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健康な私が記憶喪失(一過性全健忘)になった話

この記事は、私が「一過性全健忘」を発症した時の記録です。
この症状は、発症した時点から遡って数時間の記憶が無くなり、発症中は新たに物事を記憶する事ができなくなる。24時間以内に回復するが、発症中の記憶を思い出すことはできない。というもの。お医者さん曰く、健康な人でもなり得るもので、再発する事はほぼ無いとの事。

2024年7月10日、朝起きた私はパニックに陥ることになった。
自分が何故ここにいるのか思い出せなかったのだ。
まずスマホで日付を確認した。
スケジュールアプリを開くと、前日である7月9日は「暑気払い」と書いてある。
書いてあるなら行ったのだろう、行ったのだろうなと思うものの、その最中の記憶が一切思い出せない。
(ちなみに私は全くお酒は飲めないので、お酒による記憶喪失という線はありえない。この日も当然一滴も飲んでいません)

7月9日の記憶を思い出そうと頑張ってみるが、自分が何の仕事をしたのか、誰と何を話したのか、何を食べたのか、どうやって帰ってきたのか、帰宅してから何をしたのか、全く思い出せなかった。

同居の母に聞いてみると、9日の夜8時頃に帰宅した時は普通だったけど、夜10時頃からずっとこの調子で、私は「風呂入ったっけ?」「歯磨いたっけ?」「トイレ行ったっけ?」と何度も繰り返し母に尋ね、部屋中を落ち着きなく歩き回ったりしていたらしい。もちろんその記憶も無い。
そして「脳外科に行くから仕事休みな」と言われ、身に覚えのない私はいよいよ怖くなってきて、何か脳の病気だったらどうしようと思っていた。

その時はあまりにも混乱していて、前日の記憶だけが抜けているという事には気付けなかったからなおさら、どこからどこまでの何を覚えていて、何を忘れているのかを探ろうと必死だったと思う。
例を挙げると、『店の名前や場所はあらかじめ記憶してあるから思い出せるが、その日出てきたメニューや座った席、交わした会話は思い出せない』といった具合だ。

まずTwitterを見る。9日のお昼休みにポストしている。いつも遊んでいるソシャゲの更新情報に対してのポストだった。何となくだがその時の事は思い出せた。朝や昼の事は取っ掛かりがあれば思い出せるようだった。
昼休みの日課で読んでいる小説は、しおりが挟んであるページから数ページ遡ったところまで内容を覚えていなかった。おそらくこの記憶が抜けている数ページは9日の昼休みに読んだ分だろう。
メールボックスを見る。夜に取引先にメールを送っている。送ったメールの文面を読んでも、送った記憶は一切無かった。(が、ちゃんとやるべき仕事はこなしてくれていて安心した)
時間的には、そのメールを送った後くらいからおかしい言動を取り始めた事になる。
スケジュールアプリを見る。入れてある予定の事もその予定を決めた時の事もきちんと思い出せる。9日より以前に決めた事、約束した事は覚えているようだった。
youtubeの直近の再生履歴を見る。9日の夜にあった配信の赤いバーが一番右まで行っているから見ていたはずだが、内容は一切覚えていない。

この他には自分の昨日の行動を証明できそうなものは無かったが、抜け落ちているのは『9日の朝起きてから寝るまで』で、夜6時くらいまでの記憶はすごく断片的に(あの仕事を頼まれた気がする、茶碗蒸しを食べた気がする、程度の些細なものだが)取っ掛かりがあれば思い出せて、以降寝るまでの記憶は一切無い。という結論になった。

母と一緒に病院へ行き、人生初MRIをする。
耳栓をして頭になんか付けて、ずっと耳元で工事現場みたいな音がしていて不愉快ではあったけど15分くらいで終了。
結果は異状なし!健康そのもの!
本当にもう脳梗塞とか腫瘍とか見つかったらどうしようって不安だったから一気に脱力。
診断結果は「一過性全健忘」ということで、症状は前述した通り。
病院でも特に何か処方されるわけでもなく、検査は6000円ちょっとかかった。再発するようだったら再検査が必要との事だが、ほとんどの場合は24時間程度で回復するとの事。

私は平成生まれの女で、酒は一切飲まない、常飲している薬もない、持病もない、過去に大きな病気の経験もない、去年転職してからはストレスもない、といった健常者そのもの。
こんなに健康な人でも何の前触れもなく、キッカケもなく、こういった症状が起こる事があるらしいです。私はそんな話は初耳で朝起きた時えらく取り乱したから、少しでも知ってもらえたらいいかなと思ったのと、自分のための覚書みたいな感じで書き残しました。

10日の夜21時20分現在、今日は朝起きてからの記憶はちゃんとあります。
でも、昨日の記憶はやっぱり戻ってこないみたいです。
昨日食べたであろう美味しい料理、お金払ったのに覚えてないの残念だなぁ……くらいに思える程度には回復しましたよ!
一過性のものなら珍しい体験をしたな程度に思っておくのがいいんでしょうが、本当にヤバい病気の可能性もあるので、本当に症状が出たらきちんと検査は受けた方がいいですよ!!!

ここからは余談です。
知っている人がいるか分からないんですが、某乙女ゲームの攻略対象の中に「直前の24時間しか記憶を保持できない」キャラクターがいるんですね。だから彼は、その日あった出来事を全部事細かに日記に付けているんですよ。
今回のケースとは覚えている範囲が逆ですが、記憶には無いのに自分がしていた事の痕跡は残ってる恐怖というものを実感できましたね。
この経験を踏まえたうえでもう一度彼に会いたくなりました。(何の話?)

7月11日 追記
会社の人達に9日の暑気払いでの私の様子を教えてもらい、かなり記憶が戻りました。
座った席、交わした会話、食べた料理、飲み放題のソフトドリンクの味が薄っっっすかったこと、帰宅してからの母との会話もうっすら思い出すことができました。やっぱり一人だと思い出すのに限度があるけど、取っ掛かりがあると思い出せる感じがします。
私がおかしな言動(お風呂入ったけ?等の同じ質問を繰り返す)を取り始めてから寝るまでの記憶は相変わらず戻りません。
この症状についてネットで調べると、発作という書かれ方をしていたので、おそらくこの発作というのが9日の夜10時頃からで、発作中の記憶は保持できていないのかな?という解釈でいます。

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