ロバート・フランク『Storylines』/目は旅をする093(写真の未来形)
ロバート・フランク『Storylines』
(Tate Modem/Steidl)
2025年の1月の半ばまで、ニューヨークのMo MAで写真家ロバート・フランクの生誕100年記念展「Life Dances On / Robert Frank in Dialogue」が開催されていた。残念にも見に行けなかったが、年末から年始にかけて、手持ちのロバート・フランクの写真集を見直して過ごした。
彼は2019年に94歳で死んだ。彼が死んだ4日後、僕は偶然にもベルリンにいてCO/BERLINで、ロバート・フランクの展覧会「Unseen」を見た。有名な彼の写真が並んでいたが、気になったのは初期のコンタクトシートで、薄暗い会場をぐるぐると何度も、さまよい歩いて見た。
頭の中にあったのは、2006年にNYの彼の家でインタビューしたときの彼のオープンな態度であり、部屋の佇まいだった。当時彼は体も悪くしていたし、ノヴァスコシアにいることも多く、インタビューはほぼ不可能だと神話のように伝えられていた。だめだろうと思いつつも僕は、フランクの親友である元村和彦さんに相談した。結果、ミラクルが起こり、訪問は実現した。
元村さんは、自らの出版社「邑元舎」を始めるにあたって、最初の刊行物としてフランクを訪ねた人である。1972年のことだ。元村さんが作った『The Lines Of My Hand』 は、正直いうと「The Americans」より好きかもしれない。
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