美術館への旅 2(ヴェニス編) プンダ・デ・ラ・ドガーナで ブルース・ナウマン/一日一微発見342
「コンテンポラリーアートへの旅」は、今や美術館という「特別な建物」への旅でもある。
僕はバーゼルにあるヘルツォーク・ド・ムーロンのシャウラガーが最も好きだけれど(彼らがリノベーションしたアーラウガーの美術館も好きだ)、他にもレンゾ・ピアノのバイエラー・ファウンデーション、SNAAが手がけたNYのニューミージアムや金沢21世紀美術館も行くたびに展覧会にかかわらずワクワクしてしまう。
そしてこの春に行った直島にある安藤忠雄によるリーウーファン美術館もこぶりながら、作品と建築が絶妙な拮抗と共犯関係にあって、これはすごいと思った。
思えば、直島は瀬戸芸のコアの場所であると同時に、安藤建築が集積した世界にも類な「建築の聖地」に成長している。
ずい分前だが、資生堂の『花椿』誌で安藤さんと対談する機会を与えられたことがあり、その話は今も僕の中で鮮烈な時間だった。
「小さな家の構造がしっかりつくれたら、どんな大きな仕事がきてもだいじょうぶだ」と安藤さんが言ったことは、大きな影響を受けていると思う。ほかにもその時のことはいくつもある(多すぎてここでは省く)。
その後、安藤さんが設計した美術館で展示をすることがいくつもあったが(「篠山紀信展写真力」の時)、三角形の構造の空間が多く、実に使いにくい。
しかし六本木にある三宅一生さんの「21_21 Design Sight」は傑作だと思うが、ここも三角を多用していてキュレーションだと実に使いにくいだろうと思っていつも見ている。
ある時に杉本博司さんと安藤さんが対談しているのを読んだことがある。
安藤さんが「僕は展示される作品のことは全然考えませんよ」と言いはなっていたのには笑ってしまうと同時に、デビュー作「住吉の長家」以来のブレない姿勢に感心してしまった。
ヴェネツィアにはピノーが安藤さんに依頼してつくったプライヴェートミュージアムが2つある。1つはパラッツォ・グラッシであり、もう1つはプンタ・デラ・ドガーナである。
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