準有名角
はじめに
準有名角というものが題材となることがあります。準有名角が何かは人によると思いますが、$${ 18°,36°,54°,72° }$$ をメインに扱っていきたいと思います。
$${ 15° }$$ や $${ 75° }$$ も準有名角であるという人もいると思いますが、お察しの通り$${ 30° }$$ の半角や $${ (45°-30°)}$$ の加法定理、$${ (45°+30°) }$$ の加法定理などで求めることが出来るのは容易に想像出来るので、今回は省略します。
私文数学だとこのように、$${ cos36° }$$ の値を求めよ、など準有名角の$${ sin,cos,tan }$$ が出題されます。
私の解答のようにすると時間がかかりますよね。(解答の細部まで見なくて大丈夫です)
次の一つの式を暗記することでこの手の問題を簡単に解くことができます。
覚えるべきは
$${ cos36° = \dfrac{1+\sqrt{5}}{4} }$$
です。
それと因数分解の式、
$${ (t+1)(4t^2-2t-1) }$$
も覚えておくと時間短縮になります。
因数定理で
$${ t = -1 }$$
を解に持つことが分かればOKです。
記述式では画像のように $${ cos36° }$$ を導出すれば記述として減点されることはないです。
マークでは
$${ cos36° = \dfrac{1+\sqrt{5}}{4} }$$
を暗記して、他の準有名角を導出すれば良いでしょう。
3倍角や2倍角の公式を忘れてしまった場合は加法定理で導出しましょう。
2倍角から半角の公式が導出出来ることも抑えましょう。
また、$${ cos }$$ の値が分かっていて、$${ sin }$$ の値がわからず、$${ tan }$$ の値を求めたい時は、
$${ tan^2α + 1 = \dfrac{1}{cos^2α} }$$
$${ tan^2α = \dfrac{1}{cos^2α} - 1 }$$
として、$${ cos }$$ の値を代入してあげればよいです。
では、旧帝大レベルの問題を解いて確認しましょう。
京大文系の合否を分けた問題です。
この問題、準有名角を導出出来ればただの計算問題になります。
求めるものは $${ AB }$$ の値です。
図より、
$${ cos54° = \dfrac{AH}{AB} }$$
であるため、
$${ AB = \dfrac{AH}{cos54°} }$$
ですよね。
準有名角は導出出来るので、$${ AH }$$ の長さが分かればいいです。
今
$${ OA = AH + OH = 1 }$$
であるため、
$${ OH }$$ の長さが分かれば $${ AH }$$ の長さがわかります。
すると、
$${ cos72° = \dfrac{OH}{OB} = OH }$$
となり、準有名角を用いて $${ AB }$$の長さを求めることが出来ます。
後はテンプレ通りに
$${ cos36° }$$ を求めて、この値を使って他の準有名角を求めましょう。
$${ cos72° }$$ は倍角の公式を使って求めてもいいですね。
$${ θ = 36° }$$ のとき、
$${ cos2θ = 2cos^2θ-1 }$$
$${ cos2θ = 2 (\dfrac{6+2\sqrt{5}}{16}) - 1 }$$
$${ cos2θ = \dfrac{\sqrt{5}-1}{4} }$$
また、二重根号の外し方だけは抑えておきましょう。
計算に多少時間がかかりますが、試験中最も怖いのは方針がわからないことですよね。
この解法は再現性が高いと思うので、皆さんも使ってみてください。