「日本現代美術私観」展/高橋龍太郎コレクションの提起すること/一日一微発見460
割引あり
見終わって、これは「特別」に重要な、クリティカルな展覧会だと思った。
高橋龍太郎さんは1946年生まれだから団塊の世代にあたり、彼自身も学生運動を強く体験し、その「闘争」体験を経て精神科医となり、1990年代の半ばからは、現代アートコレクションを始めた方である。コレクションの総数は3500点におよび、今回の展示にはそこから選ばれた(都現美のキュレーターの藪前さんと相談され、選定されたのだろう)115点の作品がテーマ別に展示されていた。
高橋さんのコレションはこの30年、つねに現在進行形であり、今も形成され続けていることがまず重要だ。
今の時点でこの展覧会を見ると、当然ながら、草間彌生や村上隆、奈良美智などの作品が並んでいる。今やグローバルマーケットの重要作品を高橋さんは初期から、次々に私財で買い続けた。その「衝動」をまず指摘しなくてはならない。これは価値が確定してから美術館が購入したコレクションではないのだから。
ならば彼を動かし続けた理由は何だろうか?
それは昨今のセルフブランディングまがいの動機のためにアートワールドに参入してきている多くの「アートコレクタ―」とは根本的に異なる。
僕は高橋さんと面識をもたないが、氏のコレクションは2008年の「ネオテニー・ジャパン」の時に拝見して以来、その「特別」なあり方に共感してきた。
それは、彼が自ら取り憑かれるように形成されたコレクション自体が、当然ながら彼自身の自画像であるばかりか、我々一人一人の自身の自画像に思えたからだ。
そのようなクリティカリティ(批評性)を強くおびている大規模なプライヴェート・コレクションは他にない。
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