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「内乱と革命」という話

「内乱と革命」という話

ロシアが本当に恐れているのは内乱です。

平和を祈りつつ、少し考えてみましょう。

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ようこそ。門松一里です。静かに書いています。

という話は、調査資料(エビデンス)を使った「思考の遊び」――エンタテインメント(娯楽)作品です。※虚構も少なからず入っています。

※本当はノワール作家です。

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民間軍事会社「ワグネル・グループ」の週末の内乱はあっけない形で終わりました。

山下裕貴(元中部方面総監 元陸将)によると「長いナイフの夜」ではないかとのことです。

https://www.youtube.com/watch?v=e3mjgp4Zc3k&t=478s

長いナイフの夜は、アドルフ・ヒトラーの国家社会主義ドイツ労働者党による突撃隊の粛清事件です。

つまり「プリゴジンは踊らされた」という話です。

https://theins.ru/news/262919

«Ъ»: Пригожин остается под следствием по делу о мятеже, дело не прекращено
「プリゴジンは扇動罪で引き続き捜査中で、不起訴にはならず」(てきとう訳)

まあそうなりますよね。#赦すはずがない

プリゴジンのミスは「歴史的にロシア軍人は内乱に動じない」ということを知らなかった(理解できなかった)点にあります。

ロシア軍人は内乱や革命に「積極的に排除しないかわりに、しぶしぶ同調もしない軍人たち」なんです。良くも悪くもそれがロシア軍ですから。

それはイコール友軍の遺体を横目に戦闘を続けるあのタフさに通じています。ロシアは政治に参加しなければ、まあ“ふつうの国”ですが、招集されると捨て駒です。ジョージ・オーウェルが指摘した「数」の一つになってしまう訳です。#blackjoke
cf.
戦死者の遺体を「貨物200」と呼びます。(棺が200kgに設定されていたので。)

多くの矛盾をかかえた国ではありますが「憎めない」人が多いのも事実です。
cf.
小泉悠『ロシア点描 まちかどから見るプーチン帝国の素顔』

「まあしゃあないか」で許される人たちです。それが国になると、おかしくなります。

チャップリンは「人は集団になると頭のない怪物になってしまう」と言っています。「巨大で野蛮な刺激を求めて彷徨う愚かな怪物」とも。#ライムライト

それは別に思想的なものではありません。百年前の共産主義は理想的(本当に理想になりましたが)な思考でした。

ただ、それは国民の思想が未熟とも言えます。プーシキン、ドストエフスキー、トルストイの国です。

ゴーゴリの小説『外套』から、歴史が前に進んでいません。
(貧しくてコート一枚買えない話です。皮肉にもゴーゴリは今のウクライナ出身です。)

大日本帝国は、経済制裁から負ける戦争を始めました。誰が止めるでもなく。#blackjoke

第一次世界大戦のあと世界の覇者の一国になったはずが転落です。

WW2で「負けました」と言っているのに、ソ連は侵攻しました。

別にスターリンだからではないですよ。
(スターリンはロシア帝国時代のグルジア(今のジョージア)出身です。)

そもそも東アジアの思想はそうしたものです。東ユーラシア大陸の思考なんです。

ロシアはとりあえず叩く。泣いたらもっと叩く。反抗したら見込みあるなと友人になる。そうした文化なんです。

それに「西洋的な主義主張をはっきり言う」がプラスされて、強い人と評価されて指導者になります。

プリゴジンは文字通りの強盗(タタキ)上げです。#blackjoke
※強盗をタタキと言います。

官僚的な文化を理解できなかったでしょうし、軽蔑していたでしょう。

その官僚文化を形成したのは他ならぬ(むかしの別な)中国です。タタールの軛(くびき)から支配から学んだ訳です。

これは侮辱と感じます。

イヤイヤながらも使う訳ですから。

ナチスに支配された国がゲシュタポの遣り口を真似したように。#blackjoke

そうしていくうちに、ソ連はロシアは学び窯変しました。

ちょっとちょっとイイとこ取りした訳です。

ソ連はトロツキーを失ったことが大きかったです。
(トロツキーは今のウクライナのヘルソン出身のユダヤ人です。←まあスターリンが暗殺しますよ。)

イイとこ取りした国は歪(いびつ)になり、綻(ほころ)んできます。

権威主義国家の完成です。

プーチンは、ナポレオンのように選挙で皇帝なれば良かった(過去形)んです。

臆病なのは権力者に優位です。

ちょっと賢すぎました。

同じように米国の民主党政権も「賢い」です。

民主党の兵の逐次投入というおよそ戦略的に(絶対にしてはいけない)もっともバカなことをしたのですから。

対して、超楽観的なウクライナ政府は笑えます。

戦争は政治の延長であるべきですが、本質は騙し合いです。

その欺瞞がプリゴジンとしては許せなかったのでしょう。

やるならやるで、もう少し巧妙に……まあできませんよね。

とはいえ、歴史に名前は残りました。#blackjoke

これからも(しばらくは)ロシア軍は愚直でしょう。

プリゴジンのような民主主義的な人物が指導者にならない限りは。#blackjoke

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