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他人(ひと)と比べてしまうわたしたち

高校時代からの親友と久しぶりに電話をした。15歳の頃からの仲だから、もうお互いを熟知していて、SNSには書けないようなできごとも、自分のなかだけに溜め込んでいる気持ちも、彼女との会話に隠すものは何もない。
(今、これを書いていて気づいたけれど、今年で30歳を迎えるわたしたち、もうすでに人生の半分をいっしょに過ごしてきたんだね。)

一通り、お互いの近況報告をし終えれば、いつも飽きもせずにだいたい同じようなことを話している。東京で仕事をがんばっている彼女と、フィンランドで人生を休憩しているわたし。環境も状況も全く違うけれど、生真面目な性格や価値観が近いこともあって、心の底に漂うもやもやはどこか似ていて、共感し合ったり、肯定し合ったり、励まし合ったり。長電話が終わる頃には、明日からもまたがんばろう、いつもそんな気持ちにさせてくれる。

そんなわたしたちの電話での会話。

-やっぱり比べちゃうよね。
-うん、比べちゃう。仕方ないよ。

比べていないつもりでも、比べてしまう。ありきたりだけれど、結婚、出産、子育て、転職、周りの同世代の友人たちのそういう報告を聞いたり、SNS越しに見たりすると、何も思わないわけにはいかない。

他人と比べないことは、人生を清々しく生きることの一つのコツみたいなものだと思う。わたしの場合、できる時もあれば、できない時もある。できる部分もあれば、できない部分もある。今はまだ、できない時やできない部分の方が多い。
そして、できない時、他人と比べてしまう時に、どうしたって自分はいつも“劣っている”側だ。人生に優劣などないのに、わざわざそんなふうに自分を誰かの下に位置付ける必要はないのに。比べないことが“コツ”なら、比べることは“クセ”になってしまっているのだと思う。

noteやInstagramを眺めていると、フィンランドや他の海外で暮らししている人の投稿やそれについて考察するような情報がつぎつぎと流れてくる。SNSもまたリアルな関わり以上に、他人と比べてしまう問題に深く影響するので、SNSとの距離は常にコントロールが必要だ。
もちろんいい影響もたくさんあるし、そもそもはSNSがわりと好きなほうだから、離れたいというわけはではない。SNSのおかげでつながった、まだ顔の知らない人たちからのエールは、ほんとうに励みになっている。

最後に、これは、まだなんというか“予感”みたいなもので、なんとなく感じているだけのことだけど、他人と比べないコツのヒントが、ここフィンランドでの暮らしにたくさんある気がしている。
比べてしまう、と書いたものの、すこしずつそのヒントを吸収しているのも、たしかだ。以前に比べて、いろんなことを気にしなくなった。
おおらかなこの国から、清々しく生きるコツを盗んで、自分自身の中に取り込んでいけたらいいなと思う。

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Eriko Sugita
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