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漫画さんぽ『血の轍』が面白い

それまでテーマ的にしんどそうだなと敬遠していた、押見修造『血の轍』を、あるとき12巻まで一気読みして、案の定、感情を揺さぶられまくった。

もちろん生育環境や関係性は異なっているが、私自身も、母との関係性に問題を抱えているので、幾度も主人公の感情に共鳴してしまう。読んでいて、溺れるような、土の中に沈んでいくような、息苦しさ、やるせなさを感じる。それだけでなく、漫画として、物語として、面白すぎて読み進めずにはいられない。唯一無二の読書体験だった。

その少し後に、ゲームさんぽ / ライブドアニュースチャンネルで、精神科医・名越康文先生が、この漫画の1〜3巻を読んで解釈する、というシリーズ動画が始まった。

漫画のひとコマ、登場人物の表情、些細な描写から、名越先生がたくさんの情報を読み取り考察していく様がはちゃめちゃに面白い。
先の展開を知っている身としては「この時点で、そこまでわかっちゃうのか!」とゾクゾクしたし、1人で読むのがしんどそうだと感じる未読の人が見てもきっと楽しめると思う。

このシリーズの更新期間中は、プレミアム公開をリアルタイム視聴するほど夢中で、全5回の最後の動画を見終わるのが寂しかった。

全巻を読んで解説するのは様々な面で難しいだろうと思うけれど、完結したらどこかでまた名越先生の感想を聞いてみたい。
そして、ぜひ押見先生と対談してほしいな……と両先生のファンとしては期待に胸を膨らませるのだった。