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ジル・クレマンの『第三風景宣言』を「仮の家」で読む/一日一微発見469

割引あり

異常に暑かった夏が、やっと終わった。
長い旅行や、さまざまなイベント、マンションの引っこし(仕事場)などの間に、巨大な迷走台風がやってきたりして、まさに地球レベルで乱世の夏だった。

よく生きのびられたな、誰もが思ったろう。しかし、異常も続くと日常になる。

この4ヶ月ほど「仮の家」の世話を出来なかったから、庭は荒れた。
草刈りもままならず、植物たちは成長を競いあい、水をとりあい、生存したもの、死滅したものが庭の中で重りあっている。

やっと涼しくなったのでまず草刈りをしている。そして秋の整地、来春の庭の用意にとりかからなくてはならない。

荒れた庭は荒れた庭で、多くのことを考えてくれる。これほど暑い夏になると、宿根草・多年草とされている植物も夏枯れする。日陰げをつくればよいという話ではなく、高温多湿にたえられないのだ。

朝から夕方まで草刈りや、雑草の根の除去をやる。それは苦役ではあるが、「仮の家」の庭の植生の生態を知る学びがある。
庭の構想のもとに植えられた植物たちは、「雑草」と呼ばれる植物たちとのなわばり競いに勝つ者もいれば完敗して消滅する者もいる。

フジバカマやアメリカコデマリ、ルドベキア、エキナセアたちは強く、雑草にまけていない。まけていないというよりも、侵略植物としての素質があるということか。

作業が終わって夜、買っておいたジル・クレマンの新著『第三風景宣言』を読む。ジル・クレマンは『動いている庭』や彼の活動をドキュメントした映画で知られている。
彼自身の肩書きは「庭師、修景家、植物学者、
昆虫学者」であり、パリのアンドレ・シトロエン公園やリールのマティス公園などの大規模プロジェクトにも参加してきた。

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