アート思考虎の巻 その2(下)NFTアート イブ・クラインから学ぶこと/一日一微発見350
さて前おきが長くなったが、先日、イブ・クライン(1928-62)をテーマにした展覧会を、金沢21世紀美術館で観た。それはクラインの個展ではなく、彼の人生と作品を補助線にして、他のアーティストとの接続をはかり、きたるべきアートを展望するという、「野心的」であり、かつ「まごつき期」のアートを象徴するような展覧会であった。
展覧会のタイトルにも「タイムレス」と「インマテリアリティ(非物質性)」の2つのキーワードが使われていた。
展覧会自体のレヴューはここではしないが、イブ・クラインを再見して学ぶべきことをここでは書いておきたい。
クラインは34才という若さで死んでしまったが、その短い人生の間に彼が発表した作品は、実に予見的で根源的な可能性を拓いていた。
彼が気がついたのは、マテリアルと精神の関係である。
そして白をふくむ色彩というセンシビリティの接合点であった。
クラインは、1959年のデュッセルドルフで行われたティンゲリー展でのス
ピーチでこう語っている。
「感性(センシビリティ)とは私たちの存在を超えて存在するものだが、永遠に私たちの一部である。
人生でさえ、我々のものではない。
我々が人生を購入できるのは、私たちの感性だ。感性は宇宙の通貨だ」
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