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Raumaの窓辺
週末、少し足をのばしてフィンランド西海岸のまち、Raumaへ。世界遺産にも登録されている古い街並み、ラウマ旧市街(Old Rauma)を中心に、とにかくよく歩いた一日だった。
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ミントグリーン、パステルピンク、レモンイエロー。カラフルな建物が通り一面にずっと続く。まるでアイシングクッキーかマカロンみたい。旧市街にはこうした北欧の伝統的な木造建築が約600棟あり、今も800人ほどの人々が暮らしているのだという。
ほとんどが一般住民のお宅ということで、あんまり立ち止まって見たり、写真を撮ったりするのは気が引けて通りすがる程度に。それでも、そのうつくしい街並みにうっとりしながら、ほとんどすべての路地を歩き回った。
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すると、どこのお宅も窓辺が小さなギャラリーのように飾られていることに気がついた。かわいらしい置物や花が、こちらを向いて置いてあるのだ。そして多くの家で、品の良いレースのカーテンが引かれている。ボビンレースはこのまちの伝統工芸。このボビンレースを生で見ることも旅の目的の一つだったので、こうして実際の生活に溶け込んでいる様子を見ることができて感激だった。
ハイシーズンを過ぎていたからか、観光客も少なく、人はまばら。特に現地の人たちの生活がある裏道をカメラを持って歩くのは、肩身が狭く感じていたけれど、家々の窓辺に歓迎されているような気がして、なんだか気持ちがほぐれ、足取りはさらに軽くなった。
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実は、窓辺に注目したのには理由がある。最初は犬の置物を探して歩いていたのだ。Raumaに行くなら、家の窓辺に置かれた“犬”に注目、という話は事前に聞いていたので、気にしていたら、一軒ではなく何軒もの家に狛犬のように対になった白い犬が座っているのを見つけることができた。
港町のRaumaではかつて男性は船乗りとして航海に出ていた。この犬は船乗りの妻たちが窓辺に置き、夫の所在を伝えるためのものだっただそう。主人が航海中は、犬は外を向き、在宅中は家の内を向いて主人を慕っていたという。そのストーリーを帰ってきてから知って、写真を見返すと、犬たちがさらに愛おしく感じられた。
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石畳を夢中になって歩き続けた脚は、気がつけば棒の状態になっていたけれど、家に帰って横になれば、それさえも心地よく感じられた。いつかRaumaを思い出す時は、カラフルな街並みよりも先に、窓辺の景色が心に浮かぶだろう。
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