John Baldessari 『John Baldessari』/目は旅をする019(地図のない旅/行先のない旅)
John Baldessari 『John Baldessari』
MODERMA MUSET/Koening Books
この本は、2020年にストックホルムの近代美術館で開催されたジョン・バルデッサリの回顧展に合わせて発行されたもので、カタログというよりも、コンセプトブック/作品集という面持ちをしている。
だから、純粋な「写真集」というものではないが、あえてこれを取り上げたい。
それは何故かというと、昨今興隆している「コンテンポラリーアートとしての写真」は、1960年代末に行われた「コンセプチュアルアートにおける写真」についての、思考と実践なくしてはありえないからだ。
コンセプチュアルアートは、視覚と意味の分裂から誕生し、多くのアーティストたちが作品を生み出した。
ジョセフ・コスース、ロバート・スミッソン、ソル・ルイット、ダグラス・ヒューブラら、それにハプニングのアラン・カプローを加えるべきだろう。
彼らは「非物質性」に着目したがゆえに、逆にそれを証拠づけ、記録し、アーカイブするために積極的に、「写真」の力を要請したのである。
ジョン・バルデッサリもその重要な確信犯的なアーティストである。
彼は惜しくも2020年の1月に89歳で亡くなったが、生前200以上の個展をおこなった。
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