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今こそ「闘うグラフィックデザイン」の時代だ ステファン・サグマイスターの「ナウ・イズ・ベター」を見て/一日一微発見403
こんな予期せぬことがあるなんて実にハッピー。そうあることじゃない。ステファン・サグマイスターの展覧会が東京で行われているとは!そして見に行ったら、あまりに作品も刺激的で、なにより彼自身が登場する映画『HAPPYFILM』は、この時代のデザイナーの人生と仕事のアクチュアリティが赤裸々に詰まっていて、しんみりもしたし、驚いたし、勇気づけられた。
まあ、簡単に言うと、感動した。
グラフィックデザインで感動できるなんて、全く諦めていたからハッピーだったのだ。
展覧会について書く前に、ちょっとだけ彼のことについて解説しておきたい。
彼は1962年オーストリア生まれで、ウィーン応用芸術大学でグラフィックデザイン修士を取得した。そして、広告代理店レオ・バーネットの香港オフィスをへて、ティボール・カルマンがやっていたNYのM&Co.に参加(6ヶ月だけ)。1993年に自分のオフィスSegmeister Inc.を創設。
NY ADC、東京TDC、グラミー賞など、数々の国際的なデザイン賞を受賞してきた、ある意味では巨匠デザイナーである。
彼の仕事集作品集 「Sagmeister, Made You Look] (Booth-Clibborn)は、超エッジなものだが、世界的に売れて、多くの人がヤラレタだろう。かく言う僕も大切に持っている。
僕がステファン・サグマイスターにインタビューしたのは2005年のことだった。『エスクァイア日本版』で特集「闘うグラフィックデザイン」の企画編集に関わった時だった。
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