるから私のシッポをつかむんだよ
メメは穴の縁を手でしっかりつかんでシッポを下ろしました
子ネコはメメのシッポしっかりつかみました
一匹また一匹とメメはシッポで子ネコを引き上げました

メメの姿が消えて町の人はやれやれと思っていました
しばらくたって縄張りの見回りをしているメメがいました
そのメメにはシッポがありませんでした
そのころからネコのシッポのような花が咲きだしました
その花は真っ赤な色をしていました


  まぐまぐ!「花を歌うかな」'08/10/30 No.1252

藤川一郎
京都市北区紫竹北大門町37 葵荘17号
075-493-4676

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