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あなたのNFT作品は「アート」?「イラスト?」

こんにちは。IchiP(イチピー)です。
このNOTEは、アートプロデューサー、オタクプロデューサーの視点から見るNFTというテーマで書いています。
私は、アートやサブカル(漫画アニメゲーム)業界で15年以上、主に日本と海外を繋ぐ仕事をしてきました。また母親がアーティストでもあり、幼少期からアートの環境に囲まれ、会社ではアーティストのマネジメントもしていました。NFTに新しいコンテンツ作りの光を見出し、NFTの収集やプロデュースをしています。

今日は、以前の「NFTとは何か?」で出てきた「アート」と「イラスト」の違いについて、考えてみたいと思います。
このテーマはNFTについて考える上で、とても重要な概念だと思っていますので、ぜひみなさんのご意見もお聞かせいただければうれしいです。

アートとイラストの違い

NFTは、デジタル作品をトークン化して、本物であることや唯一性を証明できるようにしたものです。その中で、アート作品をNFTアートと呼んでいます。
NFTアートには、アート(絵画作品)、イラスト、写真、3Dデータ、アニメーション、動画、音楽と様々な作品があります。
ここでは、アート(絵画作品)とイラストに限定して話をしていきます。

つい数年前、漫画が第九のアートとして認められ、日本が誇る最高のエンタメコンテンツがアート品にまでなりました。
その結果、ゲームを中心とするイラストもアートとして、その価値を高めてきました。
とはいえ、一点モノの絵画と複製を前提とした漫画やイラストには、やはり大きな隔たりがあります

アートは、その作品自体ですべて完結しており、ビジネス的には、特に商品化を積極的にしたりする必要はなく、とにかく作品が売れるということが最重要となります。

対して、イラストは、その作品自体の価値以上に、そこに描かれたキャラクターを使ったビジネスの方がはるかに価値は大きく、時として、社会現象を巻き起こすことがあります。

ちなみに、同じく商品展開するにしても、アートはその作品をそのまま使うことが原則であり、ほぼ例外は見受けられません。
ダヴィンチのモナリザを違うポーズで商品化することはないでしょう。
それはモナリザを違う構図で描いたら、モナリザたり得ないからです。

逆にイラストというのは、そもそもキャラクターありきの作品であり、そのキャラクターは様々なポーズや動きをする。だからそのイラストのまま使える商品ならいいが、新たに描き起こして商品化してもよい

そう考えると、NFT作品を制作販売する際、そもそもその作品はどういった性格を帯びたものなのかを考えるべきでしょう。
クリエイターは、制作時、表面的なかっこいい、可愛いという部分に着目しがちで、自分が制作するものが、どうなっていくのか、どうなって欲しいのか、というイメージを持つことが大事かもしれません。

たとえば、「キャラクター商品として、様々な商品化を目指す」のであれば、
・商品化されるキャラクターとはどんなものか
・商品化された時に必要なキャラクターとは何か
という面を考えないといけません。

逆に「自分の作品はアートなんだ」ということであれば、自分が表現したいことをとことん追求し制作をすべきです。それはデジタルだろうが、フィジカル的な作品だろうが、同じだと思います。
そしてその場合、共感してる人は少なく、なかなか評価されない作品になるかもしれません。
それでもいいんだ、という覚悟が必要でしょう。

現在のNFTは?

では、現在のNFT市場に戻って見てみます。
その多くがキャラクター、つまりイラスト作品だと思います。
しかし、その場合、私がキャラクタービジネス的目線で見ると、商品化したいと思うような作品は、ほんの一握りしかありません。
なぜなら、多くの作品には、キャラクターの設定もなければ、世界観が貧弱、ストーリー性もない(薄い)という状態で、商品化をイメージできないからです。
ただし、これはNFT業界の流れ上、まだ世界観やストーリーの構築まで至っていないだけで、多くのコミュニティを持つプロジェクトはこれからコミュニテイの中でそれらを補完していくのでしょう。
そういう意味でもイケハヤ氏(@IHayato)が率いるNinjaDAOのCryptoNinjaは世界観やキャラクター設定がしっかりとしているから、コミュニティが活発的にキャラクターたちを活用し、次々にサブプロジェクトを生み出せるのです。

一方、これはイラストというより、アート性があるな、という作品やコレクションがあります。
中でもアーティスト自らの世界観がとてもしっかりしていて、すぐにもその世界観を具現化できそうなコレクションがいくつかあり、いつか私のプロデュースで、リアルとオンラインの両方で作品展をしたいと思っています。

なぜわざわざ分けるのか?

それは、現在のNFT業界はアートとイラストが混在してしまっており、それを分けずに考えてしまう人がおり、本来別物としてそれぞれの戦い方であったり、良さであったりするはずなのに、わざわざ同じ土俵にたち、相手を攻撃している人を見かけるからです。
もう少し具体的に説明しましょう。
「NFTとは」の回で、ジェネラティブの紹介をしましたが、ジェネラティブとはまさにキャラクターイラストだからこそできるもので、アート性の高い作品はそもそもジェネラティブに向いていないし、同じ技術を使うことが難しいのです。
もちろん、Crypto PunksやBACYといったジェネラティブはアート性も高い作品ですが、いずれもキャラクターを扱った作品であり、もしそのうちの一点だけを取り上げると、途端にアート性を失います。
逆にアートとは、前述しましたが、その作品にすべてが詰め込まれ、それだけで完結し価値を持つものだからこそ、数千、数万と組み合わせを変えて作り出すジェネラティブにはなりにくいのです。
ただし、「キャラクター」というキーワードを使うことで、アート作品でもジェネラティブにすることができる作品もあると思っていますし、個人的にぜひチャレンジしてみたいですね。

まとめ

別にどちらが上とか下とかはなく、性格的なことをまとめてみたいと思い、考えを整理してみました。
キャラクターを中心としたイラストで、アーティスティックなイラストもたくさんありますし、そもそも私が敬愛する井上武彦先生の漫画、特にバガボンドは紛れもなくアートです。
ただ、自分の作品がアート的なのか、イラスト的なのかといったことをしっかりと自覚しているだけで、創作の助けやビジネスの助けになるのではないかと考えています。

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